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2007.05.10

5/10 赤ちゃんポストが考えさせてくれるもの

熊本の慈恵病院の赤ちゃんポストの運用が始まった。
官房長官が「保護者が子どもを置き去りにする行為はあってはならない。自らの手で親が育てるのが基本だ」と批判的なコメントをしたと報じられている。

しかしねぇ。
慈恵病院の院長が、今回のような窮極の救済手段をぶちあげなければ、望まない妊娠や、喜びだった妊娠の後に人生の流転があって育てるのに厳しい状況に陥った人やその子をどうしていく、なんてだれもまじめに考える機会をつくらなかった。おっと「まじめに考える」とは、この社会ではそういう人をスポイルするようなニュアンスで表現してきた。
それこそ、ふだんは男女平等を党是とするリベ系のエリート女たちでさえ、よほど徹底した女権運動をやっている人でもなければ、その大半は「よく考えもしないで」「自業自得」と言った言葉を本音では吐く。
慈恵病院が、こうして社会に衝撃を与えるまで、「子どもを捨てさせないために相談を充実しよう」「ひとり親でも立派な子どもを育てられる社会にしよう」なんて誰がまともに言っただろうか。ひとり親なんていない方がいいんだ、捨て子なんてあることがいけないんだ、と思考停止してきただけだ。
福祉事務所や職安や母子保健を、こうした親子のためにどうしたらいいか、という課題について、はれ物に触るような人権感覚しか学ばず、積極的な対処は各々の職員の善意に任せてきた。

話は政治的な方向になってしまうが、
新左翼だったのに自民党幹部だった親の後釜で政治家になって、NAISの会だ民主党の若手とどうだこうだと、ちやほやされて官房長官になった塩崎氏。一説では、親の跡継ぎは嫌だといったという話もあったかな(本当の話かな。二世議員の大半はいやいや議員にさせられた、というエピソードをつくる人が多いが、神戸の河上民雄さん以外ほんとうにそうだという人に会ったことはない。逆にお父さんを尊敬していることを公言して二世議員になった人の方がすがすがしい)。
自らのおかれた境遇から、子どもの人生に親自身の因果を報いるのは良くない、と考えるのか、単に運命は仕方がないとたまたま自分の恵まれた生活環境に安住するのか、今後の政策展開が試されていると思う。

あと関心をもって見なければならないのは、日本会議の右翼議員たち。家庭だ親の責任だ母性だと強く訴えてきたのに、赤ちゃんポストに何も反応がない。反フェミニズムの立場で声高に中絶反対を熱心にやってきた立場だし、赤ちゃんポストを否定しきれないのだろう。社会は必ず複雑な事情で生まれてくる子どもがいるからだ。そういう状況の子どもを産んではダメ、中絶もダメだということになれば、アフガニスタンのタリバンのように、神や正義の名のもとに、父親のわからない子を妊娠した女を胎児ともども殺すという論理しか出てこないはずだ。

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コメント

塩崎代議士のお父様は、夫と義父の高校の同窓です。塩崎父は同窓会にまで、たすきがけで来られたことがあり、一同びっくりしたとか。
そこまでするのも、中選挙区時代は関谷代議士の方が地元で人気が高かったからだと聞いています。同窓会報にも勲章を胸いっぱいつけたモーニング姿の塩崎父の写真が掲載されていました(広告)。勲章の重みで、洋服の生地がいたまないかと、余計な心配をしたものです。蛇足ですが塩崎恭久氏の夫人は松山のミッション系女子大の教授です。

投稿: はちきん | 2007.05.11 14:55

赤ちゃんポストの病院の敷地に25年前に仕事してました。
当時は、親が育てられない子供の施設もあり 置き去りにされた子供もいました。
戦前から 子供ホームはあり戦前 戦後は、戦災孤児が400人以上いたときもあったそうです。
赤ちゃんポストに反対の人は、戦災孤児や戦時中はどこかに知り合いがいて疎開してたとか余裕のある人が多く 中国の引き上げ孤児や戦後の戦災孤児を知らないでいってるんです。
子供ホームは以前は、親が預けにきても連絡先は、言って預けていくことが多く 中には、修道院の門の前に置き去りや 障害者を置き去りや女学生が出産した子供もいました。
以前からやってたことだし 慈恵病院の創立も近くに病院がないために外国から来た5人のシスターで始めた病院で 熊本市の歴史にも掲載されてます。

投稿: リリー | 2007.09.08 12:36

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