« 4/1 桜のおまつり | トップページ | 4/2 保険好き日本人の財布を狙うアメリカ »

2007.04.02

4/2 法律じゃない公職選挙法

都議補選に出た今村るかさんの事務所を訪ねたら、元衆議院議員の石毛えい子さんに会えた。選対委員長をしているという。福祉に関する話を二、三し、選挙後にお会いすることにする。
事務所の中で、選挙の手伝いをしている女性がいて記憶にある人だ。よく見たら、一時期話題になった野党の若手女性議員の方だった。議員を辞めた後、今は障害者の人材派遣業をやっている。彼女は社会福祉士として雇用され、派遣される障害者のソーシャルワークを業務としている。面白そうなので、話を聴きたいと思う。

●選挙ってどうしてワンパターンなんだろうね、という批判がある。私も同感。でもいろいろ公選法のルールに従って選挙をやってみると、こんなことしか許されない。あとは脱法行為が少し。それもいつでも警察や選管が厳格運用を始めたら今にも自粛しなければならない。
おきまりの選挙カーでわあわあやって、夕飯の準備の時間に電話がかかってきて、町中ポスターがベタベタ貼って、というもの。ほんとうにそうだと思うが、ポスターに関してはかなり規制のメリハリついてきて状況が改善されつつあるが、他の2つに関しては、今の公選法ではこれしかないという感じ。

まず言論の選挙にするためのツールがことごとく奪われている。選挙公報以外はない。
選挙期間中は、HPを作っても動かしてもいけない。投票を頼む電子メールも個人的知り合い以外は出してはいけない(厳密に言うと個人的知り合いでも出してはいけない可能性がある)。国政選挙以外は、まともなビラは作れない。たまに認められても「政党」「確認団体」のもので、無所属候補のものは、どの陣営が出しているのだかわからないようなつくりにならざるを得ない。それも配る手段は新聞折り込みか、街頭演説会での配布、街頭演説会場周辺のポストに限られている(ビラ配りの都合だけのために誰もいないところで街頭演説をやることもある)。以前は立会演説会が設定されたが、今は行われなくなった。JCなどが候補者の討論会を開いても、選挙期間中は×。

有権者との候補者や応援する人との接触がぶった切られている。むしろ接触しないようにつくられている。
有権者が自発的に事務所に行かない限り、個人に投票をお願いできる手段は電話と公選はがきしかない。ほんとうは運動員が支持者になりそうな人に会って政策などを簡単に説明して投票をお願いする戸別訪問が選挙の王道だと思うが、先進国では日本がただ一つだけ、買収の温床になる、として禁止されている。
公選はがきは当選に必要な数を下回る数しか送れない。また送る方法も支持者が勝手に投函したら選挙違反になるなど、ややこしい。だからじゃんじゃん電話かけるしかなくなる。演説会も演説会の予告は電話以外できない。陣営は電話以外の偶然の機会をつくるためにわあわあとにかく騒ぐことになる。
ただ、業界団体とか地縁団体などコネクションを積み上げた人が、そこの業界団体や町内会が仕掛けた場に演説や自己紹介に出かけることは大いに認められていて、しがらみのない人が不利な制度になっているし、逆に言うと、業界団体や町内会などが選挙で有利に機能するため、特定の地方議員とずぶずぶの関係になってしまいがちになる。そのことで自治体にとって最大の圧力集団である議員が、特定の町内会や特定の業界団体の利益誘導に取り囲まれているため、自治体の意志決定を透明にしにくくなってしまっている。

看板類の規制も厳しい。
選挙事務所に1つ、あとは選挙カーに規定の大きさの範囲内で1そろい、かろうじてたすきはお目こぼしされる。候補者名の入った幟旗や垂れ幕、横断幕の掲出は×。かつては迷惑度も低いので、垂れ幕や幟旗ぐらいは必要悪と大目に見てくれたが、今回の選挙は千葉で幟旗を使った市議候補どうしの乱闘があってかなり厳しく扱われているようだ。となると、選挙カーなしに街頭演説をやると誰の演説会だかわからないようなスタイルしか組めない。選挙カーが迷惑だとわかっていても、誰の選挙だかわからなくしないためには必要になってしまう。

こんなことをいろいろ考えると、結局類型的な選挙運動しかできないことになる。そうなると、マイクでがなることが大好きな類型的な政治家タイプの人が選挙に有利になる。そして類型的な政治家が量産されていく。

実は、この公職選挙法の原型は、1926年に普通選挙が実施されたときに、交換条件として選挙法が厳格化されたところにルーツを持ち、1940年の翼賛選挙でほとんど今の原型ができた。だからあれもダメ、これもダメと厳しく、素人がうっかり好意でオーバーランしたことが、警察からの警告や時には事情聴取の対象になってしまうこともあって、民主主義の基本である選挙にうっかり近づくとアブナイ、というイメージがつきまとってしまっている。
したがって、戸別訪問の禁止は、議会制民主主義を否定するものとしてGHQが解禁したが、占領解除とともに翼賛選挙の法律に戻ってしまった。

また、公職選挙法は、民主主義にとって何が大切かという価値判断がされておらず、生活迷惑防止条例の延長みたいな禁止規制が多い。そのため、何を何のために禁止し解禁するかという基準について根本の考え方がなく、実に解釈があいまいで、お茶・お菓子は事務所で出してよくてケーキ・コーヒーはダメとか、つまらなく細かいことだけがよく決められている。弁護士も慣れない人はやりたがらない。したがって、選管に聞いても、脱法的行為について、やってもいいけど合法ではない、みたいな解釈が多い。したがって現実に合わないことが多く、解釈も難解を極めて、警察の判断によってやっていいことと悪いことの地域差が激しい。事前運動的な行為の規制など、ものすごく取り締まりが厳しい東京都や神奈川県と、その他の県では落差が大きい。

●上田知事が「自衛官は大変だ。平和を守るために人殺しの練習をしている。『国民の生命と財産を守るために頑張って下さいと』褒めたたえないといけない」と発言。右にも左にも、自衛官にも不適切な発言だと思う。

「自衛官は大変…人殺しの練習」言葉足らず?埼玉知事
 埼玉県の上田清司知事は2日、県の新規採用職員就任式の式辞で、使命感の一例として「自衛官は大変だ。平和を守るために人殺しの練習をしている。『国民の生命と財産を守るために頑張って下さいと』褒めたたえないといけない」と述べた。

 式後、上田知事は記者団に「殺傷という言葉を使えば良かったかもしれない。分かりやすくなり過ぎて、きつい言葉となった」と釈明。知事周辺は「自分の命を犠牲にすることをいとわない方々がいることを言いたかったと思うが、言葉足らずだった」と語った。

 宮崎県の東国原英夫知事は2日、新規採用職員の辞令交付式で、インフルエンザで入院中に治療薬「タミフル」を服用したことに触れ、「5日間ほど飲み放題飲んだ。異常言動に走るかもしれないが、大きな心で受け止めてほしい」と述べた。

 県に「発言は不適切」と苦情が寄せられ、東国原知事は「私に異常行動が起きてもご容赦願いたいと言った。何の問題があるのかと思う」と釈明する一方、「(発言で)不快にさせたことは申し訳ない」と謝罪した。(2007年4月2日23時1分 読売新聞)

|

« 4/1 桜のおまつり | トップページ | 4/2 保険好き日本人の財布を狙うアメリカ »

コメント

今村さんは上京して間もない頃、連れていってもらった東京ウィメンズプラザであった夫婦別姓のフォーラムにいらっしゃっていた記憶があります。そこで初めて議員や会館事務所の人たちと挨拶したので印象に残ってます。社会福祉士の方は地元の県会にも出たあの方ですよね。
公職選挙法は選挙のたびに不条理とは知りつつ、マニアックに遵守して満足させられている気がします。悪法も法なりの典型ですね。本来の立法趣旨から考え直すべきだと思いますが、この問題は政党が違っても個々の政治家によって全然違うと思うので政治資金の問題と同じで超党派的な動きが必要だと思うし、郵政選挙なんかで与党にも若い議員が増えている今がチャンスなのかもしれません。

投稿: wacky@mie | 2007.04.05 01:31

あの方とはあの方です(なんだこの腹芸みたいな回答は・・・すみません)。
憲法9条で自衛隊保持できると解釈することより難しい公選法のうんちくを知らないと選挙を仕切れない、そういうことを運動員にわからせることができないと危ない、民主主義の敷居が高すぎます。
労組でも自治会でもみんなが参加しているところは問題はおきないけど、特定のマニアックな人しか参加しない民主主義はおかしくなるというような会話を昨日しました。公選法も同じですね。
若い議員たちに何とか期待したいですね。

投稿: 管理人 | 2007.04.14 06:46

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 4/1 桜のおまつり | トップページ | 4/2 保険好き日本人の財布を狙うアメリカ »