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2007.04.05

4/5 早川忠孝氏の努力を水泡に帰すな

自民党の中川秀直氏については、いやらしい人だと思うけど、それでも政敵に対する切れ味の鋭さ、守るべきものに対するふんばりなど、優秀な政治家だと認めざるを得ない。まったく良くない発言も多いが、安倍政権ならびに自民党執行部の中で、安倍政権を守るという一点において中川秀直氏は仕事を真正面からこなしていると思える。もちろん、野党系の私にとっては、野党やその支持団体をしばしばスケープゴートにする嫌いな存在だけども。

ところが同じ中川でも昭一氏は、何を間違って政治家やっているのか、と思うようなことが多い。発言の多くは自分の趣味の世界である。

今回は、離婚後300日以内に生まれた子どもの戸籍問題で、現状維持の判断をしたことだ。
離婚後300日以内に生まれた子どもは、前夫の子と推定し、裁判でも起こさなければ覆せない現行の戸籍法制を見直す機運が高まっている。
そのような中に、自民党と公明党のプロジェクトチームは、300日という期間を短縮する改正法案を提出するところまでこぎつけた。私はこれでも、「離婚するような奴が妊娠するようなことするな」というイデオロギー的家族観から中立的な判断にはなっておらず、不十分な法改正だとは思いながらも、それでも家族法制に後進的な支持層を抱える自民党がよくここまで判断してくれたと感じていた。その努力をした早川忠孝代議士を見直してもいた。

ところがほぼまとまりかけたこの法案を、今日、自民党の政調会長を務め、法案審査にあたる中川昭一氏が差し戻した。法務大臣の長勢甚遠氏は、法改正すらナンセンスとコメントした。今国会はもちろん、その後参議院選挙後の特別国会まで、この法案はほぼ通らなくなった。

中川氏には、特定の価値観に囚われてるご自身の倫理観から今回の判断をされたのだろうと思うが、真っ赤な顔して執務に当たることは倫理的に問題ではないのか。そうした自分の倫理的弱さを制御していないのに、国民のうち何人かを不幸のどん底に落っことすような制度を、趣味的な倫理感で放置しておくことの問題は大きい。

この民法の規定は、妊娠のメカニズムがはっきりしなかった時代の遺物である。また天皇家や徳川家ならともかく、一般人も含めて、親子関係が血統だけで規定されるのは、明治維新以後から今日だけで、それまではおそらくこ父親のの子だろう、と推定し、さらには育ての親をもって父親と規定してきた。さらには養父母関係も重視され、実父母だけを強調する親子関係というのは近代、それも高度成長からの観念的な産物にすぎない。
古代においては母系相続で、父親という概念すら怪しかったのではないかと思わせるようなところもある。

●東京都選管がyoutubeに投稿された外山恒一候補の政見放送の記録を削除するよう要請したという。選挙の公平性に過敏になるのも結構だが、民主主義を貫徹させるために選管が本来やるべきことは、全候補の政見放送をインターネット上にも用意して、いつでも政見放送を見られるようにすることではないか。都選管は、全候補者の政見放送をアップすべきと要請するべきだろう。
障害者に対する対応にしていない選挙公報など、おきまりで選管が流している候補者情報が有権者本位につくられていないことの問題は大きい。

●公選法についてあれこれ考えていると、衆議院議員選挙以外の選挙は、有権者に情報を与えることを、あれもダメ、これもダメと有権者を考えて投票させないようにしてある。その代わり、人間関係、人脈がハバを効かすだけの運動スタイルだけを奨励していて、結局それは政策本位でも政党本位でもなく人物本位、印象本位で投票行動が行われがちな選挙となる。そこには国や自治体の意志決定を信託した代理人としての業績判断は求められない。かろうじて信託した代理人に対する業績判断的な投票行動が存在するのは、旧田中派のような利権をめぐる契約関係としての業績判断があるのみである。

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コメント

この件は唖然としました。
いやに古い条項が残っている、というのが現実なのに・・・。

選挙規制についても同感です。
人脈とか利権がなければ市町村議選以外のすべての選挙は勝てない仕組みになっています。
だから、新人も浪花節的な人間関係の構築のために肝臓を傷めます。
それとコネ選挙は結局、候補者と言うか政治家を「バカ」にします。
有権者周りと宴会、駅立ちばかりやっていたら、まともな勉強はできないです。

投稿: takeyan | 2007.04.06 01:58

境遇の悪かった子どもは、一生、運が悪かったと自分を納得させるような社会システムが多すぎます。このまま社会が淀んでいく感じがしています。

公選法のおかげで政治家が「バカ」になりやすい、というのはそういうところもあるなぁと思います。民主党の若手議員が良い例で、初回当選ぐらいまではほんとうにいい人材だなぁと思っていたら、だんだん類型的なマッチョになっていきます。ところが山本譲司さんのように政治家を続けられなくなると、またいい人材に戻ったりします(山本さんは議員としてもよかったですが)。
民間企業や公務員でも、入社してくる人材がまずければ待遇以前にリクルートシステムについて変えるのに、公職選挙法についてはなかなかそうはならないところが不思議です。

投稿: 管理人 | 2007.04.14 06:55

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