3/26 自発的リサイクル業規制に違憲判決
ごみ捨て場から資源ごみを持っていく草の根リサイクルを規制する条例に違憲判決が下る。
私の主張している主旨とは違い、法律技術の問題で違憲とされているし、廃棄物処理法が許した範囲でしか地方自治体が規制はできないとした判決の論理は、政治合意である地方分権の文脈からは問題だと思うが、リサイクルを誰が行うのか、ということに一つのリセットがかかったことは喜ばしい。
資源ごみを集めて資源化することは、生活保護に頼らず貧しく生きる人たちの生活の糧である。役所に甘えるな、努力しろ、というのが規制改革イデオロギーだったはず。しかし、こうした弱者が自律的に生きるシステムに限って、なぜか役所が独占することが進められた。高度成長期なら、そうした弱者は公務員化されてごみ収集などの現業部門に吸収されたが、今はそれが人件費搾取のひどい民間事業者に委託されている。
ごみ集積場が荒らされるというなら、指導すればいい。何も無くなった人が、手と足だけで食べていける方法を地域社会に残しておくことは大切じゃないかと思う。生活保護を切ったり、健康保険をうち切ったりする前に、こうしたことを大切に温存していく知恵が必要なのではないか。
古紙持ち去り業者に無罪判決…区の条例は違憲と指摘
東京都世田谷区でごみ集積場から古新聞を勝手に持ち去ったとして、区清掃・リサイクル条例違反の罪に問われた足立区や横浜市の古紙回収業者5人に対する5件の判決が26日、東京簡裁であり、同簡裁は5人全員に無罪(求刑・罰金20万円)を言い渡した。
2人を無罪とした松本弘裁判官は「条例は、どこがごみ集積場か定義があいまいで、不明確な規定で刑罰を与えることを禁止した憲法31条に違反する」と指摘。他の3人を無罪とした堀内信明裁判官は「廃棄物処理法には一般廃棄物の持ち去りに関する罰則規定はない。廃棄物の持ち去りを無条件に禁止し、罰金を科すのは同法に違反しており、地方自治体の条例制定権を逸脱している」と述べた。
弁護人によると、古新聞などの持ち去りに罰則を定めた条例は、千葉県柏市や埼玉県草加市などでも制定されており、同区条例が違憲・違法とされたことで他の自治体にも影響を与えそうだ。
判決などによると、世田谷区は2003年12月、同条例を改正、「一般廃棄物処理計画で定める所定の場所」に置かれた資源ゴミを、警告や禁止命令を無視して持ち去った場合、20万円以下の罰金を科すとの罰則を定めた。区は04年7月~05年2月、業者13人を同条例違反で告発。13人は略式起訴され、1人は略式命令を受けたが、12人は無罪を主張して公判が続いていた。
(2007年3月26日21時42分 読売新聞)
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