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2007.02.04

2/4 少子化対策にわーっとなるから産む機械発言が出る

午前中、強風の中を散歩。たまらず近所のデパートに行く。このデパートのエレベーターは地下2階駐車場から乗ってくる屈強なマイカー族に占領されてなかなか乗れない。ベビーカーを押しているときにはほんとうにたまらない。買い物を断念することもままある。

午後、久しぶりに昼寝。日なたで寝たら、腰が暖かい。

●離婚後300日以内に生まれた子は自動的に前夫の子とする民法の規定が問題になっているが、2002年にすでに群馬県沼田市の担当者から法改正の要望があったにもかかわらず、要望に応じがたいと回答していたことが判明し、マスコミで次々に報道されている。安倍晋三は「正しい家族」という言葉を使うが、正しい家族の観念にがんじがらめになっていると、思いもよらない人たちを法律の枠外においてしまう結果になる。当時の法務省も「正常じゃない」から考えないようにしてしまったのだろう。

●朝のテレビ番組で、江戸学者の田中優子さんが柳沢厚生労働相の問題発言に、「子どもが増えれば社会発展するという固定観念しかない人の言葉だろう。高齢者の人口割合が大きいという構造問題と、高齢化が急速に進むという速度が問題になっているのに、少子化対策しか浮かんでこない人たちの感覚が古い。少子化の議論についても、少子化対策以外の手段はいくつかあると示されているのに、少子化対策だけが重要課題にする感覚のベースも、そもそもは産む道具という考え方にある」という発言をされていて、同感した。人口急増も少子化もあった江戸時代の研究者らしい判断力だと思う。少子化というとわーっと飛びつく政治家や官僚の感覚に、柳沢氏の失言のベースがあるとみてよい。

構造問題は、まさに田中さんが言うように高齢者を働かせればいい。重度障害者にも労働をせよと要求しているこの時代に、高額年金与えて、元気な体をもてあまさせて、生き甲斐対策といってハコモノの集会所をいくつも作るような今の状態がおかしい。速度の緩和は、財政の資産・債務による吸収をやるなど方策は考えられる。

阪大の小野善康教授にインタビューしたときに、少子化対策が成功してしまったら、今の若い人は高齢者の負担も子育ての負担ものしかかってつぶれます、と断言していて、実際に、今の時代の豊かさを謳歌しているのは、子どもを産まなかった人やそういう家庭なのだ。家庭というミクロベースでもそうだけども、自治体もそう。子どもの多い朝霞市と、同じ人口規模の浦安市と財政構造や人口構造を比べると、浦安市の方が子どもが少ないために10%も15~65歳人口が多く、(市民税や固定資産税の計算根拠となる所得水準や地価が高いという要素もあるが)財政収入にゆとりがある。子どもが多いということの個人的幸福感と、社会経済的メリットを混同してもはじまらないし、当事者たちにとっては、なんだか全然感覚の違う話だと思う。

そして、少子化対策だから子どもや子育てしている人を大切にしようという議論も逆立ちしていて、少子化であろうがあるまいが、子どもや子育てしている人を大切にするのは必要なことだという議論を立てないから、子どもや子育てが社会にとって大切だという議論が借り物の議論にしか見えない。

子どもが仮に増えたとしても、昔のように勤勉・実直であり我慢さえできれば何とかなるという時代なら、どんな子どもができても鷹揚に構えていられたけど、むちゃくちゃ高度な学問をつけて英語がしゃべれないと能動的な仕事につけず、そうじゃない人には、中国人やインド人並の賃金じゃないだけありがたいと思え、と言わんばかりの待遇で働かされる(労働力過剰)なこの時代に、何も経済のこと考えて子どもを増やすなんて実感にはないだろう。

そんなことを思って朝日新聞を広げると、少子化だからと年金の積立方式のメリットばかりを紹介していた。少子化=年金の賦課方式の破綻、という図式も固定観念だと思う。高所得者の新聞屋は積立方式の議論が大好きだが、この議論は、年金業界では、賦課方式の中のアレンジでしか公的年金は制度維持ができないとケリがついているんじゃなかったっけ。

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コメント

おっしゃるように年金は「積み立て方式=詐欺(あるいは無理)」で決着がついています。
それと、少子化対策は必要ですが、今の高齢化社会にはどんな少子化対策も間に合わない、ということも決着がついていると認識しています。
その上で、福祉の対象となる人を増やさない施策が現実的なわけですが、世の中、そういう議論がはやっていませんね。
もちろん、少子化対策というか、子どもにある程度お金を投入することは公平なことだし、年寄りも損をしないということをもっと宣伝しなければならないと感じています。

投稿: takeyan | 2007.02.05 00:19

いつもありがとうございます。
おっしゃる通りで、福祉の対象とならない人を増やす、ということに加えて、福祉の対象になっている人の生産的な能力を引き出す、というのがこれからの社会の処方箋だと思います。
昨年からの介護保険制度の見直しで、「福祉の対象にならない人を増やす」という考え方が入ってきていますが、筋肉系の介護予防が中心で、結果として給付抑制の発想ばかりです。「福祉の対象になっている人の生産的な能力を引き出す」発想はゼロです。
さらに社会保障では微々たる介護保険がいくら努力してもダメで、大鉈入れるのは社会保障給付の8割を占める年金と医療だと思います。
少子化対策とは別格に、社会は子どもにもっとお金を使え、という議論はしていかなければならない、というのは同感です。

投稿: 管理人 | 2007.02.05 01:09

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