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2007.02.25

2/25 下流喰い

須田慎一郎「下流喰い」を読む。社会ダービニストの田原総一郎の番組にレギュラーで出ていた著者が、こんな話題を本にするとは思わなかったので、意外に思っていた。ようやく読む機会ができた。
昨年のグレーゾーン金利廃止の議論の中で、サラ金業者寄りの立場で、金利規制そのものがナンセンスとか、低すぎる金利規制は貧困者を困らせるだけだ、という議論が展開された。とんでもない議論をする人たちがいるものだと思ったのでとてもよく記憶に残っている。親族に現金を持っている資産家か何かがいて、現金に困っても何も恐怖感のない人たちなのだろう。貧困者は生活保護行政を頼るべきで、サラ金なんかで「お上に頼らない」とやせ我慢してはいけない。

サラ金業者がお金を貸したがるのは返済能力のある人ではない、ということを著者は取材から喝破し、そもそも返済能力が厳しい人に貸して、良くて一生利息を吸い続けるか、悪ければ破綻させて、さらに下流の金融業者に債権を売り飛ばす、そしてその先には、親族身ぐるみ資産を収奪するか、人身売買が待っているか、ということなのだ(その手口は「ナニワ金融道」に山ほど出てくる)。

それが正業としての金融業のやることではないと思ったし、その場合の金利は、市場原理によって制御できるようなものではないということではないか。やはり金利制限というのは正しい施策だったと思った。

東武電車(本線・東上線とも)にサラ金や多重債務解消の悪徳弁護士・司法書士の広告がやたら多いということも指摘されている。年収400万以下の、金融業者のカモが沿線に集中的に住む地域だということだ。こうした人の生活改善や、時には所得向上策(つまりは能力開発事業)をこの地域の自治体はやっていく必要があるんじゃないかと思う(ところで、東武鉄道や東武労組はサラ金や悪徳弁護士のカンパで電車を運営していることを恥ずかしく思わないのだろうか)。

余計なことだが、商店街のテナント規制なども必要だし、自治体の生活保護行政を始め、生活支援・相談体制をきちんとしていくことも必要だと思う。

●金融庁と総務省が、自治体の多重債務者の相談体制について全市町村に対して調査するという。3月9日までに回答を求めるとしている。朝霞市にそんなものあったかな。あったとしても、この私が知らないのだから、「借りた金は返すのがまっとうな人間じゃないか」という債権者からの呪文に縛られて視野を広げられない状態におちいった多重債務者にはもちろん認知はされていないだろう。

●クラスター爆弾規制に消極的な外交。
自衛権しか持たないとしている国が、どうしてクラスター爆弾なんか容認する必要があるのかわからない。また核兵器廃絶を国是としている国が、核兵器はなくそうと公式発言をしているのに、もっと実害のあるクラスター爆弾は規制しないことがどうして説明つくのだろうか。

●核兵器を持っているとは思えないイラクや、持っていないであろうイランに対して大量破壊兵器の開発の疑いありとして、先制攻撃論を求めながら、現に(戦闘能力には疑問がありながらも)核兵器を持っている北朝鮮に大甘なアメリカに追随する安倍政権を、右翼・右派・新保守主義者たちはどのように捉えているのだろうか。日本の利害からいえば、そっちよりこっちの方が先だろ、と声を大にして言うべきなのが彼らの立場じゃないだろうか。

金融庁と総務省、自治体に共同調査 多重債務者相談体制2007年02月25日18時34分朝日
 総務省と金融庁は、多重債務問題に対する地方自治体の取り組み状況について調査する。政府は約1800の全市区町村に多重債務者向けの相談窓口を設ける方針を固めているが、予算や人員の確保が難しいとの見方もあり、実態を把握して具体案づくりに役立てたい考えだ。

 質問は相談件数や対応部署の有無、人員の規模、国への要望など18項目についてアンケートする。都道府県が取りまとめ、3月9日までに報告する。総務省と金融庁は調査結果を分析し、政府が4月をめどにまとめる多重債務者対策の改善プログラムに自治体への支援策を盛り込む方針だ。

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