2/17 サラリーマン、地域の子育てについて議論を重ねてきた
先日、朝霞市の次世代育成支援行動計画の推進委員会の会合があった。2年間、公募委員として参加し、臨時会がなければ(事件でもない限りはありえない)これで最後の集まりとなる。「行政の審議会等ではよほどのことがない限り慎んだ態度でいるもんだ」という「もんだ」の論理と空気に押しつぶされそうになるが、今回は、最もフランクに議論が進められた回となり、思わぬ人たちが熱弁を振るってくれてとてもよかったと思う。
これまで私自身は、「もんだ」の論理でコミュニケーション不全になることは良くないと考えていて、言うべきことを公的な場で言う機会を得たのに言わず、後でぶすぶす不満を言うのは市民の責任としてどうかと思うこと、それから、日中開かれるこういう場に出て発言の機会を獲得できない、保育園の一般利用者の保護者、サラリーマン、とりわけ都内通勤者として、市側に煙たがれることを覚悟しながら、これまで「もんだ」の空気をうち破るようガンガン意見を言ってきた。
ガンガン意見を言ったのは、保育園利用者や都内通勤者に影響の大きい内容を議論するのに、そういう人がなかなか参加できない状況があったから。そして幸いなことに、私場合は、職場が応援しているなどと甘えたことは考えないが、少なくとも有給休暇の範囲内で許容してくれて参加できる立場にあって、イヤな言葉だけど「私が言わなければ誰が言うのよ」という気持ちがあったからだ。うるさい市民だと思われるだろうし、自分や自分の周囲の人の保育園の入所での口利きはもちろん、誤解を招くような入園判定の情報確認をも拒絶しなければならないが、自分に不利益になってもそうした裁量を拒絶した上で、正面から都内通勤者の気持ちを伝えることが、最低限私に課せられた役割だと思った。
【次回からは公募委員が新たに募集し直されます。子育ての当事者で保育園を使っているようなサラリーマン・サラリーウーマンの人に応募してもらいたいです。平日は年2~4回なので、その範囲で有給休暇を取れる人や、代休などで調整できる人はどんどん手を挙げてほしいと思います。サラリーマン層が意見をいわなければ、昼間市役所に出入りできる人と子どもを仕事にしている人だけで子育て政策が決められてしまいます。また、多くの団塊サラリーマンが退職後の地域の居場所づくりに苦労されていますが、こうした機会で早くから地域社会との接点をつくるのにもいい機会だと思います】
今回は、児童館の開設と子どもの地域社会での遊びのあり方、保育所の保育時間の延長、商店が子どもに関心を持ってもらうための施策、民間の子育て関連施設運営のときの家賃問題など議論された。
保育時間の延長について、関連業界の委員たちから「子どものためには」という大義名分での後ろ向きな発言が続いた(委員会に出ていた市の女性職員も大きくうなづいて、それってどうよ、と思った)が、私が「通勤時間は地域の人たちが想像するより長く、今の保育時間ではちょっとしたサービス残業もすべて返上してお迎えをしている。保護者を追いつめた状態で家庭に帰せばいいと言っても子どもにいいということにはならない」と意見をした。
古川孝順(東洋大学教授)委員長が「(子どもと保護者と保育所という)一面的な問題だけではなくて、保育のニーズは就労とか仕事のあり方とか社会のいろいろな状況が複雑にからみあっていますからねぇ、こうだと言い切るのもどんなものでしょうか。」といういなしで、関連業界の委員さんたちからは「必要かも知れませんが、全園一斉はどうかと思います」「補助要綱に合わせるための施設や職員の整備が大変なのでそこを何とか」という意見で、本音や妥当なところに議論が落ち着いたように思う。
確かに、事業者だけで何とかしようとすると、補助要綱が整備されないとできないということで終わってしまう話だ。しかし行政と施設運営者が補助金の有無について議論して、保護者にやれません、やります、と一方的に通告するような政策決定をする時代ではないと思う。まずは保護者のニーズを自治体が受け止めやる方向をきちんと打ち出し、実施にあたっての障害となる、補助金の制度やら、施設や職員の数についてどう考えたらいいのか、施設運営者と自治体と保護者や関係者で十分話し合って、補助を増やすにしても、みんなの合意で後押ししていくことが大事じゃないかと思う。
商工会から出てきた委員さんが、とってもいい視点での発言をされていたのがとてもよかった。
最後ということで、先週末に地域での市民活動をしているメンバーと公募委員でつくられたワーキンググループでまとめた「カウンターレポート」を提出し、行政とは違う立場で、委員としての一定の評価をし、委員会に報告した。古川先生からは「本来は委員会として評価をまとめた方がよかったけども(労力的に)無理だった。自分たちなりの評価をまとめて行政に出すことはいいことだ」とした上で、委員会全体として討議して承認するということはできないが、ワーキンググループの意見として受け取り、今後の市政の参考にしてもらう扱いとし「カウンターレポートというのは言葉がきついので、ワーキンググループからの報告程度にして再提出をすること」との宿題をもらった。
内容は以下のとおり。
計画全体の評価
1.少子化を中心課題にすえた計画に無理がある。朝霞市の場合は多い子どもの数、子育てしている人の数にどう質の高い子育て環境を整備するのか、と課題設定すべきだったのではないか。
2.目標が不明確であり、評価ができない。
3.具体的な施策の事業が、縦割り行政の寄せ集め、国や県の施策の羅列が目立ち、問題解決が見えない。
4.目標と具体的施策の内容の整合性や水準がなく、目標と正反対の施策、矮小化した施策が目立つ。
個別施策の評価
1.子育て支援・・・①民間の子育て支援グループが力を持ち始めたということを認識した対応をとること。②子育て支援センターが児童虐待防止や育児ノイローゼの防止に効果を上げているのか疑問。利用している保護者たちを施設から地域に戻すロードマップを作って支援すること。③児童館と子育て支援センターの役割が保護者のたまり場として重複している。児童館においては子どもの主体的な遊びを核に内容を再編成して、さらに行き場のない中学生、高校生のニーズに応えるよう努力をされたい。
2.小児医療・産科医療・・・①小児医療の絶対数の不足。基幹病院の強化を。②村山医院の産科撤退の後の対応を。③産科救急医療の体制について構築されているのであれはきちんと広報すること。
3.障害児とその家庭・・・①前進が見られたので評価したい。②満足度や効果の評価が必要。
4.保育所・・・①ひどかった待機児童も、新規開設に取り組んだため量についてはおおむね充足する見込みのようで取り組みに評価したい。今後は女性就労率の高まりを注視しながら需給バランスを監視すること。②就労社会参加が多様化する保護者への対応、乳幼児にとってのセーフティーネット機能、質の向上がこれからの課題。
5.家庭保育室・・・①質の確保に向けた公的責任の追求について評価。しかし対応が朝令暮改にならないように。②待機児童数と比較しながら保育所の補完的役割から変化していく方向を業者、保護者、行政で検討されたい。
6.放課後児童クラブ(学童保育)・・・①施設に対する受け入れ人数が多すぎて人権問題である。②安かろう悪かろう保育から脱却し、施設や職員の待遇と費用負担を見直すように。③小学校高学年児童の保育について実施の検討を。④今は校区の一体化しているが、学校のいじめなどを考えると校区と関係のない放課後児童クラブも必要だ。
7.ファミリーサポートセンター・・・①推進していることについて評価。②保育するサポート会員に対する研修の機会が和光市などに比べて少ない。
8.家庭の多様化に対する対応(ひとり親家庭など)・・・①国の施策を羅列しているレベル。補助金配りだけでひとり親家庭の自立には不十分な内容。②離婚前段階から始まる総合的な相談を行い、子どもが不安定に過ごす期間をできるだけ短くするよう努力されたい。
9.児童虐待の対応・・・①発生要因にとりかこまれている朝霞市の社会環境を十分認識してほしい。②予防につながる施策を行ったり、市としてできるセーフティーネットとしての諸施策を充実させていってほしい。③ショートステイ事業の目的は児童虐待の対応ではないが、その前段階、初期段階の対応として機能させることができるので評価する。
10.子どもや女性の人権・・・①目標は妥当な内容なのに、個別施策が矛盾していたり、無意味なものが多い。見直すべき。②子どもに関わる公的機関は、子育てや子ども、性別役割分業に関して、誤解や偏見、差別の入り込んだ視点での克服が必要だ。③障害・外国人児童の不公正な選別につながる事務の一掃を。④子どもの自治、子どもの参加を進めること。
11.道路環境・・・①川口市の保育園児の列に自動車が突っこんだ事件を他山の石とすべき。②子どもに関する交通事故の責任を子どもに負わせるような交通安全教育ばかりではなく、速度制限や通行規制などドライバーにも交通安全に責任を持ってもらうような施策を行うべきだ。
12.育児休業制度の普及・・・①子育てしている人たちの感覚をつかむことに有効でもあるから、男性市職員の育児休業取得を実現するよう制度を整えてほしい。強制育児休暇制度のある広島県三次市、交代で短期間の育児休業を取得できる大阪・池田市や新座市の制度を学ぶべき。②市の事業を受注する業者決定に育児休業取得状況を指標として加味すべきだ。
全文あさか子どもプランカウンターレポート(pdf形式294kb)をダウンロード※表題についての修正は、細部について再確認が必要なので、当面は修正前の表題、カウンターレポートの名称のままで公開します。
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