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2007.02.12

2/12 ハコモノ行政は古代からの伝統か

引き続き、梅原猛「隠された十字架」を読み続ける。大化改新は、聖徳太子の子、山背大兄皇子を殺害して専横に走った蘇我入鹿を討つという話で信じ込まされているが、実は成り上がりの中臣鎌足が朝廷の中枢権力を掌握するための政略だったという話。
皇室典範改正とか、歴史認識などで議論かまびすしい。もっと早めに読んでおいた方がいい本だった。

面白い発見もした。梅原氏は、古代の権力者は、政敵を仮借なく殺害し抹殺したが、その後始末に鎮魂として宗教施設を建てたてて、徳の高い諱をおくり、手厚く祀ってきたという。

政治がハコモノ行政に熱心なのは、この伝統に由来するのかも知れない。日本の伝統なのかも知れない。今もって行政サービスは、そこでどのような行政サービスが行われ、どのようなスタッフがいて、どのような効果が上がっているということより何より、どれだけ立派で人々の歓心を買える施設を作ったかが、政治や行政の徳の高さの評価になっている。だから公務員の人件費の削減には熱心なのに、ハコモノ行政には何一つものを言えない自称改革派が多い。
ハコモノ事業が止まらないのは、利権がらみで抜き差しならないというのが理由だけども、行政支出ならハコモノじゃなくたって利権にできるわけで、どうしてハコモノ事業ばかりが相対化できないで熱心に続けられるのか、そこには有権者の意識まで含めた何らかの政治的分析の対象があるはずじゃないかと思う。

●議論が沈静化してきたから批判するが、菅直人氏の「産む生産性」発言、民主党のマッチョ体質を体現していると思った。結党直後は積極的に応援してきた民主党だが、仕事もあったり、プライベートもあったりする中で、まともにつきあっていたら自分もダメになると思って、ひきこもり消去法的支持に転換した。そのきっかけは子育てや人の人生を小馬鹿にしている体質に気づいたことだ。これでは平和運動に明け暮れている旧社会党と同じだと思った。人生にかかわるリスクの問題(医療や福祉や失業)にまじめに取り組んでいる議員の評価がおそろしく低く、同じ条件で落選している候補があればそういうことに取り組んでいる人ほど簡単に公認を剥奪されていたりする。ひどいときには抵抗勢力呼ばわりする。一方で、保育園なんて共産党の政策だろ、という程度の議員が、非現実的かつ危険な嫌中嫌韓・歴史英雄教育推進論者は簡単に公認が取れていたりする。もっとも質の悪い家族政策が出てくるのも、どこの党よりも民主党の中からだ。
その点は、(支持する気はないけど)公明党の方がよっぽどましだと思うところも多い。今回の発言は菅氏の問題でもあるが、背景にある党の体質や、大切なものを見る価値観が問われているんだと思う。若者や子どもを年金財源としてしか評価していなかったり、人口=国力という価値観で、男女の役割分担の残酷さ、新自由主義的経済の弊害に対する視点があまりにも鈍感で、生活を置き去りにした議論が大好きなところじゃないかと思う。公明党や共産党のようなどぶ板陳情政治でもない、小泉構造改革のような生活を置き去りにした国力づくりではない、別の選択肢を提起しなければならないんじゃないか、それができないと、こうした失言は民主党からまた次に出てくると思う。

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