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2007.01.04

1/4 月9万の家賃で怒るな

●今朝の毎日新聞1面トップが、国会議員の9万円の宿舎に誰も入らないという話。あれはマスコミの叩きすぎだと思う。もっと大問題でマスコミも国民も怒るべきだろう。

国会議員になる資格を東京以外の人にも開いていること、それから選挙区制度というものがあって二重生活を余儀なくされることの2点から、地元の自宅と別に東京に住宅を構えることは避けられない。こうしたものは現物支給があって当たり前だろう。SEなど仕事の事情で長期出張させられるが、その居住コストを自前で払えという話もないだろう。また周辺の家賃が45万という話にしたところで、自前で払える人もいるだろうが、一部または全部を会社持ちで負担して住んでいる人が多いのではないか。

オレよりアイツが良い思いしているという議論をするのはいい加減にした方がいい。仕事をやっているかどうか、仕事に不正はないかどうか、そういうことで怒るべきだろう。

もし150万程度の国会議員の月収で、公設以外に秘書を2人(選挙をほとんど団体・組織が丸抱えでやってくれる参議院比例候補以外は最低水準だと思う)雇い、選挙区の事務所を開いて家賃を払い、45万の家賃を払えば、その議員の収支は大赤字になるだろう。そうなれば、どこからかお金を調達しなければならない。家賃だけで言えば差し引き月36万だが、それでは片づかないような、何十倍もの公共事業を国会議員はやり散らかし、そのキックバック的な意味を持つ献金を集めて穴埋めすることになるだろう。どちらが財政を痛めているのか、よく考えるべきだろう。
月9万の宿舎に騒ぐより、国会議員が月150万円程度の収入で20人近い秘書を雇ったり、大きな広場にプレハブ小屋を建てて選挙をすることができるのか、その裏側のシステムを騒ぐのがマスコミの役割であり、そこにきちんと評価を下すことが国民の役割じゃないかと思う。

お金のかからない政治をすすめるためには、ある種、どう考えても必要な現物支給のコストはかけざるを得ない。宿舎や秘書の数、議会事務局の職員、議会の資料収集能力などにはお金をけちる必要はないと思う。同じようなことを普通の仕事で通用するだろうか。上司から年収5000万にしてやるから、部下の人件費、机や椅子、事務所の家賃、自分で払えなんて仕事が他にあるだろうか。そういう普通のサラリーマンが自分で払ってもいないものを国会議員だけは自分で払え、というのは、民主主義の国民として無責任な議論のように思う。月9万の家賃の必要性など考えずに怒っていられるのだ。じゃあ、その家賃分、誰かが浄財を寄附するのか、と聞いてみたい。そこには政治家を国民の共有財産としてコントロールしていく、という発想が皆無で、お任せ民主主義の構図のままに偉い奴に怒っているかたちしかない。そういうことで怒る国民ほど、自分のために利権を運んでくれば熱烈に支持し、そうじゃなければ税金泥棒として怒っているだけなのだ。
劣悪な経済環境のなかに国会議員をおいているから、国会議員や秘書などのスタッフたちは、平日は議会、土日は選挙準備と、劣悪な労働条件に耐えることを自慢するような人しかいなくなっているのが現実だ。そういう屈強な連中が意思決定の中枢にいるものだから、結果として、労働規制など必要な社会的規制はどんどん骨抜きにされ、昼も夜も寝る時間も削って働くような社会にさせられてしまったのではないか。

まして、国会議員は「国権の最高機関」として、できる限りお金など卑俗なものに束縛されずに仕事すべき立場であるにもかかわらず、家賃の資金を捻出するために公共事業の口利きなんかを今以上にやるようになられたんではたまらない。
政治家になる人が、いらないお金を持ち出さなくて済むようにしていかないと、普通の人が政治家になる道が閉ざされ、二世議員か、裏金と結びつく世界にいる人か、組織の代理人しか政治家になれない時代にまた逆戻りしてしまうと思う。

政治家の支出の最大の要素である選挙については、選挙を個人どうしのたたかいから、党どうしのたたかいにすることで、個別の政治家はお金を使わなくて済むようになる。そういう意味で、1993年の政治改革は、政党助成金をもって政党にひものつかない資金的余裕をつくりながら、各選挙区の候補の使う選挙資金は相当減っており、一定の評価をしてよいと思う。これを地方選挙にまで広げられるかが課題だ。

話は戻すが、現物支給がきちんとされ、お金のかからない選挙制度が徹底され、政治にかかるコストを報酬からあまり持ち出さなくてよくなれば、国民感情と同じで、議員の報酬などは、他の知的労働者の水準に下げてもいいのではないかと思う(行政権に対抗していく意味では高級官僚との給料バランスも考えなくてはならないが)。

それからさ、月9万払っても職場の近くに住めないこの社会って何なのか、そのことに怒れよと思う。月9万で3LDKのマンションでしょ、それ自体は安い家賃とは思えない。周辺のマンションの家賃の方がおかしいんだ。
税金が高い、人件費が高い、何が何より高いとまことしやかに議論をする人が多いが、この国の不動産価格の高さそのものについて議論する人が野口悠紀夫と和田秀樹ぐらいしかいないことに怒りを感じてくる。とかく高い高い言われる生活保護費だがそれより高い3LDKの家賃、高いばすの人件費から3割から5割も家賃に払わなくてはならないこの国の大都市住民。むかしの地租と比喩できる税金みたいな家賃を食べていながら、慈善団体に寄附している程度のものを除けば、社会的価値のある仕事をしている話はごくわずかの例外以外聞かない。
こんなに不動産価格が高いのは、他では華僑が支配している大都市だけだ。

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コメント

マスコミや国民に叩かれるのを恐れる国会議員が悪い。
堂々と借りて、叩かれたら、あなたが言うような説明して納得させればいいだけ。

>SEなど仕事の事情で長期出張させられるが、その居住コストを自前で払えという話もないだろう。

会社が払わないと言えば出張しないぞと言うでしょ?
このぐらい強気でいられないぐらい、自分の仕事に自信がないなら、辞めたほうがいい。
会社から払わないと言われれば、辞めることを考えるでしょうが。

投稿: 通りすがり | 2007.01.06 13:40

おっしゃる通りですね。

前段の話は、聴く国民の姿勢も問われています。9万けしからんと妬んでいる人に、理屈で説得するのは難しいよう気もします。自分がもしやらされる立場だったらどうなのか、という想像力が大切になってくると思うのです。

後段の話は、その程度のことでやめてしまえば、ワイロみたいなお金を集める人がますます議会を占めることになってしまいます。そこが、実業の世界のように、いらないものはなくなるというシンプルな原理が貫徹していない政治の難しいところです。

投稿: 管理人 | 2007.01.07 00:59

だって「ワイロみたいなお金を集める人」の方がマスコミの既得権益を守ってくれるんだもの。マスコミはそういう不敗した政治家をペンの力で守る。その代償として、腐敗した政治家はマスコミの既得権益を、「報道の自由」を口実に『聖域』として保護する。
持ちつ持たれつと言う奴ですよ。

投稿: とおりすがり | 2007.01.07 04:50

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