1/27 市民の権利擁護より事業の方が大切な市役所
午後1つめの予定は、地域福祉計画の福祉オンブズマンプロジェクト。近隣自治体でオンブズマンを設置している市と、福祉オンブズマンを設置している区を訪問して調査することを確認。市に対する要請として出したものの回答が不満で、次回に再意見書を提出する予定。
市の意見として「開店休業状態の自治体があるようなので」と、オンブズマンの必要性について市は疑義を呈しているが違うと思う。詳しくは意見書に書くが、たとえて言うなら治安のよい自治体に警察や防犯活動がいらないということにならないのと同じ論理ではないかと思う。とりわけ福祉の利用者は、たえず自己規制をし、明らかな人権侵害にも遠慮して声に出さない人が多い。また、身体能力としても経済能力としても、訴訟を起こしたりや県庁に何度も行ってまで問題を明らかにしていくことは、物理的に不可能で、地域の自治体がこうした社会的弱者の権利侵害を放置しないという姿勢が大事じゃないだろうか。こういうことにタカを括っていると、朝霞市役所が雪印や不二家のように、いつか福祉の問題で、裁判に訴えられたり、警察沙汰になるんじゃないかと心配になる。
「先行事例に倣うのではなく、独自に考えていく必要がある」というが、福祉の先進自治体がそういうこと言うならともかく、複雑な福祉問題は県施設に押しつけるか、東京都に福祉難民として送り出してきた朝霞市に、福祉の応用問題を解決するスキルがあるとは思えない。同時に深刻な状態を受け止め解決してきたスキルも少ないと思う。「独自に考える」というのは、だめんずの「オレ流」に近いダメ思考である。だめんずが職安で履歴書の書き方、面接の受け方の基本を教わるように、まずは基本をきちんと習い、スタンダードな制度を整えることが基本だろう。当事者が福祉サービスで不当な扱いを受けたことは消費者問題でもあり、それに「独自」って何があるのだろうか。
「地域包括支援センターの活用を検討しては」というのは賛成だしその通りだと思うが、どちらかというとそれは福祉サービスを受ける前の事前の総合相談機能の充実の話で、権利侵害の救済機関の話ではない。
朝霞市には介護事業者や医師が運営しているものしかない。人口比で3~4カ所設置しなければならないが2ヵ所しかない。両方とも交通不便地域だ。そこが、福祉の権利侵害までやっている余裕も、立ち向かっていくことも難しい。同業者の失敗をことさら厳しく追及できるだろうか。
それなら地域包括支援センターの運営を介護事業者や医師に丸投げしているだけの状態を改善すべきで、市や社協など公的機関が1つぐらいは運営したらどうかと思う。
「事務局が福祉サービスの提供者である行政で良いのか?」というが、大切にすべき理屈が逆立ちしているとしか思えない。福祉サービスそのものを運営するのが行政の一番大切な仕事じゃない。
福祉を必要とする人が不当な状態におかれないようにすることが福祉行政の第一に求められる役割で、その次に福祉サービスが公的な立場から違法な状態や利用者にとって悲しむべきような状態で運営されていることがないように監督することが行政の大事な仕事である。具体的な個別の福祉サービス(朝霞市でいえば保育園)を行政が提供しているのは、運営者が誰かという副次的な問題でしかない。公営の福祉があることを理由に市民を権利侵害から守る責任からほおかむりすることはどうかと思う。そういう責任放棄の論理立てするなら、かえって公立保育所の民営化をせよ、という声は高まっていくだろう。これはコスト負担の問題でしかないから。
福祉オンブズマンのような、収益が期待できないけども、公的な価値が高い仕事(他には消防署や警察、裁判所などもそうだ)こそ行政が運営していなかければ行政の存在意義が疑われるのではないか。こんな収益のあがらないことを民間にやらせようというのなら、タリバンに支配されたアフガニスタンと同じ論理である。
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