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2007.01.27

1/27 高齢者の安否確認

午後2つめの予定は、地域福祉計画の「高齢者・障害者の危機管理プロジェクト」の高齢者ヒアリング。デイサービスに通っている3人の高齢者の話を聴く。

病気やけが、災害、そして犯罪被害という3点から高齢者や障害者を守る仕組みを作るムーブメントを作ろうというプロジェクトで、最終的には、市役所や介護、福祉事業者、その他いろいろな人たちに提言をしていく。
その最初の段階で、当事者が、どんなことに注意を払い、どんな人たちと関わりながら生活しているのか調べる作業だ。統計調査ばかりに依存しないで、人々の暮らしのなかのオーラルヒストリーを蓄積していって解決策を考えるのが朝霞の地域福祉の市民委員会のいい習慣・手法になっていると思う。統計調査では少数の人の課題になりがちな福祉を考える上で、ヒアリング取材というのはとても大事だということは、この間読んだ岩田正美「社会福祉研究法」(有斐閣)にも書いてあった。

3人が3人、高齢独居者で、話は勉強になった。買い物がスーパー・コンビニで済ませられる時代に、定期的に配達があったり御用聞きするサービスは新聞ぐらいしかないこともわかる。低所得の高齢者にとっては、新聞を読むこともなく、ほんとうに親族と公的サービス以外はほとんど安否確認が行われないことがわかる。むしろ男性高齢者の方が、料理が苦手なため宅配の惣菜などを利用していたり、新聞を読んでいたりして、まだ安否確認のつてが多いと思った。

基礎年金しかない高齢者の生活についても聴くことができた。家賃で収入の半分以上が持っていかれて、なかなか厳しい。こうした自立すれすれの人に対する福祉は脆弱で、宗教団体とワンセットの政治家に頼って公営住宅の入居を斡旋してもらうか、親族に頼り、子どもの嫁や婿と嫌な思いをしながら死を待つことを勧められるかだ。不動産屋天国ニッポンの弊害を垣間見る。すべての物価を高いと言っているのは貧困者じゃないのだ。ほんとうの貧困者はまず住宅費を何とかしたいと思っている。
興味深いのは詐欺も窃盗も、こうした高齢者のところにはあまりやってこないようだ。騙しても、借金させても回収できないことがわかっているからだろう。犯罪には下調べが行われるということを証明している。振り込め詐欺や消費者問題を起こす詐欺は、中産階級の高齢者の問題だとわかる(中産階級とてもう年金生活者という無産者なので事態は深刻なことに違いないが)。
基礎年金だけで暮らすような高齢者にとって風呂や娯楽も禁欲だらけで、自分自身の大学時代を思い出した。

調査の余談で、デイサービスでマージャンの日があることが話題になり、この高齢者も誘われていた。最初は遠慮していたが、賭をしないマージャンだとわかったとたんに前向きになった。お金のかからない遊びというものをどれだけ発見できるかが、豊かな高齢社会なんだなぁ、と思った。それで思い出した映画があって「月夜の願い」という台湾映画。最初のシーンで、高齢者が集まってマージャンやっていたように思う。
私はマージャンを覚えずにこの歳まできた。この高齢者たちに教わってみたいという気持ちが起きた。高齢者と一緒にマージャンをやるというボランティア活動もありだと思う。

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