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2007.01.27

1/26 住民合意と行政権の独立→暴走

昨日のブログの議会の記事に関して、自分自身の振り返りから。

質問の場としての議会だから生産的な議論ができない、行政の追認機関になってしまっている、というような問題提起を紹介したが、実は、これは行政部局が行う、各種の審議会、委員会でも同じことが言えていて、行政が原案を説明した後、委員が質問を繰り返し、行政をうならせたり、案を修正させると仕事をした気になっていたりする。えてして、行政追及型の委員と、行政をヨイショするだけの委員が、行政に自分の意見が正しいと言わせるだけの対抗関係しかない。

しかし、本来は会議の場なのだから、委員どうしが自ら考えて、文章化して、提案するぐらいやらないと市民参加ではない。また、行政が提案したとしても、委員どうしで議論して委員の自治能力として結論をもってこないと、市民参加なんかやっても行政の意のままである。
私も朝霞市の地域福祉計画の策定でもそれを心して関わった。行政にいちゃもんをつけるだけの参加では面白くない。そういう時間があったら、作ること、決定することにそもそも市民参加をやっていく時間に使いたかった。2年間は委員長もそういう方針で、行政に意見を引き出すような発言は「われわれがどう考えるべきか、そういう立場で意見を発表してください」とよく軌道修正していた。
行政にいちゃもんをつけている範囲では、行政権の不可侵性に何の挑戦もしていないのだ。施策の決定権を市民に取り戻すためには、市民どうしで話し合い、合意や落としどころを醸成していく討論が重要なのだ。

地域福祉計画の原案を作った策定市民委員会では、公募市民による委員どうしの議論、調査活動をとても重視して、活発に行われたことがよかったし、実際に原案作成から手法の開発まで市民が市役所やコンサルと調整しながら主体的にやってきた。
上位の意志決定をする策定委員会では、行政に答弁を任せきりにせず、私を含めて3人の、原案を作成した市民委員会と重複する委員が、明らかに行政が説明すべき事柄以外は、スケープゴートになる覚悟で、有力者からなる委員たちからの質問から批判まで引き受けた。実際、特定の委員からスケープゴートにされたけど、市民自治という観点からは、行政だけが批判の矢面に立つことは良くないわけで、進歩もなく毎度私を目の敵にしてきたその委員にはいろいろ思うところはあるが、スケープゴートになったこと自体はまぁいいかと思っている。

●群馬県伊勢崎市が、市町村合併のアメとして発行を認められる合併特例債を財源に大観覧車を作ろうとしていたことが報じられている。市町村合併の本質が見えてくるような話だ。

合併特例債とは、市町村合併をした自治体に、合併で必要な施設を作るための費用を借金できる仕組みで、その70%分の元金と利息の返済を不交付団体以外は地方交付税で国が面倒見る、というもの。財政の効率化という目的のためにばらまきが行われたのだ。

総務省は、新市役所とか、旧市町村境を超える道路が少ない地域の道路造りとか、さも必要最低限のものしか認めないようなことを言ってきたが、実は伊勢崎市のように街のシンボルだかなんだか理由をつけて観覧車を作るような自治体もあったわけだ(公共事業にたかりたがる人間たちとそれを煽る建築家は空虚な思想を騙り●●のシンボルという言葉で無駄をカモフラージュするのが大好きだ)。今頃になって総務省が事実上の疑義を示しているが、そもそも市町村合併の計画段階で、県庁や総務省に、特例債による事業計画として打診されているはずだ。総務省は今頃住民が騒ぎ出したからと、疑義を示しているにすぎないのではないかと思う。

財政が悪い、高齢化社会に耐えられないと、市の様々な事業を民営化したり、リストラしたり、生活保護を出し渋ったりしている一方で、みんながほしがっているからと、観覧車のような「民でできる」事業に市役所がお金を散財するということがほんとうに理解できない。公園、スポーツセンター、温泉・・・、娯楽でしかなくて本来は民で事業化すべきことを、市民、議員、工事業者、運営受託予定事業者などがコンサルタント会社を使って、ワークショップなんかの手法で「他人の意見を否定しない」などのルールを押しつけられ、よってたかって、あったらいい、夢のある施設、と話を持ち上げて、税金を使うことを合意させられる。夕張じゃないけどえてしてそんないい加減な構想で作られた娯楽施設など運営がうまくいかなくて、赤字になって、外郭団体などへ借金の飛ばしや、不正な会計操作でまちの財政にもっと大きな穴をあけていく。そうした施設を作って、儲けているのは誰だったか、よく考えるべきだろう。

伊勢崎市民の名誉のために付け加えておくと、建設反対を訴える署名には、2万人もの市民が署名をしたようだ。賢明な判断だと思う。朝霞市なんか、老朽化した温泉を廃止する合意すらつくれなくて、休止といって誤魔化している。伊勢崎の観覧車建設は、みんなが欲しい施設、という前提そのものが崩れていて、何の公共性もない事業であることがほとんどはっきりして決着がついたのではないか。

●なかなかわかってもらえないが、すべての職場に労組があるべきだ、という理念を持つ労働組合の職員にも当然労働組合がある。その組合のレクレーション事業について、隣席の担当者が昼休み悩んでいた。要望として高かったのがディズニーランドだという。うーむ。レクレーションには違いないけど、ディズニーランドを組合で行く意味があるのかなぁ。消費と相互扶助と生産と切り分けたときに、組合行事ってどこに入るのかな。ディズニーランドって、与えられたものを買うだけじゃん、と思う。それなら私的にやった方がいいんじゃないかな。浦安市と夕張市の成人式の対比のように、好き嫌いも結構分かれるし。

住民が反対の「10億円観覧車」…伊勢崎市が建設延期
 合併特例債を財源として、群馬県伊勢崎市が計画した国内最大級の観覧車について、総務省が特例債の使用が適当かどうかを確認するよう同市に求めていることが26日、わかった。

 同市は同日、建設延期を表明した。

 同省合併推進課は、確認を求めた理由について、「合併市町村の一体性ある事業といえるのかどうか」としている。

 同市は昨年、2005年1月に4市町村が合併して発足した新市のシンボルとして、冷暖房を完備したゴンドラ48台を持つ高さ88メートルの観覧車建設を計画。総工費は約9億9000万円で、市議会は昨年の12月定例会で、工事請負契約を賛成多数で可決した。

 しかし、同市内には、すでに市が運営する観覧車(直径65メートル)があり、新たに公費を投入しての観覧車建設に住民らが反対運動を展開。陳情書や2万人を超える署名を市に提出した。今年1月には、総務省にも約1万人分の署名を添えて特例債使用を認めないよう陳情した。

 矢内一雄市長は、「(建設する考えに)変わりない」としている。

(2007年1月26日21時59分 読売新聞)

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