1/18 アンバランス
NHKの大河ドラマが、毎年毎年飽きもせずに戦国時代か明治維新ばっかりでつまらない。戦国大名を順番にやっていくのだろうか。NHKエンタープライズあたりが、その年の大名のいる県から、観光協賛金でももらっているんじゃないかと思ったりする。もう5年も、戦国時代と明治維新を繰り返しやられたんで、今年は見ないことにする。山梨県のみさなんごめんなさい。
歴史教育とか言うけれども、結局出てくるのは戦国時代か明治維新の臭そうな奴の武勇伝ばっかりなんだよね。うんざり。
来年の大河ドラマは日露戦争だとか。明治維新ののりの延長だけども、それでも少し嗜好が変わるかもしれない。日露戦争は確かに明治維新の理性的な部分がきちんと作動していた「まともな戦争」だったのかもしれないが、あの戦争も、その後の歴史を考えるとどうだったのかと思うことはある。日露戦争以後、日本にナショナリズムが生まれて中毒を起こすし、歴史の必然かもしれないけど右翼も出てくる。
今朝電車の中で読んだ、山内昌之「歴史と外交」では、日露戦争に勝って、その後の40年は坂から転げ落ちる歴史だったのに比べて、太平洋戦争で惨敗して以後の60年はいい時代になった、と戦争の勝敗と時代の明暗の逆転をうまく書いていた。
●教育再生会議が体罰容認論やら、土曜学校登校など、時代のねじを巻き戻すようなことばかりを思いついているようだ。トチ狂っているとしか思えない。
元暴力崇拝のヤンキー、そして左翼学校の教師に転向、そして再び逆戻りした義家が口火を切って体罰復活を切り出したら、他の委員が賛同して、見直しをするという。その体罰禁止が書かれた学校教育法は、1948年にできた法律なので、戦後の体罰教師を容認するにとどまらず、戦前・戦中レベルの体罰教員を容認するというものなのだ。
日本の学校のシステムは刑務所と同じで、やり方は収容所みたいなものだ。そこに子どもを週6日も預けたり、看守に躾を押しつけたり、そんな議論が改革の名のもとにまかり通り、そのことに異議を唱えれば、偏った人間のような言われ方をするなんて、社会の感覚は確実におかしくなっている。
私自身は私塾否定派だけども、めちゃくちゃな論理で改革される公教育なら、子どもには不登校になってもらって、私塾に通ってもらった方がいいと思うこともある。
専門家には、教育がシンプルに教育としてきちんとしている国の事例をもう一度点検してほしい。
余談だが、義家については、新座の革新系市議が講演を聞きに行って感動したとかで、ブログで擁護論を展開していたことを思いだす。古い革新系は情緒論に弱くて、義家みたいのをホンモノと勘違いするから、現実政策で対抗力がないんじゃないかと思う。今日の体罰容認論について、どう考えているのか聞いてみたいものだ。私はああいう社会派ぶって夜郎自大に更正したことを売りにするような元ヤンキーは信用しない。権力の犬でしかない。トラウマみたいな教訓だ。
●憲法改正とか、教育改革とか、イデオロギーの危機を煽ってイデオロギーの改変を目論む右よりの人々って、進歩がないなぁと思う。戦後、吉田茂にやりたい放題、社会制度を改革されたルサンチマンみたいなものを、今頃になって思い出しては全否定し、戦後の社会の爛熟による現象への対処を、憲法改正で戦前的価値を復活させたり、教育改革で道徳律ばかり押し込んだりすることしかアイディアが浮かばない。
●菅義偉総務相(元横浜市議)って、ほんとう政令市の保守系御用聞き議員の枠を出ない人だと思う。NHKの命令放送、情報通信省の創設、NHK受信料の値下げなど、理念もないのに自らの地位の権力性を振りかざしているだけでみっともない。
●日銀が利上げを見送り。そのことの是非はわからない。経済学科卒なのに情けない。
しかし、経済成長に見合う利上げをしなかった結果としてバブル経済が発生し、その後始末に塗炭の苦しみをみんなが味わった経験を振り返れば、金利を上げなかったことを喜んでいていいのかと思う。
企業が豊かで個人消費が伸びないという状況ですべきことは、利上げをしなくて(相対的に金利を下げる)も効果はどうか。クレジットカード、サラ金、銀行の個人向け融資、どれも金利の高低の影響は受けず、個人の借金にそんなに金利は影響しない。好調な企業業績でだぶだぶの投資資金が土地投機に向かっているようだし。景気の下支えがなっていないのは、労働分配率が悪いことの影響が大きいんじゃないか。安倍政権になってから、企業と個人の間のバランスが悪い政策が多いように思う。経済政策は中曽根政権のミステイクに似ていると思う。
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コメント
そう言えば、日露戦争後が舞台となっている大河ドラマって少ないんですよね。『小説日本興業銀行』辺りなんか大河ドラマにしたら結構ヒットしそうだと思うけど・・・・・高杉が首を縦に振らないか?
投稿: 杉山真大 | 2007.01.19 00:28