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2006.12.08

12/8 平和とは貧困が固定化することなのか

往復の通勤電車で月刊「論座」を読む。特集の「現代の貧困」が面白い。

湯浅誠さん「生活困窮フリーターと貧困ビジネス」では貧困者を利用するさまざまな商売が、どんなことしているか告発している。とくに貧困者向けの宿泊施設や住居を提供している業者が、労働と抱き合わせで中間搾取をしたり、金融と抱き合わせでクレジット・サラ金地獄への道を開いたり、ろくでもない。
湯浅さんは、ホームレス・貧困者の支援活動を続けて、住宅保証人を斡旋するNPO「もやい」の事務局長をされている。組合の機関紙づくりをやっているときに、入ったばかりの新人職員が「新しい公共」という特集連載記事の1回を「セーフティーネット」というお題で書くことになって、一緒に「もやい」に行って湯浅さんにインタビューした。

山本譲司さんと浜井浩一龍谷大学教授の福祉施設化している刑務所についての問題提起の対談、フリーターのインタビュー記事どれも読み応えがある。
とくに、左翼陣営にいる身として、フリーターのライター赤木智弘さんの「丸山真男をひっぱたきたい 31歳希望は、戦争。」は考えさせられる。

平和という言葉の意味は「穏やかで変わりがないこと」、すなわち「今現在の生活がまったく変わらずに続いていくこと」だそうで、多くの人が今日と明日で何ひとつ変わらない生活を続けられれば、それは「平和な社会」ということになる。
ならば、私から見た「平和な社会」というのはロクなものじゃない。

人が人を大切にされない問題って様々な切り口にあって、それらを共同解決していくのが左翼であるべきなのに、そうしたことを放置し、生存の危機感だけを煽って何においても平和運動最優先する左翼陣営のあり方は問われるべきと思う。4年前、石原慎太郎に一矢報いるべき都知事選挙で、平和運動に熱心な若者に何とか接触した。彼らは、私たちが設定した候補者と会っている時間だけは、偉い人に慰撫されてニコニコしていたが、いなくなった途端、私たちを「選挙なんかやっているヒマがあったら」と罵倒し続けた。私たちは頼む側だったのでひたすらなぶられ続けた。彼らが私たちに求めるのは生活を棚に上げた座り込みの毎日。でも彼らはいい服着て、理解のある夫や親から経済的に守られていて、それはすばらしかった。読んでいてそんなことを思い出した。
最後に筆者は、丸山真男が軍隊で百姓出身の一等兵に執拗にいじめられる体験を引き出して、「中学にも進んでいない一等兵にとっては、東大のエリートをイジメることができる機会など戦争が起こらない限りはありえなかった」と指摘する。
社会に出た時期が人間の序列を決める疑似デモクラティックな社会の中で、一方的にイジメ抜かれる私たちにとっての戦争とは、現状をひっくり返して、「丸山真男」の横っ面をひっばたける立場にたてるかもしれないという、まさに希望の光なのだ。
しかし、それでも、と思う。
それでもやはり見ず知らずの他人であっても、我々を見下す連中であっても、彼らが戦争に苦しむさまを見たくはない。だからこうして訴えている。私を戦争に向かわせないでほしいと。
しかし、それでも社会が平和の名の下に、私に対して弱者であることを強制し続け、私のささやかな幸せへの願望を嘲笑いつづけるのだとしたら、そのとき私は「国民全員が苦しみつづける平等」を望み、それを選択することに躊躇しないだろう。

左翼陣営は今、強烈な自己改革が必要だ。

【追記】この赤木さんの書いているHP「深夜のシマネコ」。
組織労働者に対するむきだしの対抗意識がひっかかるけど、そうなってしまうよね。今の世の中と感じることもある。これは配分の問題のように見えるけど、中間層大衆に残れている人たちの強烈な生活保守ぶりと共感能力の低さへの怒りなのかなぁと思う。自分も含めて。
先日の派遣労働者の賃金不払いで私に相談をもちかけてくれた人は、職場である派遣先企業の労働組合がまったく機能しないと嘆いていた。彼もかつてその労働組合の役員を務めたが、とにかく余計なことを言わせないようにさせられるので、あほくさくて役員をさっさと辞めたという。多忙な職場にいながら市民活動を切り盛りする優秀な人材なのに。
民間大手労組にはこういう話は尽きない。労働組合がしばしば使う統一と団結。仲間を売らない裏切らないという意味ならOKだが、異論を差し挟んではいけないというなら、それは民主主義と自治の自己崩壊だと思う。大学自治会でも、町内会でも、こうした光景は少なくない。そしてその組織は都合の悪い情報が入らなくなり、機能不全におちいり、手間ばかりかかる割に意味を見いだせず誰もやらなくなる。すでに大学自治会は大半の学校で崩壊している。

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