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2006.12.05

12/5 道路をめぐるNHK報道のインチキ

NHKニュースの道路特定財源の改革の報道がひどい。道路をつくれと税金にたかる人たちの言い分だけを伝えている。

私のように主に電車しか使わない人間は、建設費など運賃として負担している。しかし、渋滞などの社会の迷惑を省みずマイカーで楽々通勤しているような人は、税金で作られた道路をタダで使っている。この道路利用料にあたるのがガソリン税だったり軽油引取税だと思うが、今の水準はそれでも安い。それなのに税金を払いたくないとは太い根性していると思う。鉄道会社は、水力発電の水源涵養まで運賃の中でやっている。マイカー族は乗ったら乗りっぱなしだ。事故を起こしても交通警察に手数料を払うわけでもない。首都圏という限られた範囲だけで言えば、相対的に税金をまじめに払っているのは給与所得者ばかりの通勤電車の乗客じゃないかと思う。その納税者のお金でマイカー族の不始末をやっている。

またインセンティブの考え方でいけば、電車やバスより環境や社会資本への負荷の高いマイカー利用が、コストとして高くつかないと、環境にいい電車やバスを使おうというインセンティブが働かない。まちづくりだって公共交通のないようなところに平気で住宅団地やスーパーがつくられてしまう。ガソリンをバカバカ使って環境を汚した方が勝ちということになってしまう。クルマに乗れば乗るほど税金が高くなれば、クルマが必要なときとそうでないときときちんと使い分けが起こる。そして、渋滞の原因であるそもそもの交通需要を抑制することもできる。それがドライバーにデメリットだろうか。よく考えるべきだ。そう考えるとガソリン税からバス会社への補助金や地域の人が使う鉄道建設費などに回してもおかしくないし、排気ガス対策に森林涵養にお金を使ってもおかしくない。過去の道路建設で発行した国債・地方債の返済に回すことも考えるべきだろう。

それから道路特定財源は、自治体負担分がカバーされていない。つまり国が道路計画を立てて道路建設を押しつけるが、国が道路特定財源から負担するのは国負担分だけ。その割合は建設費総額の半分から7割ぐらいで、残りの負担は受益者負担、地元負担として自治体に回されてくる。その損は地方交付税がカバーする。
となると、地方交付税が手当される財政力の弱い田舎の自治体は道路をつくればつくるほど交付税が降りてくる。だからニーズがあるかどうか疑わしい田舎にばかり立派な道路が造られる。
一方、財政力があって地方交付税をもらっていない都会の自治体(横浜市、川崎市、東京都、それから私の住む朝霞市や和光市)はどんなに道路需要があっても、地方負担分については地方交付税で手当てされず、持ち出しになって財政破綻してしまうから、ニーズがあっても道路が造られない。
そのことを隠して、まるで道路特定財源だけで道路建設がされているように報道するNHKはじめマスコミのインチキには毎度腹が立ってくる。彼らは黒塗りの社用車しか乗らないから、通勤電車の乗客の感覚がわからないのだろうか。

そのニュースの冒頭で川口市の保育園児が脇見運転で殺された後始末のことが報道されていたが、マイカー族と石油業界、道路建設業者、それにワイロをもらっている自治体の首長団体の甘ったれた要求の情報を垂れ流して(「ガソリン税を払うことを強いられている」などという言い方で)いる。地方自治体の首長団体は何だろうか。ついこの前まで地方に財源をと大騒ぎしていたのに、道路だけは、二級国道であれ県道であれ市道でれ、国が道路特定財源を堅持して責任持てなんてご都合主義だ。
いったい川口のニュースから何を学んでいるのだろうか。マイカーのエゴを有権者の正当な要求としている感覚が、裏道なのに制限速度60キロの道路のままにされていたし、運転中にCDの入れ替えしたり携帯電話をしていても実質的には何のお咎めもない状態が放置されている。

事故の後、川口市は裏道の歩行者通行部分30センチだけ緑色に塗る工事をしたそうだ。制限速度60キロはそのまま、裏道に入りにくいインセンティブについては何もしていない。

以前、市の次世代育成支援行動計画づくりに、市内の仲間と共同作業をしてパブリックコメントを出した。その中で子どもたちにだけ交通安全を求めるやり方は間違いで、狭隘道路への自動車通行制限などおとなの側も我慢することを要求しなければダメだと書いたが、全然取り入れられなかった。

教育でも子どもたちには我慢や義務ばかり教えようとして、自分たちは自らを省みているのだろうか。

2006年12月6日(水)埼玉新聞
474カ所で安全対策工事 園児死傷事故を受け川口市 
 川口市の私立小鳩保育園児の列に車が突っ込み、園児ら二十一人が死傷した事故を受け、同市は五日、再発防止の緊急安全対策工事を事故現場の道路から開始した。工事は、市の権限により行える市内四百七十四カ所で今月末まで順次実施する。


小鳩保育園児ら21人が死傷した現場道路の交差点でカラー舗装を行う作業員=川口市戸塚東2丁目
 同市は、九月二十五日の事故後、市内百四の保育施設の園外保育ルートについて道路の安全性を診断。その結果、全四百四十一ルートの48・3%に当たる二百十三ルートの計四百八十四カ所で何らかの安全対策が必要と判断した。総工費約六千三百万円をかけて緊急工事を実施する。

 実施する工事は、それぞれの状況によって異なるが、幅員六メートルの道路両側に白線とグリーンベルトを引くのをはじめ、側溝ふた部分と合わせ片側約九十センチの歩道部分の確保、学校・幼稚園・保育所が近くにあることを知らせる警戒標識の設置、交差点のカラー舗装(ガラス粒子を含み、車のライトが当たるとキラキラ光る)や白の十字・丁字マークの塗布、「止まれ」文字の再塗布、カーブミラーの設置など。

 同市戸塚東二丁目の事故現場の道路(幅員約六メートル)では、約三百メートル区間で、交差点二カ所のカラー舗装、白線、グリーンベルト、止まれ、十字・丁字の交差点マークの塗布などが行われる。

 この日の工事は作業員が午前十時から黙とうした後、行われた。市道路維持課職員が立ち会い、交通安全施設会社の作業員五人が交差点二カ所でベンガラ・カラー舗装(縦横六メートル)などを実施した。

 この事故では、園児四人が亡くなり、長女の悠月ちゃん=当時(5つ)=を亡くした父親の福地禎明さん(37)は、工事を見守りながら「危険運転致死傷罪の適用を求めて署名運動しているので、グリーンベルトが塗られ事故現場が変わるのは複雑な思い。こうした標識は一般のドライバーには有効だろうが、悪質なドライバーには無意味な気がする」と話した。

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