12/2 異形の者を排他する議会-中津川市
岐阜県中津川市の小池議員(共産党)が、咽頭がんのために声を失ったため、本人は代読の許可を議会に要求していたがを禁止され、一方的にパソコン機器での音声変換しか認めない決定を受けた。この市議会の議員、自分たちの仕事についてとんでもない勘違いしているんじゃないだろうか。
公職で選ばれる人というのは、選挙で当選さえすればどんな人でも受け入れなくてはならないし、発言の場を与えなくてはならない。それを障害者だから、自分たちが配慮してやっているやり方を呑まないのだから、と発言の機会と方法を奪い、障害者議員だからと卑屈にならなくてはならないようではおかしいものだ。
こういうアホな差別をやっているから障害者差別禁止法(条例)が必要だというのに、差別する自由とでもいいたいのだろうか、日本会議に参加する地方議員を中心に、千葉県の障害者差別禁止条例への批判は熱心だ。
障害者政策として障害者が働いたり社会参加したりする場合、当事者の相談なしにコミュニケーションの方法を押しつけることが政策として妥当なのか、考えてもらいたい。とくに中津川市の民主系市議会議員は党本部に自分たちのやっていることが民主党の障害者政策に合致しているのか、問いあわせてみるべきだろう。前原、小沢でだいぶ反動的になったが、障害者政策については、当事者の権利性と、社会参加について色濃い制度のままのはずだ。
しかし、多くの地域社会や自治体で「偉い人」たちが集まる場に異形の者がいてはいけない、とは、何の顧みもなく規定されることが少なくない。
以前、朝霞市でも市の審議会・委員会に18歳未満の傍聴を禁止する規定が、何の検討もなく入っていた(私の関わっている範囲では今は見なくなってはいる)。地域福祉計画の策定委員会(公募市民ではない団体推薦の人たちだけの方の委員会)も、18歳未満の市民の自由傍聴を認めていなくて、私が異議を申し立てたが結局、僅差で否決されてしまった。
議会傍聴をはじめ、その他、こうした自治体のやるさまざまな会議傍聴には、あれこれつまらない制限が設けられ、子どもや障害者など理由もなく「こういうところに来るべきではない」とされている人たちを実質的に排除してきた。
代読発言:発声困難な市議の要求否決 岐阜・中津川市議会
下咽頭(したいんとう)がんのため声帯を切除し、発声が困難になった岐阜県中津川市の小池公夫市議(67)が、市議会本会議の一般質問で「職員による代読発言」を求めている問題で、12月市議会が始まった1日、同市議の所属する共産党市議団(4人)が「県弁護士会と人権擁護委員会が勧告した通り、小池市議の一般質問の代読発言を12月議会から実施する」とした決議案を提出した。議長と本人を除く32人の記名投票による即日採決の結果、賛成5、反対27で決議は否決された。同市議は「(発言制限は)憲法違反、障害者基本法にも違反する」として11日から始まる一般質問までに、提訴も考慮していくという。
小池市議は02年に声帯を切除したため、議会で代読による発言を求めてきたが、議会はパソコン機器での音声変換による発言のみ認めた。このため同市議は人権擁護委員会に申し立てを行い、県弁護士会と同委員会が昨年11月に「法の下の平等を求めた憲法に抵触する」として、代読による発言を認めるよう議会に勧告した。
同議会は、委員会での代読発言は認めたものの、本会議については「1回目はパソコン機器での音声変換」と譲らず、小池市議の「発言方法は、発言者が自由に選択するべき」という主張と平行線をたどっている。
小池市議は採決の結果について「障害者権利条約が国連総会で採択されようとしており、国内でも障害者差別禁止法の制定が迫られている時期になぜ、との思い。障害者いじめが議会で行われている」とコメント。11、12日に行われる一般質問の対応次第で提訴する方向で、弁護士と調整していくという。【小林哲夫】
毎日新聞 2006年12月2日 2時07分 (最終更新時間 12月2日 2時22分)
| 固定リンク
コメント