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2006.12.29

12/28 コムスンに都の監査が入る

コムスンが介護報酬を過大請求している疑いがあり、東京都が都内全事業所に立ち入り監査をした、というニュースが流れている。

介護業界にいる人たちの間では、コムスンのケアマネージャーは必要もない介護サービスをつけるという噂が流れていた。今年からの介護保険制度の見直しに際しては、不要なサービスの押し売りが介護財政を悪化させている一因だ、という問題意識があった。悪徳業者のように介護報酬の水増しまでは誰も言わなかったが、不必要なサービスを押しつける代表選手が最大手のコムスンである、と指摘されてきた。

軽度の介護サービスが実質的に廃止になり、新予防給付という生活を無視した制度に切り替わった。こうなってしまった背景には、介護業者が囲い込んでいるケアマネージャーが、介護業者が儲かるように介護サービスを組み立てている、という制度的欠陥があった。高齢者もヘルパーも楽な介護だけをやり、結果として高齢者の精神・身体機能をどんどん低下させてしまっているという問題も指摘されていた。
この制度的欠陥は、介護保険制度導入時の亀井静香自民党政調会長の判断の歪みによる副産物だった。その結果、グッドウィルグループの株価が上がるように政策誘導が行われ、ケアマネージャーが介護業者に雇用されることが認められた(何言っているんだか分かる人にはわかるけど、わかりにくいなぁ)。

また、どこの介護事業者も介護報酬が少なくて、そのために介護労働者を確保するのに苦労している。無駄な経費にはほとんど使えない。研修費用なども介護労働者持ちだったりすることも珍しくないのが、介護業界の現実だ。
それなのに、コムスンはテレビコマーシャルというとてつもなくコストの高いものをバンバン流していて、いったいその金はどこから出てきているのか、不思議で仕方がない。経営努力という面もあるかも知れないが、介護報酬の大半は時間あたり人件費に比例していて、経営努力だけで1本100万はするCM枠を買えるとは思えない。

と思ったら、謎解きができた。さっそく第一報を流した読売新聞にコムスンが事実無根で「法的措置」を行うという。福祉業界は監督官庁がなかなか機能していない。それでも、介護保険法にもとづき立ち入り検査をするというのは、それも都内の全事業所ということは、事実無根ではないだろう。いくつかの事実を「事実無根」とするためにCM枠を買った意味があると考えた方がいい。その後、コムスンに関する報道はバタッと消えた。要介護者の生活を預ける会社がこんな不透明な対応をしていていいのだろうか。

介護保険制度では、ケアマネージャーの独立性ということが話題になっているが、いつまでたっても介護業者と関係が断ち切れない。介護保険制度の信頼性を高めるためには独立性の確保を徹底する具体的な政策が必要で、地域包括支援センターができたりしたが、それすら自治体は地域の福祉事業者に丸投げしているのが実態だ。ケアマネージャーは介護事業をやっていない社会福祉法人やNPOが雇うか、自治体や社会福祉協議会が直接雇うことに限定すべきではないかと思う。

民間業者による福祉サービスが増え続けるなかで、福祉事業者の問題行動について、早めに苦情などの情報を察知して是正させていく制度的メカニズムが必要だが、ほとんどの自治体ではそんなことに全然目を向けていない。耐震偽装事件と同じように性善説で業者を信じてしまっている。行政コストの観点だけで民間参入をやみくもに推進してしまっている。今回の立ち入り監査も、福祉事業に対する監督が何とか機能している東京都だからできたと思う。

コムスン、介護報酬を過大請求…返還要求へ
 東証1部上場の人材派遣業「グッドウィル・グループ(GWG)」の中核企業で訪問介護最大手の「コムスン」(東京都港区)が組織的に介護報酬を過大請求していた疑いがあるとして、東京都は介護保険法に基づき、都内にある同社の事業所約50か所を一斉に立ち入り検査(監査)した。

 都は過大請求分の返還を求めるほか、同社に業務改善を勧告することを検討している。

 関係者によると、コムスンの訪問介護事業所では、ヘルパーが家事援助などのサービスをした際、利用者の様子を確認する「見守りサービス」もしたことにして時間を長くしたり、薬の服用を手助けしただけで本来は介護保険制度の対象にならないケースなのに、ほかのサービスも合わせて行ったことにするなどして、介護報酬を過大に請求していたとみられている。

 都福祉保健局は今月18日から、同社が都内で展開している187か所の事業所のうち約50か所について、順次立ち入り検査(監査)を実施。複数の事業所で、こうした方法による過大請求の実態を確認した。サービスの実施計画を記した「訪問介護計画書」に不備があり、内容をチェックできない事業所もあったという。

 都道府県による介護事業所への立ち入りは、通常は改善を促すための「実地指導」として行われる。都はこれまでに同社の事業所に実地指導をしたが、「問題はなかった」と回答するなどして従わなかったため、今回は行政処分も可能な「監査」に踏み切った。今後、各事業所から提出を受けた書類を分析するなどして、過大請求について本社から具体的な指示があったかどうかを調べる方針だ。

 同社をめぐっては、都などに「事業所がいつも留守番電話で、その後も連絡が来ない」「承諾していないのに、受け持ちの事業所が変えられている」といった苦情が寄せられている。

 介護保険法では、訪問介護事業者などに対し、資格を持っている職員や常勤職員を事業所に一定数配置するよう求めており、都は人員配置が適正かどうかも調べているとみられる。

 GWG広報IR部の話「都からの要請を受けて、定期的な実地指導に協力している。各事業所が訪問介護計画書に従って、規定のサービスを実施していることは確認している」(2006年12月27日3時1分 読売新聞)

コムスンに関する報道は事実無根、法的措置検討中=グッドウィルG
2006年12月28日10時45分朝日
 [東京 27日 ロイター] グッドウィル・グループ<4723.T>は27日、同社子会社「コムスン」が組織的に介護報酬を過大請求していた疑いがあるとして、東京都が都内にある事業所約50カ所を一斉に立ち入り監査したなどと報じた27日付読売新聞記事について「一切、事実無根であり、悪意に満ちた事実誤認内容の報道」とのコメントを発表した。また「速やかに抗議を行うと同時に、法的措置についても検討を開始した」としている。

 同社は「東京都は、大手数社に対して、コムスンと同様の実地指導を行っており、介護報酬を過大請求していた疑いがあったわけでは一切ない」と説明。

 実地指導についても「監査ではなく、今年12月15日付で東京都福祉保険局長名により、『実地指導の実施について(通知)』という書面を受け取っている。行政処分についても一切ないと聞いている」としている。

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コメント

>亀井静香自民党政調会長の判断の歪みによる副産物だった。その結果、グッドウィルグループの株価が上がるように政策誘導が行われ、ケアマネージャーが介護業者に雇用されることが認められた.

こんなとこでも、悪さをしていたのかあ、震災復興事業でのぼろ儲けだけかと思っていたら。
本当に悪い奴だなあ。

投稿: ほっちゃれ | 2007.06.08 01:17

人間としては愛くるしい人だと思うんですけどもね。
この事件で、大手介護業者のケアマネージャーが、営業の先兵だったことが、だんだんわかってきましたね。
効率化とか、コストダウンとかで、必要な機能まで民間事業者に、しかも監督もなく丸投げして、かえってコストがかかるという見本です。

投稿: 管理人 | 2007.06.23 06:39

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