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2006.12.20

12/20 社会のリスク管理としての予算

国の予算案の財務省原案がまとめられる。財政支出についての景気への影響は効果がないという議論が流行していて(そうとばかりは思わないが)この点について見ていくことに意味があるかどうかはもうすこし状況をまたなくてはならない。
日本人の雇用の流動化をはじめ、離婚率の高まり、少子化による親族によるリスクカバーが機能しなくなっていることなど、生活リスクの増大に着目すると、リスクの再配分という観点で予算分析してみることも必要じゃないかと思う。
少子化対策として児童手当や育児休業給付の拡大が出てきているが、効果はないだろう。育児休業の取得そのものがわずかな恵まれた人の制度にしか過ぎないのに、給付率を高めても少子化にはまったく効果がない。育児休業の取得率があがらないことには、
①取りたいけど取れない職場(雇用主もだが、本人をとりまく同僚や中間管理職)の問題、②出生率の低下の原因である働きすぎのエリートには全く効果がない、③同じく派遣労働者やパートなどの低所得層は妊娠と同時に退職になる、④仕事より子育てに価値を置く人は夫婦のどちらかがたいてい退職してしまう、などの問題が横たわっている。机上の金銭のインセンティブではなく、施策の策定にあたる内閣府の少子化担当セクションや、厚生労働省の子育て関連課の男性職員たちが育児休業を取ってみないと、どうしたら取得率が上がるか、出生率回復につながるか、なんてことはわからないだろう。

一方、生活保護の母子家庭加算が削減される。自立しろ=仕事をしろ、ということになるし、その考え方はおおむね同意できるが、具体的なものが良くない。現実に母子家庭がやっていけるような労働がこの社会のどこにそうたくさんあるのだろうか。労働の規制緩和をバンバンやって、何にも守られない仕事ばかり増やして、子どもを抱えて自立もクソもないだろう。子どもを抱えた人でも働けるような労働者保護をきちんとやってから、自立せよ、と社会に出していくのがほんとうの自立支援策ではないだろうか。八代尚宏あたりが雇用の多様化すればチチンプイ解決する、というような甘言を弄しているが、現実は逆で、前は中小企業の事務あたりだと、食って、アパート借りて、子どもを保育園に入れるぐらい、8時30分に出勤して18時に帰宅できて月20万弱のボーナスありの仕事ぐらいは何とかあったけど、今はほんとうにない。ここ数年の労働力ダンピングのおかげで、それだけ稼ごうとすれば子どもを寝かせてからまた働くしかない。
そして努力している親に健全育成がらみの人たちから「親が子とかかわらないと非行に走る」などと半ば差別的な言葉が投げかけられる。

いろんな人が言っているから細かく言わないが、個人に実質増税をお願いしておきながら、黒字法人への大型減税は何の財源の手当もなく行われる。

リスクの再配分という観点からは、「庶民が喜ぶ」「国際競争力」のためのばらまき施策はどんどん実行されて、社会のリスク管理に類する支出や必要な徴税は見送られている。

税金や国の予算が決まるときに、決まって流れるマスコミで街頭のインタビューって何とかならないかとおもう。時々いい意見があるけども。昼の銀座をうろうろしている専業主婦が「取られる側の気持ちになってよ。夫の飲み代減らすかな」だって。それはあなたの夫のセリフじゃないのかな。母子家庭のお母さんの苦労なんか考えると、遊べる余裕のある主婦からは税金取ってあげたくなってくる。
「児童手当ありがたいね」そうしてばらまかれる予算のお陰で泣いている人のことに思いを馳せてください。
うーむ。そういう意見しか選べないマスコミや視聴者のレベルの問題なのかな。

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コメント

はじめまして、明けましておめでとうございます。Shinnともうします。

ホント、日本の少子化対策及び意識改革はおかしなものですね。
もっと母子家庭を応援してほしいものです。

無礼を承知で超長いコメントをさせていただきます。


ご存知でしょうが、最近では『ワーキングプア(=働く貧困者)』が深刻な社会問題になっています。

それが最近のNHKでも放送されました。

現在の首相の安部総理が『再チャレンジ』政策を掲げていますが、このワーキングプアの実態把握が乏しいまま『再チャレンジ』を進めていますが、ホントちゃんチャラおかしいですね!議員たちは、自分たちは貧乏を味わったこと無いから所詮他人事なんでしょうね。

それにしてもなんでこんな社会に成ったのか悲しくてなりません。


とりわけ離婚して子供のいる母子家庭は、『ワーキングプア』に陥りやすいのです。子供がいるだけで正社員の道は閉ざされてます。

子どもが熱を出した、休みます、となるとすぐクビですし。

結果的に、母子家庭のおふくろさんらは、超安時給のパートを掛け持ちしないと生きていけない、しかも生活保護以下の水準です。

しかも生活保護の母子家庭給付も半減されるのですから、まさに世も末です。

今後の日本の働き方の意識改革及びパートとの格差是正が主な問題であると、私は思います。なぜならフランスを含むヨーロッパのほとんどでは、正社員とパートの格差が皆無に近いし、比較的出生率の高いフランスでは、働くお母さんは実際にはパートの方が多いのです。

私は、同じ女として、これは断じて他人事ではないと思ってます。
この状態が続くのでは、女と若者の未来はないと感じてます。こういう女とガキに冷たい、男社会の国は長い目で見れば滅亡します。


この日本は、一度やめると次働ける勤務形態はパートのみですし、育児と仕事との両立はとてつもなく難しいですし。欧米みたいに家政婦やベビーシッター雇えるのは、ドクターを含む上流階級だけですし。


そうなっているのもやはり「男は仕事、女は家事育児」という保守的かつ古臭い考えの者たち(とりわけヤローどもが!!)があまりにも多すぎるし、それによって男社会の温床になってるんですよね。

そればかりでなく、周囲の人(近所や地域の人々)の協力も必要です。欧米は「個人主義国」と言われていますが、実際にはそうした助け合いがあるのです。イギリスでもそうでした。そういうことがなくして、少子化改善は程遠いです。

 「コイツ、バカじゃねぇの?」と非難されるのを覚悟で申し上げます。現時点では、将来的に、前述の問題から逃れたければ、日本から出て行って働く(主にアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアへ)しか方法が無いですね。そうお思いになりませんか?

 私は内定が決まり来年の春から社会人の身です。大学2,3年の頃、私はよく『この日本からおん出て働きたい』だなんて厚かましくもほざきまくってました。なぜかといいますと、やはり女性の労働環境問題(母子家庭のパートに自分が転落するのが)が嫌だったからです。

仮に、日本から出て働けたとします。しばらくは事が自分の思い通りに運び、現地人と結婚し子をもうけて働き続けられる。そういった現地の女性&子どもへの政策に満足するでしょう。しかし、時折『お役ごめんになったらどうしよう』 とか『大きな病気(ガンやパーキンソン病のような難病)にかかってしまったら、見舞ってくれる日本の家族や友人はいない。で、離婚され、職を失ったら?その後はどうなるのだろう、無一文で野たれ死に?』などといった疑いと恐れにさいなまれるかもしれません。


とにかく早く日本も、フランスをはじめとするヨーロッパのように母子家庭の保護支援、福祉・あらゆる労働環境が充実することを願ってやみません。


お正月から暗い&バカな話をしてしまい、大変失礼致しました。

投稿: Shinn | 2007.01.01 16:29

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