12/18 障害者保育を実施しない法的根拠を探してみる
●障害児が障害者用ではない保育所に通所できるようにしている国の通知についてはよく知っているつもりだが、よく考えると児童福祉法で、保育所は「保育に欠ける子」を保育する施設として定義されているだけで、障害児は入れないと書いてあったとは思えない。
逆に、国の障害児保育の実施の通知がなければどうして障害児が障害者用ではない保育所に入所できないのか、その法的根拠はどこにあったのか気になって、調べてみることにした。
今年の10月に東大和市で、吸引の必要な子の保育所入所を認めよと保護者が起こした裁判の判決があり、東大和市はその子の保育所入所を認めよ、という画期的な判決が出された。その判決のなかに、障害児の保育所通所についての法的な整理が行われているはずだと思い、判決文が読みたくなって、「判例地方自治」2006年12月号を買い求める。
同じ号に、大阪・高石市の保育所民営化の取消処分請求が棄却された判決文もあった。保育所を考えるのに役に立つ号だ。もっとも保育所民営化について争われた裁判で、高石市は棄却、横浜市は民営化はひっくり返さないが保護者に賠償するよう否定的な判決が下りており、横浜市の判決もふまえることが重要だ。
しかし、裁判で争えるのは、公立が民営になった場合の逸失利益をめぐって。新設園の質が低い場合は、児童福祉法にもとづく保育所最低基準を下回らない限り、裁判で争いようがない(ここに民営化反対闘争が既得権益と非難されてしまいがちな法律上の構造がある)。
保育所の質については、裁判では担保にならないし、現に現在も保育がされている状態のまま長期間にわたって裁判で争うのも、子ども・保育者・保護者・行政どれもしんどいので、行政施策での住民参画や、第三者評価やオンブズマン(苦情解決)、公益通報、保護者会活動や保育労働運動などを配置して、公立でも民営でも質が下がらないようにしていくシステムが必要だ。
●NHKスペシャル「認知症」は思ったよりずっとよかった。じっくり見ることができなかったのが残念だが、認知症になってしまった人をよく理解することで、症状は緩和されるということがきちんと伝えられていてよかったし、介護施設の労働にも目が向けられていて、よかったのではないか。
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