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2006.12.14

12/13 美しくない態度

印税を払うのも癪なので新刊を買い控えていたが、ようやく古書店に安倍晋三の「美しい国」が並んできたので、買い求め読む。
安倍晋三の右側の支持層を吸引しているのがネットウヨ言説や産経新聞だとすれば、この本は穏健派ややや左よりの支持層を意識して書かれているように思った。
相当におじいさんコンプレックスがあるのか、じいさんの正当性とその伝統を受け継ぐ晋三というストーリーに多くの分量を割いていた。三世政治家の悲哀ではないか。
書かれている政策の中身は、問題意識は今日的でも、その処方箋は中曽根政権時代のままじゃないだろうか。「ブレーン」に中曽根政権時代に活躍し、政治改革を右よりの立場から苦々しく見てきた人材が多いことと、この本の記述は無関係ではないだろう。前提としている社会構造が古い気がしている。
社会保障制度に対する認識は妥当だが、基礎年金の空洞化とか、そうしたものに全く処方箋がない。国営年金は2倍トクするというような処世術めいたことを説いているだけ。ダメな学生自治会のように「宣伝の仕方を工夫する」程度の改革。そうであるなら社会保険庁解体は何のためにやるのかわからない。

社会党をそれなりに愛してきた自分としては許せない表現もあった。

祖父の一高時代からの親友で、三輪寿壮という社会運動家がいた。労働争議関係の弁護士として活躍し、一九二六年(大正十五年)にできた日本労農党の初代書記長を務めた人物である。祖父と三輪は、目的は同じでも、そこにいたる道がちがった。三輪は目の前にいる貧しい人のために、弁護士として、また政治家として相談に乗り、運動した。しかし祖父の場合は、その貧しさを産み出している国家を改造しようとしたのである。(p169~170)

三輪が社会党の有力国会議員であったことが伏せられ、わずかに「政治家」と書かれ、穏健な社会主義者として社会改造をしようとした理想は、労働相談しかやってこなかったような書き方である。
右翼気取りで社民党をいじめて政治的正当性を獲得してきた晋三は、社会党とちょっとでも関わりがあるという事実が認められないことなのかも知れない。

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