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2006.11.05

11/5 言葉少ない菅直人さんへの誤解

今日の菅直人さんの「今日の一言」が良い。

今林業が面白い。これまで外材に押され、日本の林業は経済的に成り立たないところまで追い詰められていた。しかしその原因は単に安い外材の輸入だけが原因ではない。従来切り出したままの乾燥させない材木を大工が建築現場で曲がりなどを修正しながら使っていた。それが曲がりを生じない乾燥材を工場でプレカットすることが主流になり、建築現場では曲がりなどの修正は行われなくなっている。私もいくつかの伐採現場や製材所を見てきたが、新しいシステムが動き出している。こうした新しいシステムに適応すれば日本の林業は間違いなく再生できる。そのひとつのキーワードは作業用の林道の整備だ。しかしこの事業まで官製談合の種にしているという報道に怒りが湧き起こる。

公共事業の不正に対して怒る理由として、①事業そのものが無駄である、②事業はいいが合意形成の取り方に問題がある、③事業は良くてやり方に問題はないのにお金の使い方や業者の決め方に問題がある、と3種類ぐらいのレベル違いがあると思う。ところがここ10年、すべてを①事業そのものが無駄であると決めつけて批判してきたような気がしてならない。10年前のように公共事業が絶対に止まらない時代はそうした暴論も必要だったかも知れないけど、今は慎重に議論しなくてはならないものもあると思う。

言葉が少ない菅直人さんは、①事業そのものが無駄である、と主張する人と捉えられてきた。そうして誤解をされ、強烈な新自由主義的な子分が寄ってきては、菅では物足りないと離れていったし、そういう元子分に党首選挙や、逆に足を引っ張られる場面では苦労してきた。

技術者出身の菅さんがそんな暴論を本気で言っているわけがなく、今回、林業の話では、そうした本当の菅さんの姿を短い文章の中にきちんと読み取ることができる。

林業に対する政策センスは、社会運営をとことん経済原理に委ねてやるべきなのか、経済原理を超えた価値について社会が担わなくてはならないと考えるのか、分かれ目になる政策だと思う。単に木を切ったり山を崩したりして売るなら経済原理だけでやれるけど、次の世代の林業を残していくためには、経済原理だけでは何ともならない。昔は宗教的動機や、封建的社会ルールがあったから何とかなったけど、そういう価値がおおむね崩壊した今では、林業は経済原理だけではどうにもならない。

で、菅さんも林業にもっとお金をつぎ込むべき、という立場を明確にした上で、今の林業土木の業者決定システムについてはコテンパンに怒っているわけで、筋道としてきちんとしたものだと思う。①公共事業そのものが無駄である、という立場の人にヘンな信号を与えることにならない。

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コメント

菅さんは岡田さんと一緒に林業と熊野古道の視察にいらしたようですね。
記事では速水林業の速水亨さんのご案内だったとのこと。速水亨さんのお話はまだ聞けてないのですが、速水林業は日本国内で初となるFSC森林認証を取得しています。
速水林業 http://www.reforest.com/hayami/index.html
環境gooの速水亨さんのインタビューhttp://eco.goo.ne.jp/business/keiei/keyperson/11-1.html
地元にいると農林水産政策の重要性を痛感します。

投稿: wacky@mie | 2006.11.05 23:33

とりわけ林業って大切だなと思います。
紹介していただいた速水さんのニュースを読んで、江戸のまちと農林水産業との相互関係を思い出しました。昔、東京湾ってうなぎしか捕れない死の海だったようです。江戸が栄えてくるにしたがって生活雑排水が東京湾に栄養をもたらし、豊富な漁場になったという話です。林業も、江戸がさかんに建築をやったことで天領地を中心とした全国の山林が江戸期に整備されてきたということもあるのでしょうね。
都市と農村がお互いに対立しながら共存する仕組みというのがとても興味深いです。

投稿: 管理人 | 2006.11.06 01:41

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