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2006.11.29

11/28 中途半端な消費税&すねかじり手当導入が民主党の政権政策

民主党の基本政策が中途半端で面白くない。年金と税制の関係がよくない。消費税を年金目的税として税率を今のまま維持すると明言しているが、おかしくないか。

民主党の年金政策が良かったのは、基礎年金の空洞化問題をきちんと捉えていたからだ。しかし、消費税のイメージアップのために「年金目的税」と名称変更し、しかも税率は上げない、とアナウンスすることに何の意味があるのだろうか。

年金目的税というなら、年金財源の何割は今の消費税を充てます、というルールが必要で、税率は必要な年金財源の動向に左右されるべきものではないか。今度の民主党案では保険料やら消費税やら、一般財源やら、さまざまな負担の仕組みと会計間のやりとりが複雑になるだけで、今の年金制度の不透明さを重ねることになるだけである。

基礎年金空洞化問題を完全に解決するなら、基礎年金を税方式へ移行するしかないし、それに見合う消費税(あるいは所得税)の増税を認めてください、というべきだろう。開業医もフリーターも均一13300円/月の国民年金保険料を払うことを考えたら、消費税に移行した方が社会的には公平である。不安定雇用の人は、収入に見合う分だけの消費税で最低の年金は保障されるようになる。
今のように、収入もないのに月13300円払え、と言われて、払えないから年金未納になり資格を失ったり、年金減額されて生活保護受給者を創り出すことを考えたら、現行の基礎年金の保険料方式は破綻している。

ところが、ウヨクも左翼も一文にもならない愛国心でいっぱいで外交や安全保障については熱心に議論するが、社会保障や税制に何の理念もないから、とにかく消費税の増税は弱い者いじめ、経済失速になると考えもなく挙国一致で反対し、(目標の不明確な)支出の無駄遣いがなくなるまで一切の増税は認めない、などと非現実的なことを言う。そのために必要な社会保障改革がすべて後ろ向きなものばかりになってしまう。
消費税の増税をとにかく阻止する、というあほな議論の建て方をまずやめるべきだろう。負担と国民サービスの関係をどうするのか、ということをまずきちんと考えて、その中で税金の種類と税率がどうあるべきか、考えることが必要なのではないか。

なんて思って民主党の「政権構想」の原文にあたったら、他にも、めちゃくちゃだらけだ。
教育政策は思いつきだらけ。教育委員会制度廃止する政策も、かつては新しい学校理事会に子どもの参加も検討していたが今回は白紙になった。教育基本法の改正も自民党と同じで精神主義。愛国心や宗教を教えればコンビニのベタ座りが無くなるという理屈。また、就学前教育の無償化を言ってるが、これが公教育においての早期教育なのか、保育制度の充実なのか、それとも家庭保育の否定なのか、よくわからない。
社会保障では親孝行だと。親と同居した人に「同居手当」を出すらしい。言葉は美しいが、実態としてはパラサイ息子・娘手当だろう。家事もやらずにわずかばかりの「家に入れるお金」で親のすね囓って遺産をまんまとせしめたガキにさらに税金を出すらしい。ふざけた話だ。介護保険制度の創設時の議論で家族に対する現金給付は家族関係をおかしくするということで徹底的に否定した歴史を無視するバカな議論だ。家族に介護福祉をやらせると安上がりだという議論なのだろうけど、実際は国民の能力を収奪する愚策となる。
外交では、米国との自由貿易協定(FTA)の早期締結などとほざいている。食糧自給率を高めることとFTAがどう両立できるのか。FTAによって雇用破壊がさらに進むことぐらい想像できないのか。雇用を守り、食糧自給率を高めるなら米国とのFTA締結は慎重に進めるというのが妥当な政策じゃないか。
知的財産権とか言っているけど、アメリカの要求している知的財産権は発明者や著作者の保護にとどまらず過剰なもので、技術の自由な発明を阻止してしまう可能性も高い。

こんなものを社会党出身の赤松広隆がまとめたのだから、情けない。安倍自民党もたいがいだけども、民主党も危なっかしくて仕方がない。これなら官僚支配の方が安全だ。

●最近の若者の右傾化について適切なコメントを見つけ。若者は「わがままな」中国や韓国や北朝鮮が嫌いで「弱い奴」を甘やかさない新自由主義が好きなだけであって、古い教育や古い家族政策を復活してほしいなんてこれっぽっちも思っていない。そのあたりを保守政治家たちが読み間違えているんじゃないか、というような内容。
小泉前首相はそこのところをうまくチョイスする「カフェテリア型保守主義」で支持率を高め、安倍晋三はその逆をやって支持率を大きく落としているのではないか、という分析。朝日新聞の安倍内閣支持率急落報道

「消費税5%維持」明記、民主が基本政策原案を発表
 民主党は28日、安全保障や社会保障などの指針を定める基本政策の原案を発表した。

 消費税について「現行の税率5%を維持し、税収全額を年金財源(基礎部分)に充当する」と明記した。

 また、集団的自衛権の行使を禁じる政府の憲法解釈を見直し、行使を一部容認する方針を盛り込んだ。今後、全国会議員による政策懇談会で議論し、12月中旬をめどに成案を得る。

 原案は政権政策委員会(委員長・赤松広隆副代表)が策定。年金について、すべての年金を一元化した上で、基礎部分と所得比例部分の2階建てとし、「保険料負担、年金給付は現行水準を維持する」とした。高額所得者への支給は制限する。

 安全保障分野では、自衛権について「個別的・集団的といった概念上の議論の経緯に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法9条に則(のっと)り、行使する」とした。国連憲章42条に基づく軍事的措置を含む、国連の活動に積極的に参加する方針も明記した。

 教育分野では、高校までを義務教育とし、5歳児の就学前教育の無償化を盛り込んだ。
(2006年11月28日22時27分 読売新聞)

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コメント

消費税を年金特定財源にすると、必ず無駄が生じる。
道路特定財源が数々の無駄を生んだことが、特定財源の問題点を示している。

投稿: しし | 2006.12.11 19:00

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