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2006.11.24

11/24 なくなりゆく近代の歴史を忘れないために

ようやく映画「三池 終わらない炭鉱(やま)の物語」を見に行く。今日が東京での上映が最終日と聞いてあわてて(京都が1日、大阪が8日まで)。
大きな労働争議や最大の粉塵爆発事故を起こして有名な三池炭鉱に関わってきた人々の、戦中・戦後史を中心にしたドキュメント映画。炭鉱が「負の遺産」として、消し去りたい歴史として位置づけられていることに焦った熊谷博子監督をはじめ関係者の熱意で8年がかりでまとめられ、3回にわたり再上映され続けた。
戦前の囚人労働、戦前戦中の強制連行で確保していた労働力、捕虜労働、1960年の三池闘争、1963年の458人が死亡839人がCO中毒になった粉塵爆発事故を、証言で追っていく。

ほんとうにいろいろなことを考えさせられる映画だったし、働くこと、生産ということ、生活ということ、労働運動、労働災害、地域福祉いろいろな切り口でみどころが多い。
1963年の粉塵爆発事故の軽症生存者の家族たちが、仲間とともに乗り越え歩んだ苦難の40年の話になったときには、もう涙がぼろぼろ出て止まらなかった。

以前、機関紙の取材で会った大牟田の大原さんから、この映画を是非見てほしいと連絡をいただいていた。市職員の大原さんは、三井三池三川鉱の粉塵爆発事故の一酸化炭素中毒被害者の救援活動をしている。それと並行して、三井三池炭鉱の労働運動の歴史史料を市立図書館に保管・所蔵する運動を続け、図書館に収蔵された史料の整理活動などもしている。市職員ならではの活動をされている。
60年安保に並ぶ戦後の大闘争であった三井三池炭鉱の労働運動の史料は、炭鉱労働者の高齢化、そして死亡により散逸しかけている。映画でも監督がしばしばそれを口にしている。
あと、この映画については、フジテレビの朝のワイドショーがおすすめの映画を紹介していた中で小倉智明さんが「僕個人は「三池終わらない炭鉱の物語」を推薦したいけど、番組ではこうなりますね」と別の映画を紹介していて、気になっていた。

炭鉱労働とはきつくてひどい仕事だったと思う。でも、働くこと、生活することが実感できるし仲間の大切さを実感できる仕事だったと思う。働くってこんなことだぞ、生きるってこんなことだぞ、と感じてくる。三池で活躍した労務屋は、この時代にはほんとうに胡散臭い仕事だった。実際、裏金で第二組合をつくらせたり、今だから言えるようなことばかりの仕事だった。映画で「労務屋」たちの証言もあったが、それには重みがあった。
今は、マネジメントとかきれいな言葉になって、MBAなどハクのつく資格があって、人事担当者が職場のエリートコースとして、楯突く方が胡散臭い奴と言われるような時代になってしまった。後世、きれいごとで酷い労働を押しつけてきたことを、三池の労務屋のように重みをもって語ることができるだろうか。

三池闘争を支えた家族会に対する社会主義協会(社会党最左派)向坂逸郎さんの学習会の功罪については、今でも旧社会党業界では議論が分かれる。
映画の中で「貧しい人と結婚した自分の不運を怨んでいたが一所懸命働く人が貧乏でいる搾取の構造がいけない」と教わって恨みをぶつける先が間違っていることに気付いた、という家族会の証言がある一方で「生活がかかっている家族が先に闘争だけでは生活できないとわかってしまって組合分裂に拍車がかかった。職場も地域もずたずたになったのは向坂さんの責任が大きい」という家族会の証言、それぞれに重い。

三池に限らず、高度成長を支えた最もポピュラーな産業史料がこの社会からどんどん消えている。最近知ったが、カラフルな国電の原型となった最初の湘南電車は、何百両も製造されたのに、今は写真や図面の上でしか残っていないという。ちょっと前までいた人たちにはあまりにも当たり前すぎる生産設備だったから、なかなか大切な産業史料だという声が挙がらないのか。

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