11/21 働く人たちの見えないところで基地跡地利用の議論がどんどん進む
基地跡地利用の市民懇談会の議事録が公開されていない。9月にそのことを市の企画課に問いあわせるためメールを出して、その直後に市役所を訪ねた機会に、市の担当者が「なるべく早く出すようにします」と回答をいただいた。さらにまた後にメールで返事があって、発言の議事概要をホームページで公表しています、という回答ももらった。私はてっきりこの議事概要が議事録に準ずるようなものなのかと思っていたら、今日に至るまでこれしか公表されていないので、おそらくこんなものが情報公開なのだろうか。
朝霞市はこうした市の委員会について、タイムラグはかなりあるにしても、きちんと情報公開をやっている。他の審議会・委員会は審議内容がプライバシーに触れないものであれば、発言者名と発言がほとんど全部、市のホームページ上でも容易に確認できるかたちで公開されている。しかし、最も市民参加・情報公開のルールをふまえなくてはならないこの市民懇談会だけが議事録がなぜか公開されていない。
基地跡地利用の市民懇談会の議論がどうもうまくいっていないという話を次から次に聴くし、委員長が参加者に暴言を吐くし嫌な雰囲気をまきちらすから次から次に参加者が減っているということを言う人もいる。また、基地跡地を公園であれ、医療機関であれ、商業施設であれ、開発しろ開発しろという声しか届いていない。開発しないで、税金を大切に使ってくれ、という意見はほとんどない。
有識者だけの基地跡地利用策定委員会の議事録に、市民懇談会の報告が出ていて、どんな議論がされているのか、ようやく輪郭が見えてくるが、まったくひどいものだ。
まず、議論のレフリーをしている工科系大学教授も、自治体が何をすべきかということを全く無視して、市民の欲しいをかたちにすればいいと思っている。
そして不動産屋代表の委員は、周辺の基盤整備を税金でやらせた上で商業施設建設をしたくて、商業施設建設をねじ込むことに必死だし、市民懇談会の代表として出ている委員は、朝霞市の持ち出しだけになる公園建設しか視野がないから、財源の議論をしないように要求している。どっちも全く納税者無視で税金を使う話しかしていない。
公園派は、隣の市の開発で100億円使う話を市長が「任せてくれ」と胸を叩いたことを評価している。そういう税金の使われ方をしてきたから、日本全国、自治体の財政がおかしくなったということをまったく認識しようともしていない。こんな納税者不在の議論をしている人たちの話を聴いていると、この町に住んでいることに不安を感じてくる。
金儲けのために商業施設(多分郊外型ショッピングモールだろう。田舎者!)を建てさせようとする人にするにしても、一部の高齢者の眼の保養と不良少年の問題行動のステージにしかならない公園にするにしても、財政シミュレートして、市役所に意見の言う機会がない大多数の勤労者の判断を仰がないような意思決定プロセスは、問題大ありだ。策定委員会や市民懇談会で好きなように発言している人の言うとおりになって、それで教育や福祉が犠牲になったら、誰が責任取るのか。先人たちの尻ぬぐいばかりさせられる若者に愛郷心なんて湧くわけがない。
財政規模300億の朝霞市で、100億の支出をする話である。そもそも基地跡地利用をする、という前提自体、否定すべきじゃないだろうか。そもそも、基地跡地利用なんてどこから出てきて話なのだろうか。それなら低層住宅と広いオープンスペースとしての庭にすることを限定して公務員住宅でも建てさせて環境保全を図る方がましではないか。
保育所の待機児童問題を何とかしろ、と言う私に、市役所は3億円程度の保育所建設費(しかも最低3分の1は国費補助あり)を恩着せがましく言われて、なおかつそれでもまだ待機児童の親のままである。税金を払ってまだ認可外保育所の高い保育料を払っているのに、一方で税金払っているかどうかもあやしい人たちが税金使う話ばかりどんどんまとめている。いっそ働くのをやめて、生活保護受けながら、市民懇談会の報告者のように、市から税金をむしりとる提案をした方がいいのかも知れない。こんなモラルハザードがあるなら、奈良市のことなど笑えない。
昔、朝霞市が運動公園や青葉台公園を買いまくったときに市立小学校、中学校に通ったが、ブラウン管の割れたテレビがいつまでも補修されないし、模造紙は先生たちが自腹で買っていた。これからの子どもたちに食べさせてもらう年金生活者は、そんなことを再び教育現場に押しつけ、子どもたちに不利な教育環境におくということを自覚してほしい。
市税の貢献者である市外通勤者やマンション住民を差別するような意思決定プロセスのありようというのは今に始まったことではないが、こうしたお金を使う話だけとんとこまとめられていくというのはやりきれないものだ。
〈市への再質問〉
朝霞市企画課御中
以前、私が基地跡地利用市民懇談会の議事録を公開するよう求めたことに対して、別件で企画課を訪問した折りに、なるべく早く公開すると回答されたことと、またメールで以下のような前向きな回答がありましたが、一向に、ホームページに議事録が公開されません。
もしかすると、前向きだったのは、現在公開されている一枚きりの議事概要ということなのでしょうか。これでは「会議が開かれました」という程度の報告で、市民にとって何がどのように議論され、決まったのか理解できるようなものではありません。
公開されない会議に、公的な性格など生まれるわけがありません。一部の市民が勝手にやっているという質の話になります。
また、多くの市民は仕事や家庭責任を持ちながら、こうした会議に参加する気力も時間もないままに市に税金を納め、どこかで決定される意思に従わされています。納税者である多くの市民のチェックすらできない環境のもとに、時間のある一部の市民だけで勝手に議論を進めていることは納得いきません。公的な財産を左右する話なのですから、誰が何をどのように発言しているのか、白日のもとにさらして、検証可能なかたちで議論されるべきだと思います。
懇談会参加者に話を聞いたところ、リーダーがしばしば問題発言をされる(市議会なら懲罰動議にかけられるような質の発言)と聞いています。そうしたことも、議事録非公開だからできることなのではないでしょうか。
黒川滋
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