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2006.10.01

9/30 議員の報酬を下げよと叫ぶワルたち

愛知県の半田市議が札幌に出張に行ったのに、11人の市議が所定の会議に出席せず、観光に出かけたことが発端で、政務調査費の廃止を決めた。ところが、この廃止提案をしたのが、当の出張をさぼった市民クラブという会派だというから変な話だ。

全国的に議員の報酬は低ければ低いほどいい、ざまあみろ、みたいな論調がまかり通っている(確かに無駄な仕事ばかりしているし、交通事故の違反もみけしとかろくでもないことばっかりやっている人が多いからそうなっても仕方ないが)が、結果として、それがワイロ的な政治資金に依存した政界の体質になっている。出張をさぼって観光旅行した、半田市議会の市民クラブの議員たちにとっては、政務調査費なんて月数万のはした金がなくたって、口利きや公共事業の斡旋、県議や国会議員から流れてくる運動資金で取り返せるのだろう。そんな知多半島の地方議員の懐事情は久野統一郎さんが議員を辞めた経緯を書いた「政治家やめます」に書かれている。

ごく一部の土地持ちなどの例外はあるが(そんな裕福な人が政治家やる動機はあるのか、という次の疑問が湧いてくる)、つまり、言いにくいことしている議員ほど、報酬カットとか、政務調査費カットに前向きだと思ってよい。サラリーマンが市議に転身し、清貧にしていると、初任給ぐらいの手取りで暮らさなくてはならない貧乏生活が待っている。報酬引き下げは、野党系政治家に対する生活面からの弾圧に近い効果がある。

だから半田市の市民クラブは、率先して政務調査費の廃止を提案したので、決して反省してのものではない。
市民クラブ以外の議員はたまらないだろう。自分たちが観光旅行なんかしたわけではないし、市民クラブが市民に謝罪して歩いたわけでもないだろうに、市民クラブの行状について同じ半田市議として市民に批判をされ支持者に釈明したり謝ったりしただろう。それなのに犯人の市民クラブは市民ウケするようなことして、自分たちのかちとってきた経費の公費負担を取り上げられるのだから、ふんだり蹴ったりだ。

愛知半田市議会:政調費廃止を可決 「出張観光」批判受け

政務調査費の廃止案を市民クラブの賛成多数で可決する半田議会=愛知県半田市で29日、林幹洋写す 愛知県半田市議会は29日、本会議を開き、最大会派の市民クラブから出されていた政務調査費の交付に関する条例廃止案を、賛成多数で可決した。07年4月1日から廃止される。政調費は00年の地方自治法改正に基づき、全国の自治体で条例化、同議会でも02年に施行したばかり。だが、各地で使途を巡り問題が起きている。政調費の廃止は総務省は「聞いたことがない」といい、全国市民オンブズマンは「非常に珍しい」としている。

 本会議では、議長を除く24人中、休憩後に清風クラブの3議員が席に戻らず“審議拒否”。出席した21人うち、提案した市民クラブ11人が賛成し、可決した。

 同議会での政調費問題は、7月に札幌市で開かれた全国都市問題会議に出席した3会派15議員中、市民ク9人と公明3人の12議員が2日目の会議をさぼり、観光に出かけたのが発端。

 他会派や市民からの厳しい追及や批判に、両会派が今年度の政調費全額(1人当たり22万5000円)を返還することを表明。このうち、市民クが9月議会に07年度からの同条例廃止案を提出した。議案を付議された総務委員会では22日、委員8人のうち3人が退席する中、3対2で可決していた。公明は当初、共同提案する予定だったが、党県本部などからの指示で見送り、反対に回った。【林幹洋】

毎日新聞 2006年9月30日 2時23分 (最終更新時間 9月30日 2時28分)

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