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2006.10.14

10/13 財政赤字を埋めるべきときに法人税だけ減税大盤振る舞い

経済財政諮問会議が開かれ、どうも法人税減税がまとまったらしい。財源については何も言及していない。
満足な情報公開もされない年金財政改革の議論で、政府・与党は問題点を指摘した野党側に財源の裏付けがないというレッテルを貼りまくったが、自分たちの仲間には財源の根拠もなく大盤振る舞いをする。世界でも相当に安い法人税をさらに下げるというとんちんかんな政策が決断されようとしている。企業の政治献金の規制を緩和しようということとの裏返しの取引か。

以前、小さな政府論は財政赤字を拡大する、と書いたことがあったが本当にそうなりそうだ。年金や社会保障の財源がないから行政のリストラをします、福祉や公共事業の切り下げを行います、国民のみなさんご協力ください、というのが増税論の谷垣・与謝野を斥けた小泉→安倍政権の主張だったはず。それで節約できる税金なんて高がしれているが、それでも財政の建て直しか高齢化による施策に使われるのだろうと思っていた。しかし、結果は法人税の減税。何のための政府支出の見直しなのか全くわからない。また法人税さえ下げれば活力ある社会がやってくるという発想も安直だし公明党ばりのバラマキ政策だ。税金が高いから日本で仕事したくない、という生産性の低い企業など出ていってもらった方がいい。
ほんとうに努力したい企業にとっては、きちんと税金を取られても、公教育の再建なり、労働と両立できる福祉サービスや、安定した労使慣行を確立することに価値をおくのではないか。

一昨日、景気回復が進んでいるが多くの人には実感がない、というニュースが伝えられた。景気回復による成果が所得や家計に全然回っていない。企業が内部留保を蓄積させているだけ。
その上法人税がさらに下げられれば、給料を払って税金を下げるというインセンティブもなくなり、今まで以上に企業が内部留保を蓄えるし、当然、景気回復の成果が個人所得・家計に回りにくくなる。また、景気が上昇しているときには、これまでの景気を下支えした財政赤字を埋め合わせ、さらには次の景気下降に備えて、政府部門が内部蓄積(借金返済)をしておくべきタイミングではないか。自然に景気が上がっているのに、さらに減税して財政の穴を広げて景気を過熱させることの意味がわからない。減税は景気下降局面で行うべきだろう。

その後には、労働ピックバンと称することもやるらしい。これ以上の労働者保護の撤廃が進み、法人が蓄積する富に使われる人、法人が蓄積した富を使う人との明確な固定化が進むんじゃないかと思う。豊かだけども人を騙すぐらいしか努力する希望のない社会がやってくるのかな。今朝の朝日で労働市場の規制緩和を訴えている学者の寄稿を読んだけど、食うや食わずの非正規雇用労働者のことを「それでも仕事があっただけありがたいと思え」式の主張で問題をすり替えていて、まるで野麦峠の時代。いつからこんなに低レベルな資本主義国になったのだろうかと思った。

●今回の北朝鮮の核開発危機に、反米に重きを置く多くの左派系の人々の間でも、おおむね北朝鮮の行動を非難し、一定の経済制裁に容認的な態度を見せている。
しかし、一部にはわけのわからないねじくれたことを考える人もいる。例えば、「世に倦む日々」というブログが、「1941年の対日石油禁輸措置 - 米国は二国間協議を決断せよ」と論じている。対日石油禁輸措置が日米開戦につながったことになぞらえて、米国が北朝鮮包囲網を解除して北朝鮮が望む二国間協議をすべき、というものである。
この歴史観は、首相になる前に安倍晋三氏やその右翼ブレーンたちが公言していた、戦争犯罪免責論と共通認識である。戦争や核での恫喝は絶対良くない、という立場が、靖国参拝を否定する論理であり、戦争犯罪者を受け入れてきた論理であり、世界に普遍性をもってきた反核運動の論理だろう。
盗人にも五分の理みたいな話で、左翼の中には北朝鮮の核武装に寛容的な考え方を言う一部の人たちがいる(今はこそこそと)。それはインドやパキスタンを差別するダブルスタンダードで間違いな考え方だと思う。核開発を放免するなら反核運動なんか二度と門をくぐらせたくない。軍国日本が国連脱退をして対米、対ソの二国間協議で問題解決を図ろうと暴走していった歴史をふりかえれば、北朝鮮が6者協議という多国間協議のテーブルに戻り、核放棄をするまで、手を尽くさなくてはならない。
北朝鮮というのは、軍国日本の現代版ジオラマみたいな国である。その国に対する評価というのは、戦前日本に対する評価だと心しなければならない。

経財諮問会議、民間議員が7課題を提案
 政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)は13日、安倍政権として初めての会議を開いた。

 御手洗冨士夫・日本経団連会長など新たに選ばれた4人の民間議員が、イノベーション(技術革新)による生産性の向上や労働市場の効率化(労働ビッグバン)など、諮問会議が取り組むべき7課題を提案。この課題に沿って議論を進めていくことを確認した。次回からの集中審議では、まず地方分権をテーマに議論を開始する。

 安倍首相は会議で「小泉改革の成果が出てきたので一休みという声もあるが、しっかりとした改革を進めて成長戦略を立て、成長していくことを内外に示すことが必要だ」と述べ、改革の加速を指示した。

 諮問会議では今後、民間議員が7課題の解決に向けた政策を提言し、議論を進める。結果は、来年1月に策定する、今後5年程度の改革の方向を示す新たな中期方針に反映させる。

 7課題は、〈1〉イノベーションによる生産性向上〈2〉労働ビッグバン〈3〉世界に向けたオープンな経済構築〈4〉政府が民間の経済活動の足かせにならない施策〈5〉政府の関与が必要な分野の「市場の再設計」〈6〉資産の効率的運用〈7〉地方分権を含むくらし重視の改革。

 税制改正では、「グローバル化の観点からの税制の構築が必要」として、法人税減税の必要性をにじませた。

(2006年10月13日23時21分 読売新聞)

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コメント

はじめまして。全く同意です。

私は、広島の自治体労働者です。おそらくこれは、広島選出の中川幹事長が震源地のひとつだと思います。

TBします。

投稿: さとうしゅういち | 2006.10.14 13:59

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