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2006.10.12

10/12 国のおっぱい指導見直しへ

厚生労働省が保健行政を通して離乳指導をしているが、「5ヵ月離乳」を見直し、6ヵ月とする検討に着手している。そのほか、生後3ヵ月ぐらいから果汁を与えよ、という母子手帳の記述削除や、出産後の産婦人科での母子同室などの推進も検討されるという。

離乳時期を5ヵ月を6ヵ月にすることに意味があるとは思えない。10歳超えてもお乳を与えている国もあるし、授乳は月経再開を遅らせる(子宮への負担を軽減できる)効果もあることから、もっと後で離乳した方がいいという考え方もある。
一方、母乳がどうしても出なくて、あるいは出せなくなってしまって、早くから粉ミルクを使っている人もいる。少子化と孤立で育児不安の瀬戸際を歩いている今の親たちに、べきだ論を過剰に押しつけて、その通りにならないからと「問題ある子育て」かのような扱いをすることはどうかと思う。母乳を通して母体を尊重する考え方が普及することはいいことだと思うが、それが非科学的なモラリズムや、性的役割分業論に結びつける考え方、父子家庭の子に対する差別の土壌作りになることには十分警戒しなければならない。

かつては母乳を与えない子はぐれるみたいなことをいう似非科学者もいたけども、今では公的機関でそんなこと言う人はほとんどいなくなった。結局どうだっけ。こういうことは証明できなさそうだけども。非行になる因子っていろいろありすぎて、母乳だけでの相関関係など出るわけがないと思うし、非行少年たちが赤ちゃんの頃の生活環境や育児環境と、今の育児環境は全然違うから、その相関関係が出たとしても必ず役に立つとは思えない。
母乳を与えた方が免疫形成にはいいけども、子どもの衛生管理が発達し(すぎ)て、母乳でないから大きな不都合があるという話にはならないと思う。「母乳ならタダだしええやん」と言い切った同僚(母親)のような機会主義的な態度が結局正しいと言えるのではないか。

また、近年の研究では、咀嚼能力の発達しない早期に離乳食を食べさせることがアレルギーの原因じゃないかという考えもあるらしい。とくに3ヵ月で果汁を与えることはほんとうに良くないらしくてアメリカの母子保健の指針では絶対に6ヵ月までは果汁を与えてはならないとなっているらしい。私自身も果物によっては口の中が痒くなるものもあるので、それは実感する。

そうしたいくつかの考え方に触れて市の3ヶ月検診に行くと、「なぜ果汁を与えない」「離乳食を覚えなさい」と指針の通りに問いつめてくるので、無意味だしそれ以外にもほんとうに嫌な思いをしたので、それ以後無視している。

そもそも子どもの育ちは千差万別で、おおむねこうだ、ということしか言えない。何ヶ月でこう、何ヶ月でこう、というマニュアル化は、子どもを見ないで耳学問で子どもを育てよ、という指導になってしまうのではないか。母乳の与え方については、子どもの状況、その家庭のおかれた社会的環境、母体の母乳供給能力で、総合的に判断して考えるべきだろうし、初乳指導がきちんとできれば、あとはその家庭家庭で、その条件にもとづいて自然に母乳が与えられ、自然に離乳していくのではないだろうか。

そういう意味で、母子保健指導に関するこうした指針について、今回の見直しをきっかけに、科学的根拠に基づかないものや、科学的詰めにまだ余地のあるものについては、各自治体で柔軟に取り扱うことができるような内容に見直してほしい。

※母乳に関しては、検索で面白いほどいろいろな資料が出てきます。みなさんでそれぞれお読みになってご確認ください。

厚労省、「6カ月離乳」検討へ WHO報告受け2006年10月12日16時15分朝日新聞
 赤ちゃんの離乳の時期や離乳食の調理方法などの「目安」を示した厚生労働省の指針が約10年ぶりに改定され、現行では生後5カ月とされる離乳時期が見直されることになった。「生後6カ月までは母乳だけで必要栄養量を満たす」とする世界保健機関(WHO)の報告を受け、日本でも「6カ月」への改定を軸に再検討する。

 95年にできた現行の指針は「離乳の基本」と呼ばれ、離乳を進める際の手順や食べ物の種類、量や調理方法などが書かれている。保健医療の専門家の指導の根拠になっており、育児雑誌などでも広く利用されている。

 だが03年のWHOの報告書では、6カ月まで母乳で育てることを推奨。母乳時期が長い方が、赤ちゃんに多い下痢などが少なくなるほか、母親の月経再開が遅れ、貧血改善にも役立つという。英国など多くの国で生後6カ月が採用されている。

 日本でも国際標準に合わせて「6カ月」にするか、「5、6カ月」と幅を持たせるか、専門家の研究会で来年1月までに結論を出す。

 このほか、生後3~4カ月ごろに「薄めた果汁やスープを与える」との母子健康手帳の記述についても、栄養学的な根拠がないため、見直しの対象に挙がっている。

 また、母乳が出ないなど、授乳期の悩みを抱える母親が7割にのぼることから、出産直後からの母子同室の普及など、出産施設が母子を支える態勢のあり方も検討する。

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