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2006.09.14

9/14 経済産業省が取り組む個人情報保護法ビジネス

個人情報保護法のおかげで、添付ファイルのあるメールを出してはだめ、次はメールを出してはだめ、さらにはメールを受け取ってもダメ、休み時間であってもインターネットを見てもダメ、市場の牛みたいに首から鑑札をぶら下げない人は仕事してはいけない、と、もうたいがいにしてくれ、と思う。でもそれは個人的鬱憤。仕事の性格上やむを得ない。
しかし、それでも、個人情報保護法は既得権で名簿を大量に持っている業者が新たなビジネスチャンスをつくるために作られた法律じゃないかという感じがしてきたが、それを裏付けるようなニュース。

昔は名簿屋という半ばアングラな世界で個人情報が売り買いされてきたが、個人情報保護法によって、シラミのような文字で書かれた文書で本人が流用を承認してしまった個人情報であれば、かえって商品価値をもっていて大手を振って他の業者に名簿を売ることができるようになった。巧妙に個人情報を集めた業者、クレジットカード会社のサイドビジネスのチャンスになっている。
もっと言うと、氏名程度の情報の流出で流出元の企業を脅かすことができるようになったのも、この法律のおかげで、かつては信用問題に響かない業種であれば、こんなに騒がれることはなかった。恐喝みたいなことを生業にしている半ば犯罪者にエサを与えた法律という面がないわけではない。

現在、個人情報管理のお墨付きを経済産業省の天下り団体が交付しようという動きもある。他の省には規制緩和とか改革とか煽った経済産業省だが、自分たちはこうした新しい資格をつくり天下り団体を増殖させている。そして頭の悪い地方自治体が、このお墨付きマークを取得した業者以外は事業発注しないという。このお墨付きに何の意味があるのだろうか。東海地方の自治体の労組を牛耳る革新政党系派閥が、敵対派閥に属する臨時職員の断片的な個人情報を組織的に集めてつなぎあわせて流し、臨時職員のくせに給料が高いと機関紙で非難した事件があった。システム担当者はシステムとして情報流出は不可能だが、入手した情報を組織的につなぎあわせるようなことを防止しようとすれば、仕事でコンピューター使えなくするしかない、と言っていた。本気で個人情報を拾おうとする人や集団があっても、こんなことにお墨付きマークで何かが保障されると思えるだろうか。お墨付きがある→安心という短絡的な安心感を得たいだけの話ではないだろうか。
そしてその「安心」を記号的に買うために、お墨付きを交付する天下り団体の手数料稼ぎ、そこからどんな資格があって事業委託されているのか不透明な「外部審査員」とやらの食い扶持になり、さらには資格申請を手伝う「コンサルタント」業者のビジネスになっている。
なんとかお墨付きマークを取得するために、コンサルタント業者に審査の申請を丸投げする業者もあるという。そんなして入手したお墨付きマークを信頼できるのだろうか、疑問だ。

クラス名簿の廃止で保護者仲間ができなくなったり、緊急連絡網が崩壊したり、個人情報保護法の副作用があちこちで出てきている。簿情報を一網打尽に縛るような個人情報保護法を早急に廃止して、名簿業者や大量の個人を相手にする通信販売や保険業などに限定した規制法に変える必要があるだろう。

個人情報管理「Pマーク」、交付急増も中小企業に負担感2006年09月14日18時54分朝日
 個人情報を適切に管理している「お墨付き」と言えるプライバシーマーク(Pマーク)の交付数が急増している。個人情報保護法の全面施行を機に、取得を発注条件にする自治体や企業も出てきたからだ。しかし、中小企業からは「手間と費用がかかりすぎる」と悲鳴も漏れる。

 7月28日に開かれた国民生活審議会個人情報保護部会。意見交換で、委員の一人が指摘した。

 「取得・維持に費用がかかる。指定機関が天下り先にもなっている。この制度が有益と断定するのはいかがか」

 同部会では、保護法の全面施行後3年をめどにした制度見直しの検討を進めている。Pマークについて事務局側が用意した文案は「事業者の情報保護の取り組みを促進する上で有益」としていた。

 Pマークは経済産業省所管の財団法人「日本情報処理開発協会」(東京都港区)が審査・付与している。不正アクセスや漏出への技術的対策のほか社員研修などの態勢も細かく審査。会長は元通産事務次官で、専務・常務理事5人中3人も経産・通産省出身だ。

 98年から始まり、昨年4月の法全面施行前後から申請が急増。9月14日現在の取得企業・団体は5287を数える。

 部会が関係団体へ実施したヒアリングでは、普及で情報保護意識が高まる一方で「マークの認定が発注条件になるなど、要求が強まっている」という報告もあった。

 香川県や群馬県、東京都杉並区など、個人情報を扱う業務委託の際に取得を条件にする自治体も増えている。

 取得費用の負担感も課題だ。申請・審査・マーク使用の合計料金は小企業は30万円。中企業は60万円。大企業は120万円。審査員の旅費や宿泊費は別にかかる。2年ごとの更新料はそれぞれ22万、45万、90万円。審査料は一昨年末、約2倍に値上げされたが、協会は「申請が増え事務負担が増した。質の高い外部審査員を確保した人件費の分もある。当初の設定が低く、これでもぎりぎりに抑えている」という。

 さらに負担となるのがコンサルタント料だ。中小企業の多くは外部コンサルタントの研修を受けたりノウハウを学んだりしながら手続きを進めるからだ。

 8人の相談員を抱える「インターネットプライバシー研究所」(東京都豊島区)には一昨年から相談が急増、現在は約30社の相談に乗る。費用は中小企業なら180万円前後。大企業だと1000万円を超えることもある。

 7月に取得したばかりという港区の卸会社は「取引先からマーク取得を求められた。漏洩(ろうえい)対策ができたが、数百万円の負担は大きかった」と話す。一方、「取得だけが目的で手続きを丸投げされる場合もある」(都内のコンサルタント会社)との声もある。

 部会では「審議会として推進していると取られてしまう」との指摘があり、断定的な文言は修正することになった。

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