8/5 税制を複雑にしていく意味はあるのか
やっぱり谷垣はダメなのかなぁ。今度はNPO寄附控除税制の拡大だと。何かにつけて税控除、税控除って、税控除を乱発しているけど、それが効果を産むのか疑問だ。税控除とは、寄附すれば払うべき税金をその納税者に戻すことになる。つまり特定の団体に寄附すれば、寄附の一部を政府が肩代わりすることになる。ましてそれは、小額納税者は一部分しか政府が肩代わりされないのに、金持ちの寄附は半分近くが寄附されることになる。税金を払いたくないだけの志の低い金持ちにNPO業界が今以上に左右されるのだろうか。
それと税制そのものへの問い直しが必要なときに、つぎはぎだらけの税控除制度をさらに複雑にすることが必要なのか疑問だ。所得税への信頼感を取り戻すためには、複雑な税控除をできるだけ客観的にわかる控除に束ねていき、所得比例の公的年金保険料などとの統合を図っていくことが必要ではないだろうか。
●自民党の武部幹事長が、靖国参拝問題について、信仰の自由だとか言論の自由を引き合いに出してたわけたことを言っている。法律上の自由や権利があっても、職務上できないことってあるだろう。住むところの自由は基本的人権だが、日本の労働者にはよほどの家庭事情でもない限り転勤を拒む権利はない。しかしこれが基本的人権の侵害だという法解釈はまだない。有権者の権利や自由を、義務や責務と取引させるようなことばかり言うのに、権力者の自由だけは解釈し放題だ。
いつまでも交際していた男に言い寄られていた女友だちが「(その男にも)言論の自由はあるからねぇ」と言っていたなぁ。言論の自由は大切だけども、状況を誤って使うと間抜けに聞こえる。
寄付への優遇税制拡充、谷垣財務相が「絆の税制」提唱
谷垣財務相は5日、京都市内で講演し、9月の自民党総裁選向けの新たな政策として、地方自治体や非営利組織(NPO)法人などへの寄付行為に関する優遇税制を拡充し、寄付の機運を高めるための「絆(きずな)の税制」を提唱した。
「絆の税制」は、<1>個人住民税の控除対象となる寄付金の基準を、現在の「10万円超」から、所得税の控除対象と同じ「5000円超」程度まで引き下げる<2>寄付した側が所得税や法人税で控除される寄付対象先としてNPO法人が認定される期間を現行の2年間より延長する――という内容。少額または継続的な寄付を増やす狙いがある。
谷垣氏は「世のため、人のために働きたいという日本人が持つ気持ちをうまく引き出し、家庭の絆や地域の絆に結び付けるため、『絆の税制』を考えるべきだ」と語った。
(2006年8月5日19時46分 読売新聞)
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コメント
税制が複雑になると、公務員の労力がそちらに取られます。
税が簡素になると、徴税などに取られている労力が必要なところにまわせると思います(必要なところがなければ減税、定員減)。
また、複雑な税制は租税回避に金を使える層とそうでない層の間に不公平を生みます。
しかも、税を払う側の税を払うための負担も大きくなります。そもそも簡素な税制なら税理士はほとんど必要なくなり、アメリカのEAのような存在感のない存在になります。これは、そのまま社会のコストダウンに繋がります。
とにかく複雑な税制でいいことはないですね。
大きな政府でも小さな政府でも税はシンプルである方が良さそうですね。
投稿: takeyan | 2006.08.06 02:54
大きな政府と小さな政府という規模の問題は違いますが、財政の技術では共通する考えが多いですね。
大きな政府でも2つあって、亀井さんや公明党・共産党や70年代の社会党のような恩恵としての大きな政府は私もゴメンです。
人々の権利と自治を基本としながら、自立と能力開発を支えるために今より大きな政府が必要だと考えています。そのためには、政府のシステムがわかりやすいことが必要だと思います。とくに負担については、公平でわかりやすいシステムであることが必要です。
余談で、連合などの考え方に反することになりますが、消費税が上げるときに考えられている食費などの生活関連物資への減税は反対です。かつて流通業で働いていましたが、流通にかかる税制を複雑にすることは、中小零細の流通業者には膨大な管理コストの発生、レジなどコンピューターシステムの買い換えなどが必要になります。また、食品といっても原材料はトラクターだったり、漁網だったり、それらは食品ではないわけで、結局価格のなかに高率の消費税が入っているのに、消費者には低率の消費税のように見えているだけです。
投稿: 管理人 | 2006.08.06 08:33