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2006.08.01

8/1 市内の保育園の運営委託に関して

朝霞市の市報が届く。保育園・子どもに関する事業に関して5点突っ込みどころ満載。

①市議会で宮戸保育園の運営委託に関して質問が行われた
議員 1年目に15人、2年目にも10人の職員が退職しています。1年目には担任欠員により委託費返還が行われました。2年目も非常勤調理員が4ヵ月間1人欠員、今年度も幼児暮らすに配置されるべき非常勤保育士が欠員のままです。市は基本的なチェックさえもしていないのではないか。
健康福祉部長 宮戸保育園の運営状況につきましては、保護者とのふれあいを重視した懇談会を通じて、保育士の専門的観点から相談に応ずるならどの対応や、独自の保育教材や保育遊具を導入して、その目的や効果について保護者に説明を行うなど、公営とは視点を変えた保育を実施しているところです。平成17年度からの実施事業者における雇用形態の変更等により現在は特に問題がないものとかんがえております。なお、非常勤職員につきましては、契約・仕様書の中で配置人数を明記する正規職員とは異なり、暮らすの子どもの状況等に合わせて配置することとなり、欠員ということはございません。また民営保育園の対応につきましては、毎月の報告書に基づいて担当職員が鋭意その審査ならびに指導について努力しているところでございますのでご理解いただきたいと思います。

「ご理解いただきたい」という終わり方は、裁量行政なのでこれ以上は口をはさまないでください、という態度。その体質が問題をこじらせている。また、懇談会がどうして「保護者とふれあいを重視」なんて修飾がなければならないのか何の説明もないし(そもそも常設の保護者会があるのか?)、職員配置数は常勤/非常勤の前に、国の最低基準にもとづく法定数や自治体の規定数があり、それに基づき補助金適正化法にのっとり運営費が支出されている。それを守っていなければ違法行為なわけで、非常勤職員だからと規定数雇ってなければ補助金の詐欺にあたる。

②同じく市議会で仲町保育園の委託決定経緯について質問があった
議員 仲町保育園の運営形態を民間委託とした庁内の保育園運営検討委員会の議事録から定員管理上公営は無理などと決定されたが、保育内容について検討を抜きに決めたのか。
健康福祉部長 (民間委託した)宮戸保育園の運営について公営とは視点を変えた特徴ある保育等により、保護者満足度が高い数値が得られていること、さらに民間事業者からの事業提案が期待できることなどから民営化の結論とした。保育行政の柱は保育指針であると考えている。民営だからと保育に対する考え方に問題があるという考え方は持っていません。
企画財政部長 定員管理の問題は、特に保育園を民営化することを前提につくったことはない。

定員管理や民間委託の是非については市側の答弁に一理あるものの、健康福祉部長の民間委託における管理監督に関しての答弁は問題ある。
保護者調査の満足度が高いということだが、これは社会福祉法やどで決められている第三者評価の手法ではなく、質を他園と比較ができない保護者に市が勝手にこさえたアンケートを集計したわけだから、どこが良くてどこが悪いか判断もできない状態で回答を得たものだ。シビアなものではない。判断に専門家が判断に加わったかどうかも疑わしい。それを満足度が高いと勝手に評価を下すことを「自画自賛」という。
この答弁では、保育指針以上の方針を市は持たない、あとは事業者にやりたい放題させます、という意味が取れる。これは委託発注者としての姿勢が問われる。さらに、委託発注者として一定の仕様を決定することが必要ではないだろうか。
そもそもこの保育園委託は、当事者たちに話しもなく、実質庁内だけで決めてしまったし、その委託の仕様についても当事者は審査できない。これが民主主義と地方分権のもとにある自治体運営として妥当なのだろうか。

③「公立保育園の運営希望事業者」募集の案内
平成19年7月に開園予定の仲町保育園を運営する事業者を募集します。
決定方法 プロポーザル方式(企画提案による選定)
参加資格 埼玉県および東京都内で保育事業を実施している法人
参加要領配布 8月1日~22日(火)
提案書等提出期限 9月15日
提出書類 運営提案書・法人の決算書・経費見積書・仕様書等
施設概要 朝霞市仲町2丁目地内(東上線朝霞駅北口の再開発中の東朝霞団地内)
通常保育 0~5歳児・休日保育・一時保育・地域子育て支援センター
のべ床面積 1502平米 鉄筋コンクリート建
問いあわせ 朝霞市児童福祉課 048-463-2837

過去のように、社名だけブランドで運営管理に問題のある企業が受託することがないよう、きちんとした実践のある社会福祉法人、学校法人、NPO法人などに受託してもらいたいと思います。そのためにはたくさんの法人に応募してもらいたいところですが・・・。業者の決定過程には、保護者や保護者団体に加わってもらいたいものです。

④学校給食の栄養電算システムプロポーザル説明会・・・?
学校給食の栄養事務の電算システムを新しいものにするらしく、その決定をプロポーザル方式で選ぶという。プロポーザル方式は、価格入札だけでは決めにくい内容の事業発注を行う際、業者の提案能力を比べて選ぶ方法。しかし法律上は、この間国の官庁で談合や汚職の温床になった「随意契約」そのもので、役所が任意に業者を選ぶことだ。特に朝霞市の場合、その決定過程に市民も参加していないし、提案書類が公開されないので、公正に選ばれたのか検証不可能だ。いつ不祥事になってもおかしくない。
役所の提案・発注能力が追いつかない福祉分野などは意味があるかも知れないが、栄養計算事務がそんなに創意工夫を問われるとは思わない。むしろ、現場の栄養士さんたちにどんなシステムが必要なのか十分検討させることが必要だし、そのことが能力を高めることになるのではないか。また、目的もはっきりしている電算システムなら、開かれた場で価格だけで受注業者を決める一般競争入札で良いのではないだろうか。

⑤市営住宅の補欠登録者の資格を示した別表
いくつか時代にあわない、あるいは差別的な応募条件が見られる。「社会通念上不自然な世帯分離」として親がありながら兄弟姉妹のみ、祖父母と孫の同居、DVで子どもと避難中の戸籍上結婚している状態の人などが応募資格から排除されている。こうした規定について、今の社会問題にあわせて見直しが必要だ。「社会通念上」とは主観的な価値観であって、法にのっとった公正な行政運営とは思えない。不正な手段で入居をもくろむ人を排除するならそれを具体的に明記すべきだ。このような書き方したら、関西では差別問題となり当該課は糾弾闘争の対象になる。認識が甘い。
また、夫婦子どもで「社会通念上自然」な世帯が複雑な家庭環境にある人より入居でも有利になってしまう。税金を使ってやる事業なのだから、彼らこそ、民間住宅に住める地域社会にしていくことが市の施策だろう。

【補記】ふじみ野市営のプールで運営委託した業者がさらに業務を丸投げしていたという事実が出てきた。また委託した会社も丸投げ先の業務実態について把握しておらず、自治体業務の運営委託が、こうした地域の何やっているかわからないような会社に対して単なるマージンばらまきになっているだけ。これが何も考えない民間活力の結果。子どもの生命が無惨なかたちで亡くなっているのに、事故後1日経っても市役所も委託先企業もどんな安全策を講じているのか全く理解できない現実。
朝霞の保育園委託問題で、委託先企業の営業の自由があります、というような答弁をしている限りは、ふじみ野市役所のような窮地に立つ危険性は高い。

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