7/31② 保育所が入所者を選ぶ制度に変わるのか
疑惑だらけのオリックス宮内義彦CEOが率いる政府の規制改革会議(議事録なし)が、保育所の直接入所申し込み方式を再度答申した。1999年に否定されてから、この話を何度も蒸し返して、ほんとうにしつこい。
保育所の直接入所方式は待機児童問題だけを考えれば、いいことだと錯覚してしまうが、これは毒薬だと思ってよい。実際、そうやっている幼稚園を見てみるとよい。朝霞市のように幼稚園も足りない地域では、保護者が入園書類をもらうために早朝から幼稚園の前で並んでいる。受験競争の厳しいときの私立高校受験もそうだった。自由に選べるといのうは、こうした体力任せの選抜が進むということだ。まだ能力も不明確な乳幼児にそんなことをしなければならないのか、というのは疑問だ。
園側も親のサイフを見て子どもを選ぶ可能性が高い。幼稚園では障害児入所が排除され、一部の良心的な幼稚園しか障害児を受け入れていない。受け入れていない幼稚園の言い分は「他の子の発達に十分力を入れられないから」と。いかにもなことを言う。
また、保護者にお金を渡すたぐいなので、行政からの規制が無力化する。保育士の人件費を思い切り切り下げたり、目に見えないコストなどはどんどん切りつめていくことになる。規制改革会議の宮内や八代、専門委員会に出てきている無認可保育ビジネス業界の代表者たちは、例えば調理室の設置など不必要だという議論をしてきたことから、給食は弁当搬入がどんどん進むだろう。園庭がなくたっていい、親がそういう園を選ばなければいいのだ、と言ってきたから、遊び場も十分に確保されないことも違法ではなくなる。食育とか言っている時代に、どうか。
しかも保育所が選べるなんて幻想を振りまいているが、認可保育所が足りない地域は認可保育所水準の保育所もこれまで通り選べない状況は続く。
今は市役所が一定の基準にしたがい秘密主義で入所順位を決めているのが、これが保育園長など現場の裁量だけで後からの検証不可能なかたちで利用者を決めることになる。利用者が園を選んでいる気持ちでも実際には園が利用者が選ぶことになる。これを「逆選択」という。決定過程が密室化し、母子家庭や障害児、発達障害の子など面倒な子をあからさまに入れなかったり、地域の有力者や市議会議員のコネクション、寄附の多い人などを優先入所し既得権益化するのは、介護保険移行後の特別養護老人ホームの事例を見れば避けられない。
選ぶのが子どもでないことが問題だし、専門家ではない保護者が専門家である保育所経営者と情報非対称の関係の中で選ばなくてはならないということから起こる問題である。役所の規制もお金の流れから外れるから、朝霞市のように市の事業でも民間委託しているものは民間事業者のことだから知らないと言うような監督能力がない自治体では、救いようのない事態が起こるだろう。たとえこれ以上の規制緩和していくにしても、石川県のように、しかるべき第三者がアセスメントやケアマネジメントする仕掛けこそ先行してつくるべきだろう。
認可保育所が足りないからと、無認可保育所をそのままお金を流すなどというのは、低水準を固定化させる暴論である。2000年以降の相次ぐ規制緩和で、園庭も敷地内でなくともよくなったし、面積基準もどんどん緩和されたし、常勤規制も緩和された。認可保育所の求められる水準が高いものだとは思わない。それを達成させようとしない事業者たちに、「保護者の選択」という美名のもと公金を使わせるのは利権づくりとしか思えない。
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