7/2 滋賀県知事、予想外の勝利
きょうはブログを書くネタも無く、職場で頼んだ通信教育を消化した。
そんなところに、滋賀県知事選挙の思わぬ結果が出ている。研究者から転身したかだ由紀子さんが事前の予測を裏切って現職知事を破り当選をかちとる。社民党の単独支持だったが、これは社民党の力とか、社民党的なものへの評価というよりも、かださんのパーソナリティーや政策の勝利だろう。一部には武村系の保守が動いたとか、民主もいろいろあったとか、話は聞こえてくる。
要因については、あすにでもなれば世論調査の分析の結果が出てくるので、それを見てからだと思うが、1つには滋賀県民の中に「あったら便利」でも、ムダな公共事業に対する拒絶反応が明確なかたちで出てきたということは注目できると思う。
県は、国が事業を撤退する中で大戸川ダム建設を推進したり、JR東海が一銭も負担しない中での新幹線新駅建設を、県費持ち出し覚悟で推進してきた。そのことの是非が争点だった。その中で、ダムについてはもちろん、新幹線新駅についても世論調査では明確に反対と出ていた。その中での、推進派の現職知事と、反対派のかだ候補、共産党候補の三つどもえのたたかいになった。
埼玉県や首都圏の場合はどうだろうか。目立つ選挙では、自称改革派の勇ましい首長が次々に誕生しているが、八ツ場ダム1つ建設を未だに推進しているし、新幹線新駅のような「あったら便利」程度の公共事業がストップされているという感じもない。埼玉での「あったら便利」に、埼玉高速鉄道の延伸問題がある。バブルも終わり人口減少社会に突入して、郊外住宅地の不足感がなくなったのに、この延伸を止める議論は県議会にも県民世論の中にもどこにもない。同じタイミングで埼玉高速鉄道の巨額な累積赤字をどう処理するかということが政治問題になっているにもかかわらず。この延伸は県全体が払った700億の税金を一部の地域の便利さのために浪費しようというものだ。それも、通勤電車がやって来ることで、高い地価で土地を売り払える一部の人の利益のためだけに。
話は戻し、滋賀県は保守が強く全国一旧社会党が弱い県でもあったが、琵琶湖の環境問題では今日的な政策提言型の市民運動が最も早く定着したところ。そうした現実的な運動とそれが作り上げてきた関係の蓄積がこの結果となったのではないか。一方で、首都圏は、運動の歴史の厚みはあるものの、どれも空中戦的で、個別具体的な地域からの改革についてとても軽視するようなところがあって、平和問題とか、フェミニズムとか、政治イデオロギーとか、そうしたことが地方選挙のテーマになってしまい、具体的な課題で政治を動かした歴史は少ない。
嘉田新知事は厳しい船出だと思うが、せっかくの予想外の結果を大切にしてほしいし、滋賀県議会が新知事と可能な限り合意をして政策を前進するようにしてほしいと思う。
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コメント
都知事選が9カ月後に迫っています。石原ないしその後継者の対抗馬を誰にするかはともかく、対抗馬の政策づくり、整理はもう進めていかなければならないのではないですか?
中枢神経が出来上がるまでは黒川さんあたりが骨を折らないといけないのでは。
投稿: 森田敬一郎 | 2006.07.03 09:03
滋賀と比べて東京は難しいなぁ、と思います。
生活実感に根ざすことで政策を動かした経験が東京の人には乏しくて、どうしてもイデオロギー論争とか、平和論争になってしまって、その延長に有名人しか候補者になれない選挙という構図があります。やってみたいような気もしますが、面倒な感じもします。
投稿: 管理人 | 2006.07.03 22:30