7/29 外国人ヘルパーで人身売買をもくろむ人たち
●規制改革会議(宮内義彦オリックスCEO)が、社会福祉士と介護福祉士の外国人参入を開放するよう答申するらしい。宮内氏の盟友に人材派遣業アールの奥谷礼子社長がおり、規制緩和をぐいぐい進めている。利益背反もいいところだ。
本題に戻すと、外国人だからと差別されてはいけないという大義名分を使いながら、実際には差別的価値観にもとづいて導入することなのだ。ヘルパー程度の仕事は、と思っているのだろう。
でなければ、介護労働だけが名指しして外国人を使うなんて制度になるのがおかしい。全ての労働市場を外国人に開放して、外国人も日本人も同じ労働条件・労働法制の適用・団結権や団体交渉権、争議権などの実質的な人権を保障しないと話が通らない。低賃金で不安定な労働条件の職場をねらい打ちして外国人に明け渡すことがよくわからない。
ちょっとでも気に入らないことする外国人は入管送りにし、おとなしい外国人はとことん低賃金で搾取するこの国の外国人の使い方がある以上、美しい話しなんか信用できない。
景気が良くなって、雇用が逼迫してくれば、重労働な割に時給制のホームヘルパーは、なり手が足りなくなることは明らかだ。その時こそ、医師の年収の8分の1程度のヘルパーの労働条件を改善するチャンスだと思う。ところが既得権益の上にいる医療業界や、人なんて安く買いたたければ買いたたいた方がいいという質の低い経営者仲間がこれを回避するために労働力の供給を増やして、ヘルパーの賃金の高騰を回避しようという考え方と、それに一枚噛んで人材派遣業界が金儲けしたいという下心が見えてくる。
社会福祉士に限れば、役所の福祉課職員より相当なスキルで相談業務をする。言語はともかく、文化も違えば生活習慣も違い何でも医療が担うような国の人間がソーシャルワークをやることが適切なのか、ようやく社会的認知が始まった日本人のソーシャルワーカーがそういう人たちと人件費競争させることが適切か、再考が必要だ。
外国人も福祉で働くことも馬鹿にしているとしか思えない、規制改革会議の議論である。
介護など外国人福祉士を容認…規制改革会議が答申案
政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)の中間答申案の全容が28日、明らかになった。
一層の少子高齢化に備えるため、外国人労働者の受け入れ拡大を求め、新たな分野として、社会福祉士と介護福祉士を明記した。
NHK改革では、衛星放送3チャンネルのうち、2チャンネルを2011年度までに停止し、民間に開放することを提言した。福祉士については、今後、需要が高まることが予想されるため、政府は外国人受け入れを前向きに検討する考えだ。
規制改革会議は31日の会合で答申を決定し、小泉首相に提出する。
外国人労働者の受け入れは、出入国管理・難民認定法に定めた在留資格に基づき、「投資・経営」「教育」など27分野に限って認めている。答申案は「高齢化社会の進展に伴い、介護分野は労働力需要が高まると予想され、質の高い人的資源を確保すべきだ」とし、新たに外国人の社会福祉士と介護福祉士の受け入れを検討し、今年度中に結論を出すよう求めた。単純労働者受け入れは従来通り、認めていない。
政府はフィリピンとの経済連携協定交渉で、条件付きで看護師と介護福祉士の受け入れで合意している。この分野は過重労働などで人手不足が深刻になっている。同会議はこうした動向を踏まえ、受け入れ枠拡大を提言した。日本の社会福祉士、介護福祉士の国家資格を取得することが前提となる。
ただ、厚生労働省は「介護分野は国内労働力でまかなえる。身分が不安定な外国人の参入は問題がある」と慎重姿勢で、今後、政府内の調整が必要になる。
一方、NHK改革では、衛星放送2チャンネルを民間に開放するとともに、公共放送のまま残す6チャンネル(衛星1、地上波2、ラジオ3)については、報道などの基幹的サービスと、娯楽部門を分別して再編成することを求めた。
教育分野では、政府が市町村の教育委員会について、権限を首長に移譲する構造改革特区の創設を検討していることを踏まえ、「特区は必要な措置を速やかに講じるべきだ」と明記した。
(2006年7月29日3時0分 読売新聞)
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