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2006.07.24

7/24 元気な奴ほどよく自治体にたかる

JR東海が、新幹線新駅を凍結すると表明した滋賀県新知事に損害賠償を検討しているという。この新駅のような利用度の低い新幹線新駅というものは、鉄道会社にとってもメリットがなく、建設費も滋賀県内の自治体におっかぶせる計画だったのだから、推進派自治体と一蓮托生に損害賠償するような筋合いでもなかろう。政治リスクも考えず自治体にたかってきた営業態度こそ問題ではないだろうか。

JR東海はこの新駅を、自社ではほとんど負担せず地元の自治体に建設費を出させようとしてきたわけで、そのことが民間企業としての姿勢が問われると言わざるを得ない。しかも、ここまで突っ張ると、新駅建設ってJR東海に何かメリットでもあるのですか?とうがってみてしまう。建設会社や予定地地主にキックバックでも求めていたのですか、と。

福祉や教育を犠牲にして、こうした民間企業の金儲けのためにお金を使ってるのが今の日本の公的支出の実態なのだろう。そこには本来政治の力を頼るべきではない元気の良すぎる人たちが政治にわあわあ言っている姿が浮き彫りになる。

先日、このブログの愛読者である市内の友人と飲んだ。市内のある公共施設が土日は一部の商売人の顧客サービスのためだけに使われているという。昨日のワーキングプアでも、介護保険料免除を申請した年収24万のおじいさんの映像の横に、温泉無料券を市民にばらまいていることを示す立て札が掛けられてた。

小さな政府の大合唱で、自立生活を支える政府支出について「政府に依存して生きるな」という大合唱できりつめがどんどん進んでいる一方、温泉だとか、夏祭りの花火だとか、大音響のアンプを積んだトラックが荷台にやくざまがいの男を乗せて「そいや!そいや!」と町中練り歩くような祭とか、東京オリンピックだとかマラソン大会とかそんなことにはどんどん自治体がお金を出すようになっている。
この矛盾は何だろうか。自分だけでは自立できない人は、どんなに自立しようとしても、「自立していない人」が自治体にたかっているというイメージで語られ続け、援助なく生活できる人がどんなに自治体にたかって生きていても「自立している人」が熱い思いで地域を語るといイメージで語られているのだろう。

最近、行政改革やら歳出抑制の影響で新年度直前になって福祉サービスが打ちきりになることが多くなった。福祉で切り捨てられた人たちは、生活全般大損害を受けながら、JR東海のように損害賠償も提訴しないでいる。裁判費用もないし、残ったわずかな福祉サービスを気持ちよく受けるために我慢している。JR東海の損失なんて会社の存続を揺るがすようなものではないだろう。

最近、司法制度改革の副作用というのか、弁護士が企業舎弟になって何かというと損害賠償をちらつかせるようになった。政府規制改革会議の議長でオリックスの宮内義彦CEOも自分に対する月刊誌・週刊誌の批判記事に対して、すぐ名誉棄損や損害賠償をちらつかせるらしい。弁護士業界は今、いったいどうなっているのか。

滋賀県知事、早くも正念場 新幹線駅凍結に「包囲網」2006年07月24日00時45分朝日
 全国で5人目の女性知事となった滋賀県の嘉田由紀子知事(56)が就任早々、正念場を迎えている。同県栗東市で建設中の東海道新幹線新駅の凍結を掲げて初当選を果たしたが、建設主体のJR東海は契約の履行を求め、地元の栗東市や県議会も反発を強める。「民意」を前面に出す新知事と、「包囲網」を形成しつつある建設推進派。先行きの見えない両者の攻防が早くも展開されている。

 「もったいない」をスローガンに当選した嘉田知事は、県の財政再建策の目玉として、「新駅の建設凍結」を掲げた。だが、県と地元自治体、JR東海などは昨年末、建設費約250億円のうち約240億円を自治体側が負担することを定めた工事協定を締結。工事も5月に始まっている。

 嘉田知事は「凍結に政治生命を賭ける」と再三語り、工事協定の破棄をめざす構えだ。25日には、同社の松本正之社長と初会談に臨む。だが、松本社長は19日の会見で「協定を誠実に順守することが重要」と強調。今月末に支払期限を迎える県の建設負担金の一部についても「払わなければ債務不履行だ」と牽制(けんせい)した。

 ただ、協定書には建設中止に関する項目がない。総務省幹部は「新駅の大半は未着工で、その部分は損害賠償の対象にならないだろう」と指摘する。知事の決断が速いほど、県の出費が少なくなる可能性が高い。

 一方、駅前開発などに先行投資をしてきた栗東市の動揺は大きい。新駅関連事業に投じた市費は178億円。新駅が凍結されれば、駅前予定地で進む区画整理事業で、市公社が先行取得した土地が「塩漬け」になる恐れもある。国松正一市長は20日、「知事は対話路線と聞く。それならこちらも長い時間をかけて対話を進めたい」と話した。

 「オール野党」の県議会の抵抗も予想される。当面の焦点は、県が新駅建設負担金の一部として積み立てた基金約39億円の扱い。嘉田知事は「福祉や教育など別の使途に振り向ける」と主張するが、そのためには条例改正が必要で、過半数を占める自民党会派は「新駅を中止するなら、対決する。中止を決定づける基金の転用は認めない」と強硬姿勢を見せる。

 新知事が凍結への動きを加速させるのか、それとも合意形成を重んじるのか。県議らは「26日の施政方針演説が今後を占う」とみている。

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コメント

これは若干耳が痛い部分もあります。最近NPOやいわゆるまちづくりに関わっていて、このお金をこんな事業で使っても良いのかなと思ったりしますが、そのお金でできることがあるなら使わなければ損と思ってしまったりという感情も否定できません。自分としてはただ少しでも意義がある効果の大きいことをしようと頑張るわけですが。最近は田舎の花火も合併でなくなったり縮小の方向に向かってます。祭りも時間の問題でしょう。祭りや花火は福祉ではないですが、田舎では数少ない娯楽の一つだったりしますし、コミュニティの形成に役立っている面もあるとは思います。ただ、ご指摘の通りまちづくり系の人は自分たちがそれだけのお金を使うことは当然と思っていて、公金を使うことの無自覚さには呆れることがあります。

投稿: wacky | 2006.07.25 01:26

こと新幹線に関しては、むしろ自治体の方が「作ってくれ」と言ってた気もしますが。新幹線の駅を作ると町が繁栄するという幻想にすがりつき、そのためになら金を出しても惜しくはないと言わんばかりでしたよね。もちろん実際には駅など作っても都市の繁栄にはさほど影響はないわけですが、ようやく目が覚めたということではないでしょうか。
IT業界なんぞに身を置いていると、お役所から金を搾り取るために頭を悩ますSIerが悪いのか、搾り取らないと採算が合わなくなるほど無駄の多い人月単価制度やコスト積み上げ式の見積もりを要求するお役所が悪いのか分からなくなってきます。いや、むしろ「同じ穴の狢」と言った方がいいのかな?

投稿: とおりすがり | 2006.07.25 18:11

wackyさま
公共空間に楽しみがあってつながりあうということは公共性をつくっていく上でとても大事なのですが、自治体がやるべきなのか、民間の努力でやるべきなのか、考えさせられます。
とおりすがりさま
かたちの上では自治体が要求したという通りなのですが、誰が自治体に要求させたか、ということになると、政治業界内の談合的な判断だったのではないかと思います。JRもあそこまで中止に反対するところを見ると、一枚噛んで営業していたとしか思えません。
自治体のIT投資はムダが多いらしいですね。業者のいいなりというルポルタージュを読んだことがあります。

投稿: 管理人 | 2006.07.26 00:25

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