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2006.07.23

7/22 石川県が子育て版ケアマネを創る

市場原理チチンプイで公的サービスが良くなる、と盲信されているこの時代で、私を含め、保育所制度に関心を払う人の多くは、そうではない、それだけではない、と発言し、抵抗勢力扱いをされている。一方で、今の保育所制度は、コネクションや口利きがまかりとおる不透明な裁量行政によって入所を決める問題をどう克服するか、ということも考えなくてはならない。現状の保育所入所制度にカウンターパンチャーとなっている規制緩和論でもダメだし、もう少し客観的に利用者の権利性がかたちになる保育所制度・子育て支援制度ができないかと考えていた。

石川県は、保護者の選択か行政の裁量かという関係から、公的な第三者が子どもと子育ての状況をみて保護者と相談しながらサービス決定をしていくシステムを入れる。子育てをサポートするコーディネートを置き、妊娠中から子育てをどうしていくのか、ケースごとに相談にのり、適切なサービスをプランニングすることを10月から始める。介護保険のケアマネージャーみたいなもののようだ。

この制度の良いところは、
①子育てもしたこともなければ保育も知らない福祉行政担当者(かつては福祉畑職員がいたが今は政令市や一部の中核市以外は根絶されつつある。)が、市議の口利きや有力者の横やりを交わしながらベールの中の裁量行政で保育所利用者を判定している。もっと専門的な人が客観的な方法で保育所入所や子育て支援サービスの利用を判定できないか、という疑問への、有効な解決手法だと思う。
②オリックスの宮内義彦に可愛がられた学者たちや、政治的発言の好きな無認可保育所業界関係者を中心に、親に直接お金をばらまきそのお金で保育所を親が直接選ぶ制度にすればいい、という安易な規制緩和論がある。その弊害として、障害児や貧困家庭、母子家庭など課題の多い状況におかれた子どもが入所を排除されたり、逆に親たちが十分な情報を獲得できずに不十分な選択しか行われないことが考えられる。これは当事者自身が選択する高齢者介護よりも、選ぶ人(保護者)と利用する人(子どもとりわけ未就学児という事情)が違うだけにさらに問題が複雑化しかねない。行政でもない、保護者でもない、第三者がどのようにしたらその子ども自身が力づけられるか、という視点で、支援をする仕掛けは有効である。
③個々の利用者にとっては、必要な子育て支援や保育サービスを計画し権利としての福祉をきちんと意識づけることになる。相対的なニーズではなく、絶対的なニーズを明確にできる。そうなると、一定水準以上の保育ニーズや子育て支援ニーズが明確になり、サービスをきちんと整備していく圧力になっていく。
④妊娠という、まだ産まれた後のことを考えられる段階で関与することは有効である。結婚や妊娠・出産を期に仕事を辞めてしまった人が、のちのち、再就職をしようとしても難しいということは多くの人が経験して無念な思いをしている。現在の多くの自治体の子育て支援政策や児童福祉行政は、すべて場当たり政策で、当事者が困ってからあれこれやるような動きをしている。その結果、切羽詰まった保護者が行政に文句ばかり言うという構図になる。文句だから自治体は無視する、文句を言われた職員もどうせ数年でもっとましな職場に異動になる、という、問題解決のない悪循環に陥っている。妊娠した段階で、ライフスタイルや、子育てをどうしていくのか、保護者となるべき人の相談にのり、子育て支援や保育所制度、妊娠出産に関する労働法制などについて助言することができれば有効である。あるいは妊娠から相談体制があるということは虐待防止などにも有効だと思う。

効果的な行政サービスのあり方、福祉の相談のあり方を考えさせてくれるいいニュースだと思う。

●石田衣良「灰色のピーターパン」を読む。池袋のストリートギャングの話。どの章も面白かったが、児童福祉にひきつけて言えば「駅前無認可ガーデン」という、24時間開所の無認可保育所でのキャバクラ嬢の母親と変質者に誘拐されそうになった子どもの事件を解決する話は、援助・自立支援ってどういうことか、ということをうまく描いていた。
保育の話しになると、親の自覚とか、親の責任とか、長時間保育は云々とか、よく言うわと思うような議論が保護者に投げつけられる(もちろん言わないより言った方がいい事例も相当あるということがあるが)。でもそこで想定されている親って、全ての親ではない。自分たちの社会の一番ややこしいところを担っている人たちは身動きが取れない中でいろいろやっている。そういう人に責任とか、自覚とかいくら言って言葉の上の啓蒙をやってみても始まらないだろう、と思っていたところのいい題材である。

ニーズに合わせ子育て支援プラン 10月から石川県2006年07月22日19時55分朝日新聞
 乳幼児の育児をサポートするため、個々の家庭の事情に合わせて専門のコーディネーターが一時保育などのメニューを組み合わせて支援プランをつくるモデル事業を、石川県が10月から始める。介護保険でケアマネジャーがケアプランを作る仕組みを参考にしており、いわばケアプランの育児版だ。様々な支援策を一人ひとりに示す取り組みは全国的にも珍しく、県は出生率向上や「密室育児」の解消などにつなげたいとしている。
石川県の在宅育児支援プランのイメージ

 対象は、3歳未満の子を幼稚園や保育園に通わせず育てている家庭。厚生労働省などの03年調査では、3歳未満児の約85%が家庭保育だが、育児不安や負担感を訴える声も強く、重点的に支援することにした。

 県はまず、県内で20のモデル保育園を指定、主任クラスの保育士を各園で2人ずつ計40人選び、9月末までに「子育て支援コーディネーター」として養成する。

 各園には、「マイ保育園」という県独自の制度を利用して、妊娠中の女性らが訪れている。初年度は、これらの人の中から出産した人を各園ごとに約10人ずつ選び、子どもの発達などに応じた「子育て支援プラン」を月単位でつくる。一時保育や育児相談、親子の交流広場、民間のベビーシッターサービスや一時預かりなど、様々なメニューを組み合わせる。外出しにくい人には、保健師の訪問指導なども示す。

 プランに基づいて一時保育を利用する場合、0歳児の半日利用なら月4回までは半額を補助するなど、家庭の負担も減らす方針だ。

 石川県は保育園を「子育て支援の拠点」と位置づけた施策を展開している。昨秋始まった「マイ保育園」制度では、出産前に近所の保育園で登録すれば、おむつ交換、沐浴(もくよく)などの育児体験ができ、出産後は一時保育や育児相談などに応じてもらえる。県内13市町の218カ所の保育園や幼稚園が実施し、登録者は1021人(6月末現在)。

 「育児版ケアプラン」も保育園が拠点。県子ども政策課は「育児について、保育のプロに早い段階から相談できるのが利点。育児ストレスの解消や虐待防止につなげたい」という。

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