6/28 保守系・公明党市議が国家公務員住宅受け入れへ
市役所名で、基地跡地の国家公務員住宅の建設撤回を求める意見書を出したが、市議会の基地跡地利用促進特別委員会では、6会派中4会派が国家公務員住宅受け入れに賛成を表明した、と読売が伝える。
6会派中4会派ということは、共産党と市民ネットは受け入れOKするとは思えないので、保守系の進政会、拓政会、民主クラブと、公明党が受け入れに容認姿勢を示したことになる。保守系会派が市長の意向を無視して、国家公務員住宅の受け入れに賛成するとは思えないから、当初は勇ましかった市長も一定の方向転換を図っているのではないか。
市議会が容認と打ち出せば、行政権の下にある策定委員会、市民懇談会の結論は一定制約されてしまうことになるだろう。市議会が、市や策定委員会、市民懇談会の結論も方向性も考え方のベースもまとまっていないこの段階で、どうして容認ということを受け入れることをあえて示したのか、いろいろ深読みする必要がありそうだ。
私は、基地跡地に国家公務員住宅を受け入れることが跡地の自然保護の1つの方便、方策だと言ってきた。しかし財政面ではそれで正しいと今でも思うが、基地跡地の適正な利用ということを考えると、ここにきてあやういこと言ってしまったような気がしている。
基地跡地を何が何でも開発し、何でもいいから建設物を建てることで公共事業のおこぼれに預かろう、そういうような公共財産を食べている人にとって、手っ取り早く跡地利用できる道筋を立てるために、国が3ヘクタールしか利用しならなら、さっさと障害になる話を整理しておきたい、ということなのだろう。受け入れても残った16ヘクタールは自由に開発する余地がある、ということだ。あとは公共事業やり放題、民活で土地バブルやり放題、ツケは市民の税金から払う、そんな構図だろう。国はそんな朝霞市の判断を、高見の見物しているに違いない。
国家公務員住宅が来るということは、朝霞市は相当な覚悟が必要になってくると思う。国家公務員住宅には、転勤の多いキャリア組の若手官僚も相当入ってくる。行政と市議会議員は全く異質の住民がやってくることを覚悟した方がいい。国会議員を説得して仕事にしている人たちだからまず情緒論では統治することは難しい。今までの朝霞市民みたいに、行政や地域に不満があっても我慢するような人たちではない。かなり理路整然と、さまざまな法律や知識を使って批判されたり苦情を言われるだろう。苦情を言ってきた人の素性なんか調べたり、裁量権で報復などすれば、えらいことになる。
行政サービスの水準の低さも相当な問題になるだろう。彼らは、ある程度以上の自治体ならやれるように諸制度を作る仕事をしてきたのだから、それらが自分の住む朝霞市でことごとく中途半端な水準だとわかった場合、問題化するのは自明だと思う。
さらには、国家公務員は積極的に政治にコミットしないが政治に関心もある市民である。これまで人口が増えても総投票数37500票前後の市民しか投票しなかった環境のもと、内輪の中でやってこれた市議会議員の選挙事情も相当変わってくると思う。そういうことを覚悟した上での4会派は受け入れ容認姿勢なのだろうか?と思う。
公務員宿舎移転 「一部受け入れやむなし」 朝霞市議会 容認が大勢
東京23区内の国家公務員宿舎の移転先に、朝霞市の米軍キャンプ朝霞跡地(国有地19・4ヘクタール)が浮上していた問題で26日、同市議会の「基地跡地利用促進特別委員会」(浅川万次郎委員長)が開かれ、市議会6会派中4会派が「一部地域での公務員宿舎受け入れも検討する」などとして、移転受け入れに柔軟な考えを示した。市議会の大勢が移転容認姿勢を示したことで、市の態度決定への影響が注目される。
特別委では、市議会最大会派の進政会をはじめとする4会派が、「19・4ヘクタールのうち、3か所に点在する3ヘクタールについては譲歩も致し方ない」などとする意見を述べた。共産党など2会派は「これまで国は跡地利用を地元で考えるようにと通達した経緯もあり、市民本位の活用を考えた場合、公務員宿舎は望ましいものではない」として、受け入れに反対を表明した。
同跡地を巡っては、政府の「国家公務員宿舎の移転・跡地利用計画に関する有識者会議」(座長=伊藤滋・早大教授)がまとめた最終報告書で、「地元との調整が済んでいない」との理由で、宿舎の移転先候補地から除外されていた。その後、関東財務局の担当部長が16日、市役所に富岡勝則市長を訪ね、「今後とも宿舎移転について理解を求めたい」などとして、同跡地が依然として候補地であることが伝えられた。
特別委の浅川委員長は27日、学識経験者らでつくる市の「利用計画策定委員会」で各会派の意見を説明する。富岡市長は策定委の答申を受けて、跡地利用について最終判断を下すことにしているが、ある保守系市議は「市議会が『公務員宿舎の一部受け入れもやむなし』と大勢を占めたことは市長判断にも影響を及ぼすだろう」と話している。
(2006年6月27日 読売新聞)
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