6/3 シロウトが関わる調査のあり方
朝霞市が開いた地域福祉プロデューサー養成講座の第1回の講座に出る。
川崎市多摩区の地域づくりの活動をされた方の話を聴く。テーマは調査で話は少し外れたが、手作りで団地族の支え合いの輪をつくった話が面白い。当初、地元町内会と関係は悪かったという話だったが、それがどのように折り合ったのか改めて話を聞きたいと思った。
調査ということが必ずしもアンケートによる数量の話だけではなく、調べたことが市民自身が市民のためにどんなことができるのか、そういうことを探してほしいという司会のまとめに同感。アンケートや統計調査も必要だと思うが、ちゃんとしたのは行政にやらせればいい。
それに、統計がどれだけ正確なのか、重箱の隅をつつく議論をしたらキリがない。毎度、何百万円もかけて調査しないと何もできないことになってしまう。また、受け止めるのがたえず変化している人間ということにも着目しなければならない。世論や社会の感性はたえず動いているので、昨日までこれだ、と思っていたことが、明日にはあっちだ、という結果になることは多い。政治の世論調査や選挙結果をずっと目を通しているとそんなことの連続だ。少子化対策のアンケートでは、子どもにお金がかかるから子どもが増えない、という結果が毎度出るが、ではお金を与えれば増えるか、と考えると絶対にそんな確証はない。
そういえば企業の市場調査も大々的なアンケートをやっているようなイメージはない(足つくしね)。むしろユーザーと狙いを定めた属性をもつ人や、先発商品のユーザーたちに熱心に話を聴いたり、マクロな社会調査をしたり、アンケートとっても、かなり偏っていると思うようなサンプルだけを対象にしたり。それで売り上げがぴたっと狙いを定めるしかけこそ、地域づくりに流用すべきじゃないかと思う。
運営に1つ褒めることがあるのだけど、危険なので、全部終わってから書きます。
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コメント
あ、受講されてるんですね。いいなあ。
この企画は、かなり魅力的に感じたんだけど、あんまりあちらこちらに首を突っ込むのもどうかと思ったのと、そもそも余裕がないのとで、断念しました。
機会をみて、話を聞かせてください。2次的に勉強させてもらいたいです。
でも席を並べて、黒川さんと喧々諤々してみたかったな。でも、理屈の応報になって周りが引いちゃったりね(笑)
投稿: yone-zo | 2006.06.04 04:07
そうそう、本題の話ですが。
アンケート「だけ」に頼っちゃいけない、っていう話には同感です。
アンケートに限らないけれど、「市民の多くが望んでいる」とか、「大半が○○という意見だった」ということを、方向付けの一番の理由としちゃあ、いけないですよね。
もちろん、重要視しなきゃいけない、ひとつの要素ではあるのだけれど、「一番」ではない。
でも、アンケートに答えたり、意見を言った本人にとっては、(ましてやそれが最多意見であれば)その意見が「一番」であって、絶対的なものになっちゃっている。
そのギャップが問題。
アンケートに足りないのは、自分の意見を客観的に俯瞰する視点。アンケート、つまり個人の意見は、出発点でしかなくって、結論はその先にあるはず、と思っています。
投稿: yone-zo | 2006.06.04 04:18
すべて数値で測ろうとするのは高度成長の悪癖だと見ています。ほんとうにいい品物やサービスを開発している商売人ってヒアリングを大切にしているように思います。アンケートをどういうふうに受け止めてどう解釈するか、ということもいろいろあるし、そもそもアンケートの設問設定に何らかの価値判断が入っているわけですから、数値で結果がでても全くもって神の声として扱うのはどうかと思います。
アンケートを有用に使うための感覚と、ヒアリングの技術が組み合って、情報集めた人のセンスが光ると、とってもいい課題が出てくるのでしょうね。
余談ですが、学生の頃の田舎の大学の政治学の先生たちは、コンピューター(当時はパソコンという言葉がようやく定着した頃)が普及して1人一台の保有する時代になれば、すべての政策決定は直接投票でできるようになる、と脳天気なことを言っていました(有名人では小林良彰さんが言ってたかな)。
でもアンケートをいろいろ見ながら地域を考えていると、それだけじゃダメだとわかりますよね。IT社会になったにもかかわらず、そういうバカな政治談義が出てこないことがよかったと思います。世論が直接投票式民主主義を礼賛する政治学者とは反対にナショナリズム的になっているからでしょうか。
ただし、私は政治家が判断しにくいような高次な政治判断が必要な政策や、多くの住民の納得性を問われるような重要課題については、直接投票はやった方がいいと思う、という留保をつけますが。
投稿: 管理人 | 2006.06.04 12:27