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2006.06.28

6/28 増税してくれと云わせてくれ

もうすぐ終わろうとしている小泉首相の評価が、政治の歴史を研究している人たちのいいエサになろうとしている。吉田茂や池田勇人を超えるとは思わないが、田中角栄と同じくらい、後の時代を拘束するぐらいの存在になるだろう。

その小泉首相がいくつかのきわどい言葉を残していることがわかってきている。1つは規制改革会議で「証拠が残らないように議論してほしい」と言ったこと。そのためこの委員会は議事録がない。透明性や参加の平等に拘った小泉政権では珍しい政策決定スタイルだ。そのほころびが今、出始めている。

もう1つは、「増税してくれというまで歳出を削れ」という発言。小泉さんの進める小さな政府の本質を言っている。トータルパッケージで役に立つ政府を提示することなしに、帳尻あわせをギリギリやって国民との我慢比べの中で、適切な財政規模を決めようというのは、あまり豊かな国民国家の像ではなさそうだ。私は小泉さんの云うところの野党からの増税論者だが、それは我慢比べの果ての増税であってはいけないと思う。景気が中立的な状態のもとトータルパッケージとしての政府の役割を描き、そのもとでの税収水準を決定すべきだと思う。

露骨に就職差別されている母子家庭への補助金「児童扶養手当」は大幅に削られているのに、高所得者には児童手当が増額するのが、小泉政権の歳出削りの本質である。この他にも野口英世賞、日本橋の高速道路の地下化など道楽予算はつけてやろう、というのに、政治的発言力が奪われた人には、自立への端緒を奪うようなことを平気でやる(こうした傾向は都知事&都議会の東京オリンピック誘致とか、埼玉県知事のマラソン大会への執拗なこだわりとか、朝霞市役所の災禍祭への力の入れようなどにも感じる)。

これ以上歳出を削っていけば、保育料や介護料などもろ実費を要求されるだろう。赤ちゃん預けるのに月15万ぐらいは最低でも覚悟しなければならない。介護施設は月30万は払わなくてはならない。そうなったら、多くの人は家庭内福祉のために働くことをやめてしまうだろう。福祉の仕事はこの社会から無くなるわ、家庭内の福祉のために働く人はいなくなるわ、で、しかもそうして絶望的に働くのやめてしまった人が社会復帰することはほぼ難しくなるから、国民所得はどんどんしぼんで、経済はどんどん落ち込んでいくだろう。

最近、損保業界やある生保の大きな保険金不払いが問題になっているが、今の政府はまさに保険料は下げるけど、保険金も支払わない悪徳保険屋のようになろうとしている。保険金を払わない保険屋も、管理部門や役員を養う金はかかる。保険金を払わないからと保険料がタダになるわけではない。ユーザーへのサービスコストの割合が猛烈な勢いで減っていくだけなのだ。

「増税してくれというまで削れ」首相、諮問会議で発言2006年06月27日22時56分朝日新聞
 小泉首相が22日の経済財政諮問会議で「歳出をどんどん切り詰めていけば『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」と発言していたことがわかった。27日に公表された会議の議事録で明らかになった。

 首相は「ヨーロッパを見ると野党が(増税を)提案するようになっている」と、欧州の消費税をめぐる論議を引き合いに出し、増税には徹底した歳出削減が必要との考えを強調した。

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