6/12 市役所職員だけで保育所の民間委託を決める
新設される朝霞市立仲町保育園の運営を民間委託するという保育園運営検討委員会の報告書を入手した。
内容があまりにもいい加減で開いた口がふさがらなかった。また決定プロセスも市役所の中だけで決めて、あまりにもひどい。宮戸保育園の混乱があるから、市内で保育に関わる人はみんな次の保育園の運営を心配しているのにそれを払拭できるような内容ではなかった。
5月22日に開かれた保育園運営審議会に提出され、了承された「保育園運営検討委員会報告書」をダウンロード
第1に、この報告書の了承するプロセスに問題がある。
保育園運営審議会という中に、保育園運営検討委員会という市役所職員だけの検討会議を設けて、保護者も事業者も地域も加えずに話をどんどんまとめ、業者や地域の有力者で構成されているであろう保育園運営審議会という日当1万2000円の審議会で、17分、市役所の報告のままに、その報告について何も審議せず決めてしまった。
第2に、市議会でも混乱が伝えられた宮戸保育園の失敗について、まともに議論がされていない。市立宮戸保育園の民間委託と業者決定に噛んだ職員の責任を免責するために、次の民間委託に必要なあらゆる予防的議論が封じられて、宮戸はよかったよかった問題は「おおむね解消できた」という上に委託の議論が展開されている。笑えるのは試験制度と自己評価制度という「能力主義」を入れたから宮戸保育所の質は上がる、と言っている。それが本当なら朝霞市役所もこうした「能力主義」で質を高めてほしいものだ。保育所なんてそんなものではないだろうに。
第3に、公立公営の保育園の園長が3人も入っているのに、公立保育園がけちょんけちょんにけなされている報告書を平気で出すプライドのなさだ。市の事務職連中はどんなにめちゃくちゃな仕事をしてもふだんはかばいあうくせに、出先の同僚に対してはここまでひどいこと言えるものだと思う。
報告書では、8時までの延長保育も、保護者の交流も、食育をやっていることも、異年齢保育をやっていること、「独自の教材」を使っていることが、公営ではできない、やりにくい、と報告されている。そんなに公立がダメなら、朝霞市立の全保育所を民営化する提案をすべきだろう。3人の園長は退職届を出し退職金で民間保育園でも始めるべきだろう。
どこにも公立保育園が延長保育をやってはいけない基準はないし、保護者を喜ばすことは宮戸が得意かもしれないが、保護者集団としてきちんと意見を言えるようにしているのか、というと宮戸は公立よりずっと弱い。実際、子どものけがの報告でも、その報告を保護者が了解し受け入れたとサインを要求するようだし、本質的に保護者を大切にしているとは思いにくい。
第4に、宮戸保育園も今度やる仲町保育園も「プロポーザル(入札)方式」でやるというが、地方自治法上は、この間、中央官庁で業者との癒着の温床と問題になっている「随意契約」であるということだ。提案書を競争させていると言っても、それを選ぶのは市役所の職員だけで、利用する子どもや保護者はまず決定の場に関わっていない。子どもを保育園に通わせたこともない児童福祉課のおっさん連中が自分たちの論理と感覚で選んでいく。この業者決定過程の不透明さは、全国各地の民間委託で問題になっているが、朝霞市では完全なブラックボックスで決めることに平気でいられる。現実に、未だもって宮戸保育園のベネッセ委託の決定過程に関する資料は公開されていない。
第5に、来年度から社会福祉法人の保育所が2園開設される。1つは家庭保育室(無認可保育施設)からの移行になる。そこに至った努力はとても喜ばしいことだと思うし、関係者に敬意を示したい。ところが朝霞市は民間事業者が公的なものに近づく努力をしていることに市としては関知しない態度を取っている。市立保育園を安易に利益を抜き取ることができる株式会社に委託して市民の安全より業者を擁護する態度を取りながら、苦労して設立した社会福祉法人(利益を抜き取ることができない)の保育所のことを何も考えず、当然支援しようなどという態度が見られないことに、順序が逆立ちしているものを感じる。
あと、来年度新設する保育所にはみんな子育て支援センターがつく。そうなると朝霞市には13園しか保育園がないのに、8ヵ所も子育て支援センターがある。地域的にも偏在しているし、供給過剰だと思う。
保育所が入りたくても入れない人ばっかりなのに、6ヵ所まで造られる児童館とあわせると、子育てする時間のある人のための施設が他市とは比較にならないほどあちこちに造られている。本来子育て支援センターとは何をするところなのか、きちんと議論されているのだろうか。子育て支援センター=子育て支援にやさしい、なんてことでもないだろう。
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