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2006.05.23

5/23 文部科学省は小中学校を刑務所化すると

文部科学省が、学校秩序を守るために「問題行動」の生徒に懲戒権をもっと行使しろ、という報告書をまとめる。
内面支配するよりは外形支配の方が決着つけやすいけど、その運用やルールは市民社会の原理とはほとんど相容れない内容ばかりで、ひどいものだ。

教育にとって子どもは客で、客に対する懲戒権はどこまで使ってよいのか、もう少し冷静に検討すべきではないか。
学校秩序とは何か。学校はそもそも何を目的にしているのか。クラスという閉鎖社会で王様である教員が統治することが「学校秩序」なのか。子ども自身の能力開発と「学校秩序」がどのような関係性があるのか、薩摩の持ち込んできた明治維新以後の教育スタイルの中から、これらの答えは出てこない。

教育を他の商売と比べてみた方がいい。他の客商売で、客に懲戒権を行使することができるのか、行使するときはどのようなときなのか。そして懲戒の内容はどのようなものか。教育だから別次元で比べる必要がないというのは、文部科学省や教育者たちの驕りでしかない。さらに極端なこと言うと、その社会性のない驕りから教員たちによる性犯罪が引き起こされているのだ。

たとえば、授業妨害や、学校内でのほかの子に対する虐待・暴力などは、私個人は反対だが、他の子を保護するために出席停止などの一定の懲戒権が行使されることは仕方がないと思う部分もある。小売店では、クレームのうるさい客に懲戒権は行使しない。しかし万引きを放置したら商売が成り立たないから場合によっては問答無用で警察に突き出す。客への懲戒権の行使には一定の行動原理がある。
しかし文部科学省やこの報告書作りに協力した馬鹿者たちや、懲戒権をもとに教員たちがやっていることは、自由主義社会のしきたりを無視した、権力的な支配と服従の強制である。ルールはなんら合理的な基準もなく、子ども集団との合意形成なし教員が勝手に押し付けるものであり、ときには恣意的な判断がされるし、親が有力者だったり、担任と親がイデオロギーが近ければお目こぼしがあったりもする。

懲戒の内容も「訓告」や法律的な対応ならともかく、「居残り」させるとは拉致にあたり、「清掃」は強制労働にあたる(余談だが奉仕や懲罰で清掃をさせるから掃除が差別労働になってしまう。こういうことをする教員は清掃労働者への差別をつくっていると思う)。私の嫌いな共産主義政権とやっていることは同じである。そういうことを客である子どもたちに課すことがこの社会に成り立つのか、ことあれば、わが国は自由主義だとか言う論理と矛盾するのでないか。

愛国心だとか、学校秩序ばかりが優先されて、肝心の学力や考える能力、社会でたたかっていく能力がつかない。そんな公教育に税金を使うのはおかしい。小沢一郎は教育は国の責任と言ったが、そうだろうか。旧民主党時代、民主党は文部省の廃止を政策に掲げ、教育は現場と地域が責任を持てと。これからは自分たちの教育をつくる営みが求められているのに、それに反する動きばかりだ。
市場原理で公教育を変えることだって賛同したっていい。高校・大学のときの持論だったが、義務教育・高校教育予算を廃止、教育バウチャー制を導入すべきだという思いが復活してくる。子どもを客と思えないような学校なんて滅びてほしい。

文科省:問題行動の小中学生、出席停止を厳格に適用 学校秩序を維持--報告書公表
 児童生徒の指導のあり方を調査・研究していた国立教育政策研究所生徒指導研究センターと文部科学省は、問題行動を起こした小中学生を出席停止とするなど厳格な対応を求める報告書をまとめ、22日公表した。高校生には退学や停学などの懲戒処分を実施して学校秩序の維持を図る内容となっている。
 全国の公立小中高校生の暴力行為が98年度以降3万件前後で推移するなど問題行動が相次いでいるのを受け、センターなどが生徒指導の厳格化を軸に見直しを進めていた。
 昨年11月から生徒指導体制の強化策を提言するため、大学教員や弁護士、PTA理事や保護司など15人の協力を得て審議してきた。
 報告書は、生徒指導の基準や校則を明確化し、入学後の早い段階で児童生徒や保護者に周知徹底する。そのうえで、学校側は毅然(きぜん)とした指導を粘り強く行うよう提言。具体的な指導方法として、小さな問題行動から注意するなど、段階的に罰則を厳しくする「段階的指導」を挙げている。
 現在の公立小中学校では、学校の秩序が維持できないほどの問題行動を起こす児童生徒がいたとしても、停学や退学などの処分は認められていない。
 報告書は「居残り」「清掃」「訓告」などの懲戒や出席停止制度の活用、高校などでは停学・退学処分の適切な運用を求めた。
 小中学校の出席停止制度は、他の子どもの学習権を保障するため、市町村教委が適用。学校教育法の改正(02年1月施行)で出席停止の要件が明確化されるなど適用しやすくなったが、中学校では02年度37件、03、04年度ともに25件の適用にとどまり、小学校では02年度以降1件もない。【長尾真輔】
毎日新聞 2006年5月23日 東京朝刊

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