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2006.05.21

5/21 子育て世代への経済的支援は歪んだ政策決定だった

政府が近く打ち出す少子化対策案について、それをまとめてきた専門委員会は子どもを生み育てられる労働環境や社会インフラの整備で議論を進めてきたのに対して、猪口邦子少子化担当大臣が、結論を自民党が強く求める経済的支援にすりかえたことで週明けに抗議声明を出すという。
少子化担当大臣は、本来、子育てがきつい乳幼児をもつ親のためにスタートした児童手当を、高年齢層の子や富裕層にまでばらまく制度にしてしまい、その上、やっばり乳幼児の育児が厳しいからと、乳幼児手当という屋上屋を重ねるような愚策をやると言っている。
自治体では現在も、児童手当支給事務に数人の職員が常時配置されている。これにさらに支給基準の体系が異なる乳幼児手当がばらまかれるようになったら、自治体職員がさらに必要になる。多分、乳幼児手当に兆のお金を用意できるとは思えないから、乳幼児1人5000円程度のばらまき福祉のために。
児童虐待やDV対策に、人手不足を理由に何もできなかったり、保育所を無理に民営化している現状の自治体を見ていると、そんなつまらないことに労力を使っているとはばかばかしくなる話だ。

これまでこのブログでも繰り返し経済的支援の愚かさを指摘してきた。
子育て世代も騙されてはいけない。保育園をリストラしたり、産科医の全国的な廃業を指をくわえて見ているだけの政権がいう経済的支援とは、本当に困ったときの行政サービスは何もしないから、はした金でなんとか自分たちでやってくれ、というメッセージでしかない。就労環境の整備や保育所の整備をやらないで現金だけばらまけば、それは専業主婦優遇策でしかない。どう考えても、専業主婦がいる家族モデルを前提にした政策はもはや有効性を失っていると思うが、自民党はイデオロギーに縛られている。
そんなことで少子化対策にもならないし、少子化が解決しなくても子どもが育つ環境が良くなればいいが、保育園も入れない、母子家庭は路頭に迷う、こんな社会のままでお金だけ流したって何になるのか、自立を促す政策になるとは思えない。
ほんとうに困っているところだけに財政出動すれば効果的なお金の使い方になるが、政策意図もなく財政出動をするためにムダに税金を集めることになるのだから、政府の機能の否定である。

専門家たちはそんな「ばらまき福祉」で子どもが増えないし子育ての環境が良くならないことはわかっている。でもいくら渡したと選挙で絶叫するのは楽だから、政治家たちは後先考えずに経済的支援に傾くのだろう。猪口邦子も働く女だからおそらくその不合理さはわかっているのかも知れない。しかし、反動的感情渦巻く中で圧勝した小泉チルドレンの一員として、働かせ方を変えろとか、保育所を充実しろとか、「社会主義者」たちが言うような政策は主張できなくなっているのかも知れない。

猪口氏の少子化対策案、6専門委員が抗議声明へ2006年05月21日08時34分朝日新聞
 政府が6月にまとめる少子化対策案をめぐり、優先するのは「経済的支援」か、「働き方の見直し」や「地域・家庭の子育て支援」か、猪口少子化担当相と、同氏がトップを務める少子化社会対策推進専門委員会の委員が対立している。経済的支援を重視する同氏が18日に経済財政諮問会議に示した「新たな少子化対策案(仮称)」に対し、環境整備を重くみる専門委の委員6人が「我々がまとめた報告書とは大きく異なる」として、週明けにも抗議声明を公表する。

 少子化対策は、自民、公明両党の案と、専門委の報告書をたたき台として現在、政府・与党協議会で検討中だ。

 同氏が「政府や与党の検討会などで提案されている事項を再編成した」として諮問会議に示した案には、「出産無料化」や「乳幼児手当の創設」「不妊治療の公的助成拡大」など経済的支援が明記された。若年層の経済負担軽減の必要性を訴える同氏の意向を反映したものとみられる。

 だが、子育て支援や労働の専門家ら8人で構成する専門委が10回の議論をへて15日に提出していた報告書は、「子育て支援の環境が整備されていない現状では経済的支援のみでは子育ての安心感にはつながらない」として、「働き方の見直し」と「地域と家庭の多様な子育て支援」を「まず取り組むべき課題」と位置づけ、「乳幼児手当」などはあえて盛り込んでいなかった。

 佐藤博樹東大教授(人事管理)ら6人は「これまで話し合ってきたのは何だったのか」「報告書の内容はほとんど反映されていない」と反発。連名で抗議声明を出すことを決めた。

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 asahi.comにちょっと気になる記事がありました。「猪口氏の少子化対策案、6専門委員が抗議声明へ」というタイトルの記事です。どうやら専門の委員会で時間をかけて話し合ってきたことが猪口大臣が経済財政諮問会議に示した資料に生かされていないようです。  猪口大臣は、経済支援を重視する「新たな少子化対策案(仮称)」を提出したようですが、委員会では、「働き方の見直し」や「地域・家庭の子育て支援」を重視する報告を出していたようです。  それならばさっそくと、少子化社会対策推進専門委員会(長い.... [続きを読む]

受信: 2006.05.22 18:07

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