« 4/10② 教育委員会主催の講演会は疑似科学の発表会だ | トップページ | 4/11 市の財政の7割を傾けて »

2006.04.10

4/10 自治体にたかるGMS

北海道新聞社「実録・老舗百貨店凋落」(講談社文庫)を読む。縁故のある地方都市が、札幌(丸井今井)、大分(トキハ)、近所の川越(丸広)など、力のある地方百貨店のあるまちばかりだったので、地方百貨店の動向は気になっている。

札幌の名門百貨店丸井今井の、97年のオーナー家社長解任に始まる第一次再建から05年の伊勢丹の系列入りによる第二次再建のスタートまでを追いかけたルポルタージュ。私が札幌で働いてた会社は相当古く創業115年になるが、それより5年ぐらい先輩のデパートで同じ界隈だった。第一次再建は拓銀が倒産したり、今の労組に就職が内定した時期でもあり、いろいろ思い出にも絡む。

第一次再建はバブル後遺症のツケの精算。当時のオーナー今井春雄氏が自分の事業欲(青年実業家にありがちなハード物件の購入欲)のために連載債務でデパートの資産を食いつぶしたことがきっかけ。第二次再建はまさしく郊外型スーパーの進出による道内支店の破綻に原因としている。

第二次再建にともなう小樽店や苫小牧店の閉店に際して、自治体や商店街から閉店するなの陳情を繰り返し受けた。しかし丸井今井は自治体に、GMSがまきちらす対策費に目がくらんで郊外型ショッピングセンターを誘致をし、税金使って鉄道駅を改築したり外郭団体が土地買い取りに協力し、中心市街地を滅ぼしたのはそのまち自身じゃないか、と反論した。まさにその通りで、税金や地元の政財界の恩恵を受けてきたかと言えば何もされていないのである。経済情勢やブームのハコモノを行き当たりばったりに誘致するだけの北海道の自治体にとって中心市街地そしてそこにある百貨店なんてどうでもよい扱いしかしてこなかった。

小樽市はさらに間が抜けている。市をあげて誘致した9万平米のマイカルの郊外型ショッピングセンターが中心市街地をずたずたにし、丸井今井小樽店を傾かせた後、たった2年半でマイカルは経営破綻。その余波をうけて、中核店舗のビブレが閉鎖され廃墟化したという。さらに10億の税金の貸倒が起きている。体よく自治体はGMSにたかられたのである。

流通業の不振について「努力しない中心市街地の商店街、デパートがツケを払っている」という93年イデオロギーを信じ込まされ、いろいろ弊害はあっても経済進歩のために郊外型スーパーを規制するのはおかしいという議論がされている。無個性で便利なGMSに魂を抜かれその影を見ようとしないお気楽論理である。この本を読むと、郊外型スーパーは政治力と税金を食い散らかすとんだ浪費家なのである。GMSは努力しているから成功しているのではない。

朝霞市の基地跡地再開発でも、青年会議所案では「税金を使わない開発」と称して、郊外型スーパーの誘致を目指している。税財政を有効に使えということと、自営業者の集まりである自分たちの利害を一致させた提案だと思う。
しかし、郊外型スーパーの出店に市や国の財産を使い、ただでさえ地力の弱い商店街がさらに衰退し、高齢化著しい本町周辺の定住民の買い物の場を遠ざけるとすれば、何のための市の財政なのか、問い直されなくてはならない。作られる雇用も時間給労働しかない。税金を使うにしても、そこで働く人々は税金を納めない程度にしか所得を与えられないことも留意すべきだ。

|

« 4/10② 教育委員会主催の講演会は疑似科学の発表会だ | トップページ | 4/11 市の財政の7割を傾けて »

コメント

私の住む町は郊外型スーパーが町の規模の割りに少なく、中心部の商店街やデパートもそれほど衰退しておりません。
しかし、例の岡田スーパーが進出するという話もあります。
市長は両方(中心市街地と郊外)うまく住み分けができると楽観的で、進出歓迎の予定地(市街化調整区域)の地主に理解を示すような発言をしております。
町がだめになってからでは、ほどこしようがないと言うことが分っていないようです。

投稿: エトランジェ | 2006.04.11 09:37

わが街も地場の百貨店があり、産業再生機構の適用を受けて最近、再生計画を終了しました。大丸から社長を迎え、売り場のリニューアルを進めてがんばっていると思います。格差社会で地方百貨店のビジネスモデルは厳しくなってきていると思いますが、百貨店の提供する非日常感はなかなか得がたいものであると思います。

投稿: wacky | 2006.04.12 00:05

エトランジェ様はじめまして。市長の任期が4年なので、その間に問題がおきなければ調整区域の地主の言い分をきいてなにがしかの献金をもらうのが合理的なのでしょう。残念なことです。小樽市の失敗もそうした楽観から来ています。郊外型スーパーは経営権をタテに現場の意見を聞かない、地域が口挟むことを嫌がるなど、地域責任を取りませんから、高齢社会には一番誘致してはいけないハコモノだと思います。
Wacky様、百貨店は公共サービスとは言えませんが、公共財のような感じがしています。近代の大きな発明ですから、大切にしていきたいものです。パリ・ボンマルシェ、ロンドン・ハロッズに遜色ない日本の百貨店の歴史ですが、三越は三重県松阪市がルーツですね。

投稿: 管理人 | 2006.04.12 00:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44442/9528218

この記事へのトラックバック一覧です: 4/10 自治体にたかるGMS:

« 4/10② 教育委員会主催の講演会は疑似科学の発表会だ | トップページ | 4/11 市の財政の7割を傾けて »