« 3/23 介護保険をもっとみんなのものに | トップページ | 3/25 交渉の背景にあるもの »

2006.03.23

3/23② まずはピンハネをやめよ

雑誌から。再近刊の「エコノミスト」の特集「娘、息子の悲惨な職場」は題名にひかれてついつい買ってしまった。編集部の小林美希さんという記者が大半の記事を書いていて、経済誌の編集部に若者の職業について考えられる人材が少ないか、と思う。が、この記者の切り口はなかなかよい。大学就職課職員の覆面座談会はほんとうにいい企画。派遣会社が、派遣先の企業名のブランド性をちらつかせて、正社員になれるような幻想を抱かせ、人身売買のようなことをやっている実態や、正社員になって人生を固定化させるより、まずは社会を見てみるために派遣労働をと騙すような実態が報告されている。なかには学生から研修費を巻き上げる会社もあるらしい。

コメントを寄せているパソナの南部社長(民主党の前原偽党首と昵懇の仲)は「派遣も同一価値同一賃金を」といい「正社員の年俸を時給換算した時給設定が理想的だ」などとふざけたことを言っている。同一価値同一賃金は誰も否定しない。しかし、派遣会社は受入企業が1800円とか2000円払っている時給費用から1000円近くピンハネしているのが現実ではないか。同一価値同一労働なら、どうして派遣労働で働いてるおねえさんたちが低賃金で、派遣会社の正社員の人たちの羽振りがいいのか。言っていることがおかしい。普通の会社で人事部職員の給料が高くて、実業務にあたる職員の給料が安いなんてモラルハザードもいいところだ。

テンプスタッフの篠原社長もふざけたことを言っている。正社員と派遣社員の賃金差は本人の能力だ、とばっさり。覆面座談会の記事を読んだ後は、就職活動の能力や、面接で気に入られる顔や体型まで含めた能力なのだろうか、と思う。

阪大の大竹文雄はいい感性しているのに結局言うことは、賃金が高すぎるから正社員雇用が生まれない、という竹中平蔵と同じはなし。ケインズ経済学以前の論理だ。大恐慌のときも、給料が高すぎるからと賃金デフレを続けて、景気悪化に拍車をかけた。その結果、戦争でしか解決できなくなってしまった過去を考えると、雇用がなくなるのは賃金が高いことが原因かどうか、再検証をしなくてはならないと思う。

●月刊誌「世界」に連載していた佐藤優「民族の罠」をコピーして読む。民族主義・ナショナリズム・ファシズムについて思想的に説明する論文。源流はトロツキー主義にあるという新保守主義の淵源、スターリンの民族論と金日成の民族論の根本的な違い、小泉政権の思想的本質などいろいろ面白い。民主主義とファシズムは親和性が高いというのは、徳川主義・反薩長・佐幕派の私には共感するところもある。哲学系の人の文章は難しいが、久しぶりに抽象思考の訓練をしている。
それと最近の「世界」は、左翼外の反構造改革的立場の人や、若いライターに積極的に執筆の場を提供していて面白くなってきた。毎度姜尚中、大江健三郎、鶴見俊輔など、九条の会に並ぶおじいちゃんおばあちゃんたちの同人誌的なところから脱却して新しい左派の論客をつかまえているのはいい。

|

« 3/23 介護保険をもっとみんなのものに | トップページ | 3/25 交渉の背景にあるもの »

コメント

ある飲食店で打ち合わせをしたときにこういう会話になりました。
「この店で十数人いると思うけど時給1000円超の人はいないだろうね」
「景気はいいというけど、この店の人は誰一人一家を支える給料はもらえていないということだね」
「森永卓郎の年収300万の本で想定している水準に1人も行かないということだね」
「景気がよくてほとんどの人が経済的に幸せじゃない社会というのは異様だね」
「それでもサービス業の場合は競争で価格が下がり、労働者の取り分が減った分はある程度社会に還元されているから食事代は下がったよね。物価は驚くほど下がっている」
「派遣の場合は時給が低い分は社会に還元されずにピンはねか・・・」
こんな内容だったような。
物価が全部下がれば時給が下がっても生きていけるけれど、単に時給が下がると単に生活が苦しくなる。
私の言うことではないですが、派遣労働者の大きなユニオンがあれば、そして、それが機能すれば今ほどは抜けなくなるでしょうね。

投稿: takeyan | 2006.03.25 17:49

ほとんうに、物価が下がってパラサイトシングル(生活保護受給者予備軍)が増えることがいいのか、物価が多少高くても公的なところに依存しないで生きていける人を増やす方がいいのか、きちんと議論しなくてはならないと思います。そう森永卓郎さんの300万どころではないのです。
パートの組合は重要だし可能性が大いにあると思います。
一方、派遣労働の組合づくりは難しいですね。派遣労働者を何とかするのは、派遣会社に責任を突いていくべきだけども、今日労働者が最も関心を持っている給料や勤務時間以外の、雇用や仕事のあり方などについて交渉しようとすると、派遣会社じゃらちが明かなくて、何にもならないようなところもあります。IT関係に多いようなのですがあえて進んで派遣社員となった人が組合をつくって共同の利益のためにたたかうか、も自業自得論にヘンに納得している彼らが同意するのか微妙なところです。

投稿: 管理人 | 2006.03.26 00:51

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44442/9228638

この記事へのトラックバック一覧です: 3/23② まずはピンハネをやめよ:

« 3/23 介護保険をもっとみんなのものに | トップページ | 3/25 交渉の背景にあるもの »