3/10③ 出生率と就労のデータから考えること予告編
マスコミの話題になっている、厚生労働省の第3回21世紀成年者縦断調査が興味深い。もっときちんとデータを見つめてまた報告したい。
育児休業制度があると認知されている職場とそうでない職場とで出生率に3倍の差がある、そして育児休業制度が取りやすい職場は取りにくい職場より2倍出産意欲がある、という報告は、出生率の回復のためには企業の努力が必要だということを改めて認識させられた。
これまで出生率の回復のために、保育政策を混乱させたり、児童手当という財政を棄損する政策をとってごまかしごまかしやってきたが、やはり、安い人件費で労働力を浪費させるような企業マネジメントが問題だということが浮かび上がってきた。サービス残業当たり前、早く帰宅する奴は仕事がてきても問題人間というような感覚が日本人を覆っている。
サービス残業も含めた労働時間あたりGDPは先進国中最低という統計もある。企業の努力に期待したい。
またここでは男性の育児参加度と出生率が比例しているという。男性労働者に「お前のカミさん、子育てをお前に押しつけて気楽なモンだナ」なんていう上司は珍しくない(恥をさらすようだがかつての私の父親も)。そんなこと言って若者から家庭力を奪い続けた上司たちこそ、そうして低下した出生率のもとで今まで以上の年金をもらおうというのだから気楽なモンなのだ。
私は、出生率が下がっても上がっても、社会システムを変えれば何とかなると思っている。出生率が下がらざるをえない社会のときに無理に上げれば子育て世代が塗炭の苦しみを味わうことになるし、出生率が上がって仕方がないときに下げようとすれば、中国の一人っ子政策のような問題も起きてくる。出生率をキーに息苦しい社会を変えるのは賛成だが、出生率を社会構造に無理矢理合わせるようコントロールすることは無理があると思う。
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