2/7 ヒント蒐集
職場で、労働系シンクタンク、連合総研「経済情勢報告」、自治総研「自治総研」2月号、大竹文雄「日本の不平等」(教育文化協会)をゲット。どれもタイムリーな資料。
連合総研の経済情勢報告は、政府の経済白書のカウンターレポートとして価値がある。文章も適度に硬く、適度にわかりやすく、資料も簡素にふんだんに入っていて良い。
「自治総研」は介護保険の記事が良い。先日このブログで紹介した「医療の値段」を執筆した結城康博さんが介護保険見直しの焦点を明確に示してくれた。
介護予防は十分な予算確保がされていないこと、確たるプログラムや効果の検証体制がないことなどが課題だという。地域包括支援センターは、モラルハザード的な報酬請求、利用者の囲い込み、業者にとって楽で自立につながらないような介護をしている民間事業者を監督し指導する場としてつくられるが、それを民間委託すると結局モラルハザードをさらに助長することになってしまうというような問題点を指摘した。
朝霞市は地域包括支援センターを民間に委託しようとしている。民間主導の介護保険制度の業者の自発的な改革を促し問題を軌道修正するための機関を自治体や社会福祉協議会がやらなくてどうする、という感じがする。わがまちの職員は楽で内向きな仕事ばかり選んで、やるべきことは全部民間任せ誰か任せだ。これでは埼玉一の市役所なんてできない。仕事を選ぶなら市役所ごと民営化した方がいい。
自治総研の最後に地方制度調査会が答申した自治体議会改革が紹介され、とても参考になる。自治体議会の形骸化や機能不全を打破する議会に対する規制改革のヒントが盛り込まれている。
大竹文雄「日本の不平等」は研究会の報告。今はやりのジニ係数論議で、格差は拡大していないが、という大竹氏の報告。世帯別の所得格差を取っているから、単身世帯の増加、高齢者の年金収入差の高まりが格差拡大の要因だと言う。格差の評価や、それを感じる人々など、主観性の問題とからめて分析していることが面白い。所得再分配政策を支持しないのは女性より男性、30代と50代以上に対して20代と40代というのが興味深い。
小泉氏や竹中氏はこの分析をベースにしているが開き直っているだけ、国民がどう受け止めるかによって不平等を感じている問題も政策が必要だとする大竹氏の主張は違う方向で面白い。
●官製談合防止法で、公務員だけを厳罰にする動きが進んでいる。官製談合は無くしていかなくてはならないが、公務員を叩いているだけでなくなるものかと思う。談合は民間主導でもやれる。談合が官製になるのは、後ろにいる政治家が発注者である役所にあれこれ指図する構造があるからではないか。
そこにきちんとメスを入れずになくなるとは思えない。と言っても、法律を作るのは政治家だからダメか。あっせん利得禁止法ができても、ヒューザーから伊藤公介への口利き依頼とその見返りと見られるパーティー券の購入、斡旋があったし。そんなあきらめが続くと、なんだかわけのわからない混乱の政治への渇望が生まれる。自浄を期待したい。
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