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2006.02.06

2/6 民で取れる責任は民で取れ

マンション耐震偽装問題で、銀行の業界団体・全国銀行協会は、被害者の住宅ローンの返済を最大3年猶予すること、猶予期間の金利を軽減すること、建て替えの住宅ローンの審査を弾力的に行うことなどを発表した。

しかし、おかしくな話だ。
欠陥マンションの担保価値を見抜けずにお金貸した銀行が、その過失ともいえる責任に頬被りして、被害者が住宅ローンに苦しんでいるのを、彼岸にして涼しい顔している。

私も住宅ローンを抱えているが、不動産業者を通し、1週間もかけて何回も身辺調査をされた。あまりない職種なので、源泉徴収票だけではなく、給料表やら職場の会社案内まで提出させられた。それなのに業者のやっていること、担保となる物件の構造ぐらいチェックしていないのだろうか。審査していなければ過失責任があるし、審査して問題が分かって貸していれば小嶋同様、詐欺だし、どっちにしても責任があるのではないか。

私が住宅ローンの手続きをしたときは、銀行担当者が一回も姿を見せず、全て不動産業者を通じて行われた。不動産業者に住宅ローンの営業させているのだから、銀行と業者は密接不可分な状態で消費者に対峙している。銀行に自らの貸し手責任がないというのは不可思議なことだ。

今回の対策は何もしないより良いが、返済の猶予期間などは、さらに被害者のローン残高を膨らますことになるから、無理して返せる被害者は使うことは考えられない。返済猶予を利用した被害者は自らのクビを絞めることになる。
建て替えの住宅ローンの弾力的対応は当たり前だろう。しかし、これは見方によっては、人の不幸に乗じて儲ける焼け太りとも言える。
今回の救済策は何も銀行の懐は痛まない。むしろ困っている被害者を担保にビジネスチャンスをつくっているだけではないか、という思いしかしない。最低限、被害物件の住宅ローンの利息免除ぐらいし、不動産融資にかかわった営業担当者をきちんと処分しなければ、住宅ローンの消費者軽視のシステムは変わらない。

銀行は、今回の事件の被害を応分に引き受けるべきだろう。国や自治体のサイフだけに痛みを押しつけるのはおかしい。全銀協会長の西川氏などの銀行業界のドンたちは、繰り返し重用される政府の審議会などで、自己責任で福祉を縮小しろと言ってきた。言ってきたこととやっていることは違う。空前の利益を上げている銀行は、民でとれる責任は民で取れ、と言いたい。

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コメント

契約書にいざとなったときに消費者にすべておっかぶせる表現が入っているいろいろな商売が問題になったときがありました.保険とかは典型ですが、こういう業界の約款(契約)については本来、消費者保護の観点から公的な取り組みが欠かせません。
しかし、消費者保護という取り組みがまた、ものすごく軽視されているんですよ。悪質リフォームにしても、現場の消費生活相談員の手弁当のがんばりでいろいろと解決してきた経緯もあります。
官・公の責任の取り方(民間に取らせるべき責任は事前に明記させる努力)もしっかりと強調しなければなりませんね。そして、消費者保護行政の重視と。
情報の非対称性(会社は有利)がある以上、消費者保護は必須のツールです。自由主義経済を標榜するなら、欠かせないツールだと思っています。

投稿: takeyan | 2006.02.07 10:15

  「欠陥マンションの担保価値を」「銀行」に「見抜け」と言っても無理というものでしょう。どうやるんですか?


>彼岸にして涼しい顔している。

 そんなわけないでしょう。担保価値が毀損して不良債権化しているうえに、返済を減免せよという話になったらそれが確定してしまうでしょう。


>不動産融資にかかわった営業担当者をきちんと処分しなければ、住宅ローンの消費者軽視のシステムは変わらない。

 「営業担当者」というのは銀行員のことですか?とすれば一体彼らに何の責任がありますか?労金が貸手でも同じこと言えます?

投稿: ハンス | 2006.02.07 20:28

takeyanさんありがとうございます。
情報の非対称性のあるものを市場原理で取引させる場合には、非対称の弱くなる方の保護策が必要ですね。そういう意味での官の責任はあると思います。しかし今議論されている官の責任というのは私たちの税金で尻ぬぐいすることの方便で、実際に「官」が痛みを受ける責任にはならないのが現実です。それなら明確にかわいそうだから私たちの税金で助けてあげる、というべきものです。さらにこういうモラルハザードの建築確認制度を促した責任は、官より、政府審議会の民間議員、市場放任に全能感をもつ政治家などに責任があると主今が、そこはグレーのままです。なぜなら彼らはお金持ちであっても、賠償できるほどの財力がないからです。

ハンスさんの疑問がよくわかりません。
担保の価値を見抜けずに金貸しはやれないと思いませんか。住宅ローン融資では、銀行は融資物件の設計図ぐらいは目を通し、どんな建築業者が安全でどんな建築業者が手抜きをするか、という情報も知っているようです(私は間接的に銀行の融資担当者に今の住宅が買うに値するか調べてもらいました)。

本当は彼岸ではないから、一言も提携融資に関する実態について誰も話さないで、彼岸の事件のふりをしているのだと思います。

営業担当者の処分について。民間の営業担当者は、取引先が倒産や破綻して、売掛債権が貸倒になればボーナス等で査定の対象にされます。売り上げ未達よりも厳しい場合もあります。あまりにも取引がルーズだった場合は懲戒・降格を受けます。大きな案件になれば個々の営業担当者の責任は問えませんが、営業課長、営業部長と責任に応じて査定ぐらいはされます。悪徳企業ヒューザーとつるんでマンション売るのに協力し、貸倒などを起こして自社に損害与えた銀行員は責任があるし、普通は処分されるでしょう。労金も同様ではないでしょうか。内情はあまり知りませんが。

投稿: 管理人 | 2006.02.07 22:28

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