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2006.02.06

2/5 社会を理解しない人たち

というタイトルを打つとなにやら銭湯での行儀が悪いの、先輩後輩の身分関係をわきまえないの、そんなことを言うように見えるが、全く逆である。

ホームレスのことに取り組んでいる人のホームページを見た。
その人が、ホームレスが公園で住民登録を認められたことを前向きに捉え書いた記事に対して「税金でつくられた公園を勝手に占拠して」から始まって「自立しない人間を甘えさせる必要はない」「支援者たちは偽善者」などと結構口汚いコメントがものすごい量書き込まれていた。折しも大阪市が公園からホームレスの排除を始めたときに重なったので、注目が大きかったのだろう。

住民登録は居場所を特定する届けにすぎない。それを役所が公認したように思うのは官治主義による錯覚だろう。住民登録は民法上の占有権に直結するものではない。実際に住んでいるところ以外に住民登録することはできない。デオドラント日本には少なくなったが、都会には民法上の占有権や借家権とは切り離された生活をしている人がいることを認識すべきだろう。
住民登録を認めなければ住民としての手続きがいっさいできない。したがって自立にも就労にも転居にも足がかりすら始まらない。自称経営者という人のコメントには繰り返し「甘えるな」「自立しろ」って書いていたが、住所すらない人を雇って自立させてあげる経営者を見てみたい。ちなみにこの経営者はリベラルな新党さきがけ出身「市民派」無所属議員と親友だというから、考えさせられてしまう。

ホームレスの人たちに公園が「占拠」されている状態は尋常ではないとは思う。しかし同時に考えなくてはならないのは、この人たちの雇用の常識が急激に壊れたこともかなり非常事態であるし、その結果としてのグロスのホームレスの数の増加である。
ホームレスが公園を占拠していることに、納税者が「俺様の物」と同然に主張するのもどうかと思う。ホームレスのように社会的排除におかれた人も社会のものであり、公園も社会のものであり、それらを一体的に考えなければ、右にいるホームレスが左に行くだけの話である。だんだん排除が繰り返されることで、ますます社会悪になっていく。
世界標準からいって高くもない税金しか納めない日本人の中には、血眼になって税金の無駄遣いを探す風潮が流行っている。偉い人を批判するのは難しいので、社会的弱者のやむを得ざる公共物の占有に、正義の刃が向けられていくのだろう。

ホームレス支援をしている人を批判する人たちの悪質なところは、ホームレス支援活動をしている人や、ホームレスの立場に同情する人に対して、「なぜお前の家に泊めてやらない」という言い方をすることだ。公共のものの考え方が未確立な前近代的な思考回路だ。
個人の支援は持てるものからその持ち出せる範囲のものでやるべきであって、自分が倒れるほどやらなくてもよい。2000年以上も前に書かれた聖書のよきサマリア人のたとえでも読むべきだろう。
そして、困っている人を支援したい気持ちと支援する力のミスマッチを乗り越えるために、人間は公共というみんなで力を持ち寄って解決することを発明してきた。税金や寄付や労力を持ち寄り、もっと大きな枠組みで考えるようにしてきた。お前が泊めてやれ、というのはこうして人類の進歩から退行する議論だと思う(住民登録をさせてあげている人はいる)。

公園に寝泊まりしないで済む人生の再出発をみんなで考えようと運動している人に、そうした揚げ足取りの言い方はほんとうに良くない。なんだか腹が立って仕方がない。荷宮和子が2ちゃんねるを見て怒っているが、その気持ちと多分同じだろう。

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コメント

 具合が悪くて横になっていましたが、よっこいしょ、と。
 これは正直な感想なのですが、気分を害されたら申し訳ないです。
 よくテレビの、公園の不法占拠に対する行政代執行に怒鳴り散らし、暴力を以て阻止しようとする絵が流れていますね。私の回りでもホームレス=自立する気のない怠け者、という意見をよく聞きます。そういうイメージを植え付けるのには、あの映像は十分すぎるほどの効果があるでしょう。
 ホームレスと一緒に「抵抗」しようとする「支援者」たちは、怠け者を甘やかさせているだけだ、という人も実際います。
 ただ、私は失業=怠け者とは考えていません。(今、流行の「古典派経済学」信者はそう考えるかもしれませんが…。)実際にホームレスのほとんどの人は「非自発的失業者」です。住居を安定させ、必要な職業訓練を行えば就職できる人もいると思います。また、医療的な支援を必要としている人も多いと思います。医療面で改善すれば、自立した生活へのサイクルに戻れる人も多いのです。
 救護施設などの自立支援施設の設置状況はどの自治体もお寒い限りで、ピンハネNGOがホームレスを一本づりしてきて、タコ部屋に住まわせて生保申請、生活保護費をピンハネしている(6畳間に4人住まわせて、行政から20万円以上の家賃をせしめていた例もあり。)といのがこの国のセーフティネットの現状なのです。
 本来「支援者」と「行政」は、相互補完関係でなければならないと思いますが、一部支援者と無理解な行政上層部が対立を煽っているというのが現状でしょうか。
 私自身は公園の不法占拠は認められないし、行政代執行も正当だと思いますが、その人たちが自立できるような施策(1~2年居住できるような寮の設置や医療扶助の実施)がなければ、福祉の増進を目指す行政の存在意義にも関わってくると考えています。

投稿: 窓灯り | 2006.02.06 16:04

ガチガチの古典派経済学信者っぽく考えるなら、「失業者は怠け者」とはならないと思いますけど。政府が市場メカニズムに介入して、市場メカニズムの正常な働きを阻害したために、失業者がこんなに多いのだとか言いそうですけど、彼らは。たとえば、法定の最低賃金をぐっと引き下げれば、野宿者の数はもっとずっと減りませんかね?市場の失敗から野宿者が仕事を持てないというより、法律によって人工的につくられた賃金の下方硬直性が、市場メカニズムの失業解消機能を阻害しているのではないかと。十分に安い賃金で働く労働力が確保できるのなら、それを利用したビジネスを考案し、雇用を創出する人はでてくるのではないかと。つまり、ホームレスを生み出しているのは法律なのではないかと。メキシコの失業率があまりにも低いので驚いたことがあるんですけど、実際にメキシコに行ってみたら、原因がすぐにわかりました。あっちでは、職にあぶれると、自分で露天商を開くんですよね。自己防衛的にself-employedになるというか。そういう露天商の多くの人の利益は、人件費の時給に換算すると、びっくりするほど安いから、実質的に最低賃金の壁を破っている。そもそも最低賃金法があるのか知らんですけど。で、そのめちゃ安の人件費のおかげで、その露天商の品物は、びっくりするほど安くって、それで需要が生まれ、それが雇用を生み出している。フツーにマーケットメカニズムが働いて、失業者をなくしているわけです。駅前で、百円で雑誌を売ってる人とかいますけど、あれみたいに、びっくりするほど安ければ売っている人がホームレスっぽいみなりでもフツーに買う人はどんどん増えているのではないかと。もちろん、最低賃金法は、搾取を防止するためにつくられているものなので、搾取を防ぐ別の仕組みが必要にはなりますけど。というような理屈をこねるのが、古典派経済学な人たちではないかと。

投稿: fromdusktildawn | 2006.02.06 20:45

 確かに賃金の下方硬直性は失業を生む、それに対する政府の介入は不当だと、主張する人は多いでしょうね。
 しかし、賃金の下方硬直性は市場メカニズムの一つでもあると思いますよ。労働市場が流動化しているという前提の元に、一定の付加価値を付けられる人間を確保するために、一定の賃金を維持しようとするのは企業側ではないでしょうかね。
 最低賃金を引き下げれば雇用は確保されるという幻想を持っている人も多いと思いますが、かの大恐慌時代に賃金は下がりましたが雇用は増えませんでした。ケインズは有効需要に答えを見つけ出したのですが…。
 仮に雇用が増えたとしても、最低生活維持に満たない賃金で就労しているという状態では野宿者は減らないどころか増える一方ですよね。
 もう一度経済学を勉強してみようかな。「モデュル職人」を軽蔑して、あんまし身を入れて勉強しなかったので。

投稿: 窓灯り | 2006.02.07 21:56

fromdusktildawnさん、適度に改行を入れたり、です、ます、だ、であるときちんと書き言葉にしてくださいな。
最低賃金がなくなれば雇用が広がる、というのは幻想です。社会全体では余裕のお金を持つ人が少なくなるから、社会全体の購買力は少なくなります。生活かつかつのものしか売れなくなります。購買力がなくなれば物が売れなくなり、雇用が減ります。合成の誤謬というものです。
また経営の側から言っても、人を効率的に使うというインセンティブが働かなくなりますので、非生産的な仕事を平気でやらせることになります。

窓灯りさま
経済学を勉強するのはいいかも知れません。じっくりやれるならサミュエルソンのテキストがいいみたいですね。今日、その訳者で日本の経済復興のシステムを考えた都留重人さんがなくなりました。残念なことです。

投稿: 管理人 | 2006.02.07 22:45

働く健康はあるが意欲はない 長期滞在者(5年以上)を喰いものにする
● 昨日まで橋下の住人が月額53700円の部屋代(光熱費別) もちろん税金からです ●
狭い部屋に二段ベットに4人 これで御一人(月額32900円+光熱費9000円)

お粗末名損控訴審の後に東京都受託事業者のヤクザのNPO法人(巨額な権益)を提訴した
本人訴訟の初口弁が開かれる
当方は訴訟癖はないが これも一連のカミングアウトの一つであり 幾つもの基本的な権利を
踏み躙られた この違法性を暴く 
一年前より釈明と謝罪を求めているが理事長は辞任 この巧妙・悪辣NPOに泣かされた人は多い  この事件記事と大同小異のSSS  組織的犯罪処罰法違反(詐欺)の嫌疑あり
国と都の監督責任を問われ共同不法行為が成立する事案である 印紙代3万4千円の
本訴訟で行政から便益を享受 癒着した"スキマ"産業へのテロルは解体を求め消滅させる
組織の危急存亡の事態に三人の代理人(二人は一弁)を立ててきた
これも法則性あってこその光輝く即興 圧倒的正義性と優れた理論・確かな証拠群で圧勝します
お粗末名損とは何の関連もない訴訟ですが 窮地になると 相手は 被害妄想 とは常套手段

圧倒的弱者に於いて裁判制度は時には有効手段になるかなと思わせる 答弁書かな
準備書面が届いた 斜め読みするに行政からの偽装受給を否定・ここら辺を暴くしかないな

一審は完敗で控訴しました 
http://suihanmuzai.hp.infoseek.co.jp/s-kouso001..jpg.html 

投稿: 流浪の民の乱 | 2007.08.06 22:19

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