2/4 身体障害者用の部屋があればいいか
東横インの事件はいろいろ考えさせられる。障害者用の施設が不便だから、見てくれがわるいから、掃除しにくいから、と撤去したことの無自覚さがまず責められるべきだと思う。
その上で、では他のサービス業はどうなのか、ということも問い直さなくてはならない。交通バリアフリー法にしたがって駅にエレベーターの設置が進んでいるが、障害者が夜間外出することがありうると想像できない人によって、新座市が管理する志木駅のエレベーターは22時で閉鎖されてしまう。小平市の小川駅で見たが、以前はエレベーターは障害者以外に使わせないという口実で鍵がかけられており、車いす利用者は交通機関へのフリーアクセスを禁止されていたも同然だった。当事者と接点を持たず、自分が同じ状態だったらどうなのか、と考えられないのは何も東横インだけではないと思う。
で、東横インが法律どおり障害者用の部屋を用意していれば問題なかったか、ということも考えなくてはならない。法律や条例の求めている障害者用とはいったいどんな条件なのだろうか。
これまで仕事など、いろいろな障害者と出会ったが、車いすを使っている人もいれば、盲導犬で動いている人、目が見えないのに白杖だけで外出できる人、内部障害で機械を常に携行しなくては成らない人、知的なハードルでひらがななど簡単な文字しか読めない人、いろいろいる。その障害者をひとくくりに障害者用の部屋に入れる発想になっていないか、再点検が必要だと思う。
この部屋は電動車いすでも使えます、この部屋は視覚障害者でもわかりやすいつくりになっています、この部屋は松葉杖をついている人でも施設が楽に使えます、この部屋は盲導犬がリラックスできるし排便できる場所も近くにあります、というような対応にしないとほんとうのバリアフリーじゃないんではないかと思う。そしてさらに困っている宿泊者には、介護業者を呼んだりできて、人的なカバーができることも必要になるだろう。
今は、身体障害者に対応できる部屋の確保が優先されることは間違いないし、その問題以前の東横インの姿勢は問い直されるれべきだと思うけど、もっともっとバリアフリーを進めていけば、建築基準法のような何かの数字をクリアすればいいんでしょ、というようなかたちでの障害者施設の整備は限界に来るとおもう。いろいろな障害者が旅行や外出を始めて、ようやくその現実がわかってくるのではないか。
●わっ、コメントがいっぱい。考えなきゃいけないこといっぱいあるなぁ。
| 固定リンク
コメント
障害者も様々ですから、一律に障害者用の部屋をただ作ればいい、という考え方はどうかと思っています。
確かに車いすで入室できる部屋、トイレ、点字ブロック、音の出る信号機、エレベータなどのハードウェアは必要なものです。ただ、ハードウェアを整備したから十分であると考えてはいけないと思います。
個人的には、障害者用に作られた施設は快適なものが多いので白眼視されながらも利用することが多いです。私自身は、障害者だ、健常者だ(ちなみにこの言葉は私は嫌いだ)と区別する前に、社会の一員としてどうつきあっていくかが問われているのだと思っています。
実際、つい最近まで(今でも、か)は、「障害者には付き添いがいるものだ」と考えている企業関係者、行政関係者は多いものです。
ちなみに私自身は右手親指関節が曲がらないという「障害」を持っていますが、別に普通に暮らしています。ま、この程度は障害とは言わないのかもしれませんが。
投稿: 窓灯り | 2006.02.04 22:02