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2006.02.11

2/10② サル軍団に公共サービスを委ねるまち

「日光江戸村」をつくって破綻し、いろいろ疑惑が取りざたされる産業再生機構を経由して再建をしている「大新東」という会社がある。そこの北海道の労働組合がわが労組に加盟した。
この「大新東」破綻後観光事業から撤退し、自治体の仕事のアウトソーシングを引き受ける会社に変身して、再建を果たしている。最初は観光バス事業から転換した、自治体のバス運転業務から、公用車の運転、今は、保育所や学童保育までやっている。就職雑誌の会社案内HPなどを見ると、社員には封建的なスローガンをたたき込み、社員は声がデカくて気持ちいいという(こういう安っぽい居酒屋みたいな感覚何とかならんかね)。でこの社員の仕事といえば公共サービスの担い手の人たちの労務管理と自治体への営業だけ。実際に住民の前面で働いている人たちはワンコールワーカーばかり。研修時間は給料払わないとか、問題が多く労働争議になっている
サル軍団の日光江戸村の会社が保育所の受託と聞いてなんだか複雑な気持ちだ。(誤記につき訂正)

●竹中と大阪大学の本間正明が、赤字の自治体の責任を住民に負わせようという構想を描いている。

確かに、公共事業やりまくって、ハコモノつくりまくって、その結果として赤字財政になったような町の尻ぬぐいを何で国民全体がしなければならないんだ、という理屈はわかる。だからといって、竹中や本間のこの構想がいいかというと問題も多い。北海道の僻地や長崎・鹿児島の離島の市町村など、どうひっくり返っても税収が良くなる保障はない。しかも年寄りだらけのその町で、それを自己責任だからと増税すれば竹中理論によればさらに若者は流出し、とめどもない悪循環に陥る。

一方で、私の住む朝霞市なんか良い例だけど、何もしない自治体が評価されることになる。日経がやった全国の自治体ランキングで13位とか言って朝霞市の職員は大喜びしているけど、良い数字は市の財政に関する指標と人口増や若者が多いという1960年代型の指標だけ。目を皿にして見たけど他は自慢できるような数字をはじき出している項目が何一つない。つまり上がる税金に見合う使い方をこの町はしていないのだ。その結果、どれもこれも公共サービスは中途半端の水準で、量が不足しているので利用者である市民は文句言うにも言えず、場合によっては公共サービスにありつけず料金の高い私的サービスを利用せざるを得ない保育所のような事例もある。
かく言うわが家もそう。朝霞市は待機児童の比率が全国屈指の高さで、その上ゼロ歳児は8か月からしか入れない。保育園児が小学校に転出して定員の空く4月に8か月になれない子は、3歳まで転出で引っ越した子の空き分しか入れない。その結果、認可保育所の保育料(それでさえ都内より1~2万円高い)より毎月2万円以上高い無認可保育所に預けている。私の家全体で払っている地方税が月約2万強なので、公共サービスの不足のために税金を倍払わされているようなことになっている。

朝霞市のように税金でやるべきことを民間に押しつけ、費用負担を市民に強いている自治体が評価され、高齢者だらけでクビの回らない自治体にいる数少ない稼働年齢の人たちにさらに増税を押しつけるようなあり方はモラルハザードしか呼ばない。

そもそも交付税が自治体のハコモノ事業の地方負担分を裏保障することで膨脹していることが問題なのに、自治体の福祉事業や、教育予算、職員の給与はともかく人員にとかく批判を集中させる竹中のやり方は本質的な改革にならない。竹中・本間の提案する改革はどうしてこうサディスティックなものばかりなのだろうか。

自治体破綻、住民「応分の増税」も視野 総務相懇談会2006年02月10日22時34分朝日新聞

 竹中総務相の私的懇談会「地方分権21世紀ビジョン懇談会」は10日、自治体の破綻(はたん)法制導入を含む地方財政制度のあり方について(1)破綻法制導入前に、地方への権限や税財源の移譲を進めるため10年程度の移行期間を設ける(2)自治体が発行する地方債(借金)の償還を政府が事実上保証してきた現状を見直し、自治体の判断と責任で発行する制度に転換する――などで大筋合意した。新制度移行後の借金で破綻した場合は増税などで住民の責任を問うことも検討する。

 破綻法制は、財政難に陥った自治体を民間企業の民事再生法などと同じように財政再建させる枠組みとして竹中総務相が整備を検討している。

 10日の懇談会では、宮脇淳・北大大学院教授が「現行の財政再建団体制度には、どういう形で債務を処理するかの規定がない」などと指摘。現行制度に代わる10年後の制度設計として、国から地方に権限や税財源の移譲を進めたうえで、地方債を自治体の判断と責任で自由に発行できるよう制度設計を見直す方向となった。事実上の政府保証は原則廃止して市場の監視に委ね、自治体が借金をする際には住民投票を実施するなど、「住民による規律」も前面に打ち出すことを検討していく。

 新制度の創設後、自治体が自主的に発行した借金がかさんでデフォルト(債務不履行)に陥って破綻した場合は、増税などによって住民に応分の負担を求めることも視野に入れている。経済財政諮問会議の議員でもある本間正明・大阪大大学院教授は「最終責任は自治体の意思決定にかかわったすべての人に存することを明記すべきだ」と主張している。

 破綻の認定方法やその後の処理についても明文化を目指すが、どこまで具体的な制度設計に踏み込むかが今後の焦点となりそうだ。

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コメント

 我が町も箱モノが増えましたねー。
 元々が昭和の大合併の時に、「市」になるために無理矢理くっついた(県の地方事務所がくっつけた)自治体ではあるので、他の旧村に何か施設ができると「おらが村にも」という声が押さえきれないため、元々箱モノ拡大の素地はあった訳です。それまでは市財政が許さない、と言って政治(前市長)が押さえてきた訳ですが、特に平成5年頃から「臨時財政特例債」で、将来の地方交付税を担保に箱モノを作れ作れ、これだけ予算を割り当てたから消化しろ、と自治省が言うようになって、政権も現市長に代わり、言うがままに箱モノを作るようになりました。その後、総務省は約束を反故にして交付税の担保もなくなり、経常収支比率が95%を超える危険な自治体になっちまったわけです。
 人件費が原因でないと言いながらも、財政再建団体に陥らないために、今度の4月から5%強の賃下げを行うと、組合に通告がありました。現在も交渉中ですが、当局は2月議会に強行する見込みなので、そのまま賃下げになるでしょう。指定管理者制度についても、とある現業職場を市長が巡視したときに「君たちも指定管理者の下で働くようになるんだよね。」と言って現業部の顰蹙を買ったりしているのが現状です。
 責任は自治体が負え、というのであれば、起債を割り当てた都道府県、自治省(総務省)の責任はどうなんでしょうかね。本間教授。

投稿: 窓灯り | 2006.02.11 08:12

黒川さん

伊関です

大新東の話し興味深く読みました。
ただ、一つ間違いがあります。

確か大新東と日光猿軍団とは別の経営だと思います。
日光猿軍団は、間中敏雄さんという個人が経営する劇場で日光江戸村とは別のものです。
http://www.nikkosarugundan.co.jp/

参考まで

投稿: 伊関友伸 | 2006.02.11 11:09

伊関さま、ご指摘のとおり確かに思い込みの誤報ですね。見出しから。お詫びいたします。サルではないけど、反省。
窓灯りさま、臨時特例債の次、今は返済を交付税で面倒見る合併特例債ですね。これで市庁舎から始まって、支所だ、コミュニティーセンターだ、となんだかわからない集会所や道路ばかりつくりまくっています。経常費の交付税も特例扱いしています。
10年後、合併特例の交付税措置の期限がきたときに、合併した市町村は一気にクビがまわらなくなると思います。何回も同じことをやるのですねぇ。

投稿: 管理人 | 2006.02.11 12:22

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