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2006.01.30

1/30 ホリエモンよりがんばっていないと断定される人々

ipodは欠陥商品だと思う。朝の地下鉄の車内、音漏れがひどい。きょうは3重奏で、気がおかしくなりそうだった。満員電車のない外国メーカーはこうしたことに注意が回らないからダメだ。

その電車の中で「ニートって呼ぶな!」を読む。
就職できない若者の問題を、雇用の側の責任から眼をそらすために、若者の主体性や内面の問題にすり替えるのが「ニート」問題の真相じゃないか、という本書のモチーフにエールを送りたい。
また、育て上げだの若者自立塾だの、教育で内面支配を図ろうとする右+左の教育好きのいやらしさを余すところなく指摘していて共感。若者の自立というと、自発的な能力を力づける発想ではなく、どうして合宿だの強制労働だの、そんな発想しか出てこないのだろうか。

小泉・前原の「構造改革」は、通俗的にはがんばったものは報われるという価値観をベースにしている。だから報われるためのがんばりを邪魔する規制は少しでもない方がいいし、富の再配分なんかされないように「小さな政府」の方がいいと言うのだ。場合によっては、できない人の力づけなんかも余計なことだと言う。
では、何をもってがんばったかというかについては、がっばっているから報われた人がいるという主観的な説明しかできず、報われた人ががんばっていると決めつけられる。
でも世の中には経済的ヒエラルキーがあって、どんなに必要とされていても、どんなに大変な仕事でも報われない仕事はある。民間保育士やヘルパーなどいい例だ。一方、ホリエモンや三木谷、村上なんかは大変なんだろうけど、別に人の命を預かっているわけでもないのに何百億も紙切れコロがして金儲けする。ヒューザーのように顧客の生命を危険にさらしても成長企業と言われる。がんばっていることとして賞賛されてきた。
社会の関係性を無視して、内面重視でしかものをみない失われた10年の構造改革談義を今こそ打ちきるタイミングだと思う。ニートががんばらない人と断定してきたのは、この構造改革のイデオロギーメガネのものの考え方から出てきたものだ。

●中川農林水産大臣が、アメリカ牛輸入再開で農水省がアメリカに監視団を送っていなかったことを国会で白状。正直でよろしい。
野党は、中川大臣の罷免を求めて委員会審議を空転させている。民主党のこうしたスキャンダリズムがイヤだ。中川大臣は本当のことを話しているのだろうから、もっと話させればいいのだ。審議を空転させるのは、要求を無理に通すときか、相手が本当のことを話さないときに行うことではないのだろうか。

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コメント

 いわゆる「ニート」問題で思うのは、この国の労働市場のいびつさです。数値を見れば明らかです。失業率は低年齢層に行くに従い高くなる傾向があります。
 就業機会もなく適切な職業訓練の機会を奪われている状態を政治が放置している中で、「ニート」=「ダメ人間」というイメージが広がり続けています。
 昨日の朝日新聞で貧困線(平均収入の1/2以下の収入でやりくりしている人)は13%を超え、貯蓄が0の世帯は25%を超えています。就業機会を奪われ、収入を奪われ、がんばってない怠け者として処遇される、いつからこの国は人に対して冷遇する国に変貌していったのでしょうか。

投稿: 窓灯り | 2006.01.31 05:21

民営の保育園や学童の保育士、指導員(一般的に教員免許のある人)はある種の専門職だと思うのですが、そういう扱いを受けていません。専門職の待遇が低すぎるということは、十分なスキルの蓄積ができないということに繋がると思います。
自分の給料では1人暮らしもままならない専門職って何なんだろう、そう考えさせられます。実は先般の定例会の一般質問でこの話を取り上げました。

そしてすみません、横レスです。窓明かりさん、この国の職業訓練が腐っているのは職業訓練すら専門学校や大学が利益を得るための道具としての金のばら撒きにすりかえられてしまったということです。
本当はその給付で食いつなぎながら本当にその人にあった職場を探す原資となるべきカネが、一部の専門学校の利益に化けてしまった。
いいんですかねぇ。

投稿: takeyan | 2006.01.31 19:33

職業訓練が利益を得るための道具でもいいんですが、効果的ではないのが問題ですね。
埼玉県の職業高校の改革は比較的早くから進み、ステータスが高くて、少し注目できるところです。
公共サービスに携わり、人の命や未来を担う人たちの評価を議論していただいたtakeyanさんに感謝いたします。
格差社会はほんとうですね。OECDの統計が高齢化や核家族化を反映されているようなのですが、それは構造改革で格差がないと言い切る日本政府の統計より格差がはっきり出ているようですね。

投稿: 管理人 | 2006.01.31 20:41

 takeyanさん、はじめまして。
 大学や専門学校が、職業訓練と称して保護者や雇用保険からお金をかすめ取っている、というのは同感です。
 私が高校を卒業する頃、空前の専門学校ブームでした。リク○ートの分厚い専門学校雑誌が頼んでもないのに何度も送られてきたこともありました。
 そのとき思ったのは、普通高校卒ならいざ知らず、私のような職業高校卒の人間が専門学校で「再教育」を受けなければならない、とすれば職業教育の質の低下を意味していると思っていました。カリキュラムの変更など必要な施策を行うべきだと思っていました。
 ちなみにいとこの子供が川越に住んでいたのですが、高校受験には苦労したみたいです。埼玉県の職業高校はどのように改革されていったのか興味があるところではあります。
 千葉県では、商業系では商業科と情報処理科、工業系では機械科、電気科、土木科、建築科といったオーソドックスなものが最近まで続きましたから。
 余談ですが、高校の電車通学の時、若葉看護高校の生徒と同じ電車で、彼女たちはいつも電車の中で勉強していたのにはおどろかされました。

投稿: 窓灯り | 2006.01.31 23:01

たっぷりと年金を貰える60歳以上の人たちが
いつまでも会社に居座っていて、
これからを担う若い人にまで仕事が回ってこないってのはどういうことなんでしょうね。

現状で60歳の人に
老後の心配があるのは解るのですが、
今の若者世代が60歳になった時の
心配とは比べものにならないと思います。

社会のために早く現役を退かれても良いのでは無いかと思います。

投稿: 為吉 | 2006.02.03 20:17

実感としては世代間抗争なんでしょうし、その怒りはわからないでもないです。
しかし、世代間抗争というより、社会全体でのお金の回し方、働きの公平な割り振りの問題じゃないかと思っています。
働く能力があるのに高齢者を働かせず年金で食べさせる非効率性と、高齢者が職場で居座ることで若年者の雇用機会や職業を通した人間形成が奪われる非効率性を天秤を図った場合にどうなるかは判断に迷うところです。
ただしこれから労働力不足になると言われていますから、効果がわからない少子化対策よりも、高齢者にもビシバシ働いてもらうことを考えるべきだと思います。
今は不況なので世代間対立したくなる気持ちもわからないではないのですけどね。

投稿: 管理人 | 2006.02.03 23:23

怒りを世代間闘争に向けられてしまったら、喜ぶのは霞ヶ関の連中じゃないですか?
>為吉さん
目の前の問題として60歳の人は途方にくれていますよ。地方の役人が必死で再任用のしくみを作ったのもそれが理由ですから。
結局、税金や社会福祉(という名目の役人の利権)にカネを掠め取られすぎて社会の活力が落ちているから仕事が足りないのだと思います(ここの管理人さんとは考え方が違いますが)。
一方で天下り官僚は優雅ですね。『ホージンのススメ』の若林アキさんにいろいろ話をうかがう機会があったのですが、特殊法人の中身は想像を絶します。存在そのものが犯罪ではないか(???)とすら思えるほどです。
厚生官僚がお金を掠め取るために抜きに抜いた多額の無駄がなければ、と考えざるを得ません。
>窓灯りさん
コメントを読みながら、私は職業高校について何も知らないことに気付きました。たしかに、職業高校をでて専門学校という屋上屋は非効率的ですね。
職業高校の改革と、拡大が必要なのかもしれません。
今は、教育の不備の隙間を埋める専門学校や各種学校が花盛りですが、すべて屋上屋です。

投稿: takeyan | 2006.02.04 04:47

takayanさま
大きな政府と小さな政府の違いはあっても、役人の利権に税金をかすめ取られて、という認識は共通だと思います。98年頃の数字ですが、取られる税金から福祉・教育など社会サービス(戻り)を差し引くと、日本が一番税金が高いという結果が出ています。大きな政府論の私も、役所はその差し引きのお金を何に使っているのか、ということは問い返さなくてはならなと思います。
退職者の職業選択の自由はあるにしても、天下り禁止は重要ですね。高いと言われている退職金を受け取ったのですから、さっさと違う世界に行ってもらいたいものです。
役所がピラミッド型の組織であり続ける限り、どうしても出世競争があり、その敗者をどう手当するか、という議論に決着をつけないと、なかなかこうした天下りはなくなりませんね。
目的意識が明確な教育をしていかないと、子どもの主体的な力は育っていかないと思います。そういう観点で職業高校・専門高校をもっと広げていくことを考えていいと思います。実習や実技が多く、ニート予防・非行予防というネガティブな動機で職業体験させられる普通科よりいいと思います。

投稿: 管理人 | 2006.02.04 08:10

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